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zoom RSS オーボエ・ベルを階段状に加工します

<<   作成日時 : 2011/06/26 17:25   >>

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画像楽器のつくり方 (125) 2011/6/26

オーボエ・ベルのソケットつくりのあとは、材をひっくり返して内ぐりの工程へ進みます。

(ソケットつくりの様子は、前回のほかに、→こちら も参照)

材をひっくり返すとき、チャック結わえ直しが必要ですから同心の確保がポイント。 (同心の確保は、前回の →こちら、 や →こちら、あるいは →こちら

●内ぐりの前の外径削り

ソケットのある面をチャックに結わえ直します。 すると結わえ付近に刃物を当てることはできませんが、それでも直近までできる限り外径を削っておきます。

その理由は、内径つくり(内ぐり)のあとの外径削り工程をやり易くするため。

外径削りの工程では、通常、内径を中心に材を両センタに挟んで同心を保ちます。 (→こちら

ところがベル加工では、内径が朝顔状に大きく開いていますから、センタ間削りではすべりやすく、それを考慮しています。

●内ぐり=朝顔つくり

ベルの内径は、ゆるやかな(直線に近い)カーブを描き、開口端に向けて徐々に広がります。

フルート・トラベルソの内径は、足管(フットジョイント foot-joint)に向って全体に逆コニカル(円錐)状に絞られる、いわゆるテーパ状。 (→こちら の記事も参照) 

ただしトラベルソでも足管の内径を見ると、真ん中当たりから徐々に開く形状となっており、オーボエ・ベルと同じようです。

(足管の内径の様子は、たとえば、→こちら の計測図面の右下を拡大参照ください)

オーボエだけでなくクラリネットでもベルの形状は、徐々に開く朝顔状。

理由は、ベルの開口端で空間が急に大きくなるために起きるインピーダンスの不整合に伴う反射を少なくするため。

ハイファイ・オーディオのホーン・スピーカをご存知ですか? といっても、若い世代の方は、高音質を追求するよりも、iPodなど携帯性を重視するのでしょうか熱烈なオーディオ愛好家を見かけなくなりました。

ホーン・スピーカは、ホーン(ホルン)のような朝顔形状を持ち、スピーカで再生された音が空間にうまく伝わるようになっています。

楽器では、ホルンのほかにトランペットなどすべての金管では朝顔の形状を持っています。 それぞれ異なる開き具合により、異なる音色と響きを持ちます。

モダン・オーボエでも、オプションとして別のベルに付け替えて、音色や吹奏感を変えることもあるようです。

●階段状の加工

緩やかに徐々に広がる内ぐり加工の実際ですが、まず階段状の穴掘りから始めます。

フォトは、その階段状の穴掘り(穴あけ)の様子。

基本は、ベル全長をきっちりと取ること。

ソケット掘りでは、ソケット開口面を基準として所定の深さに加工します。 そのあとチャックを結わえ直し、今度はベル開口面を基準としたベル加工を施します。

ベル全長を所定の値とすべく開口面を切り落とします。 そして基準の開口面からの距離(深さ)まで、フォースナー・ビットで削ります。 (フォースナー・ビットは、→こちら

開口面からの距離は、内径の計測図面から求めます。

ただし、用いるフォースナー・ビット径が離散値ですから、その離散値に対する開口面からの距離を計測図面から読み取ります。 今回のモデルでの値は以下:

 フォースナー・ビット径 :  距離

 @ 1-1/2インチ (38.1o) : 3o
 A 1-3/8インチ (34.9o) : 11o
 B 1-1/4インチ (31.8o) : 25.5o
 C 1-1/8インチ (28.5o) : 38.5o
 D 1-1/16インチ(27.0o) : 45o
 E 1インチ    (25.4o) : 54.5o
 F 24o : 62.5o
 G 20o : 貫通

@〜Gのビットをとっかえひっかえ作業します。

と言うのは、径の大きな@、Aでは必要とするトルクが大きく作業性が悪くなるため。

深さがある場合は、まず大きな径のビットで少し掘り、次に、径の小さなビットで穴掘りを進めたあと、再び元の径のビットに取り替え、所定値まで掘るようにすると良いでしょう。

階段状の内径掘りを終えると、階段がなくなるように、内ぐりを施します。

内ぐりでは、刃物を当てる刃物台(ツール・レスト)を、木工旋盤のベッド(台)と直角になるようにセットし、チゼルやスクレーパにより削ります。 (その様子は、→こちら

(使用するチゼルやスクレーパなどの刃物は、→こちら

●同心は確保できたか?

前回の記事で、可能な限りの外形を削ったあと、撮影のため、加工中の材を結わえたままのチャックごと外しました。

そして再度旋盤に取り付けて内ぐりへと続けました。

同心の確保は、・・やっぱり狂いました。

できる限りチャック結わえなおしを避ける作業工程を確保すべきでしょう・・・


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