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zoom RSS オーボエつくりにも原寸大が便利

<<   作成日時 : 2012/03/11 20:04   >>

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楽器のつくり方 (127) 2012/3/11画像

【東日本大震災から1年経ちました:

1日も早い復興をお祈りします】

ブビンガでつくるローピッチのオーボエ、進めてまいりましょう。

これまで、各工程を順に見てきました:

‐ 材の確保:ブビンガ
‐ 角材から丸材へ
‐ ベルの内径加工の準備
‐ ベルの内径加工
‐ ベルの完成

ベルが完成し、上管と下管つくりに移ります。

●一木つくり

ベルに必要な大きな寸法が取れるブビンガ材を求め、乾燥させて5年。

2.5インチ(63.5mm)厚の板材から、2.5インチの角材を切り出してベルを木取り。 角材を切り出したあと、ナリユキ材が残ります。

上管や下管の最大径は33mmほど。 1.5インチ(38mm)の角材があれば、それで十分。

しかし、せっかくナリユキ材があるのだから、上管と下管とを木取りしてみました。

このようにすると、元々同じひとつの木からの木取りとなり、色合い・木目などが合います。

●木目の流れ

せっかく色合い・木目が合うのですから、木目の流れも合わせたいもの。

そこで、1本のナリユキ材から、上管と下管の木取りするとき、上下の文字を木口に書込みます。

このようにしても、実際の木目の流れは、厳密には続きません。 理由は、テノン(それを受けるソケット)の長さのところで不連続があるから。 また径が違うことによります。

●丸材にして穴あけの準備

フォトの上は、上管の、また下は、下管のために木取りしたナリユキ角材を丸材にしたもの。 径は、41〜42mmほど。

両端には、穴あけ用にチャックに取り付けるための1インチ(25.4mm)のゆわえをつくります。

普通のトラベルソとは異なり、オーボエでは、とくに下管では、上管側(北側)にソケットを掘る必要があり、足管側(南側)をチャックに結わえます。

一方、オーボエでは上管、下管とも内径が先広がりのテーパを形成していおり、細いドリル径の穴あけ後に、太いドリル径の穴あけを行ないます。

そのため、上管側(北側)をチャックに結わえ、足管側(南側)から穴をあける方法を取ります。

上管では、リードを受け入れるためのウェル(井戸)の穴あけを北側から、また下管側(南側)からドリル径を取り替えながら穴あけを行ないます。

●ガイド穴あけはできません

木管の穴あけの最初は、一般には、ガイド穴あけから行ないます。 (→こちら

ガイド穴あけに用いるシェル・オーガー(→こちら)の径は、たとえば5/16インチ(8mm)。

しかし、オーボエの内径の最小径は、上管のウェル(井戸)に続くところ。 バロック・オーボエで6mmほど、またクラシカル・オーボエでは、4.5mmしかありません。

したがって、8mm径のシェル・オーガーによるガイド穴あけはできません。

上管の長さは、すなわち穴の深さは240mmもあります。 この長さ(深さ)に比べて、4mmとか6mmの極めて細い径のロングドリルで空けるのですから、先端は容易に曲がります。 径の中心を確保するために、注意しながら進めます。

●原寸大の図面はバカよけ

工業製品の製造現場では、「バカよけ」という言葉が用いられます。 人為的なミスをなくし、製品の品質を高めるための工夫のこと。

オーボエつくりでも、やはり原寸大の図面を用意することは、ミスを防ぐ意味でとても大切。

木管つくりでも、削りすぎたものは元に戻せません。 一方、加工のあらゆる工程において、最終仕上げ寸法に対して、のりしろというべきマージンを確保する必要があります。

ところで、人は、数字データからは位置や太さや外形の感覚が容易にはつかめません。

仮に、北側から57mmのところの外形が最大であり、33mmとします。 この位置でもっとも膨らませるように外形を削りますが、数字を見ただけでは実感がわきません。

そこで、実物の加工材を原寸大の図面に適宜あてがい、「このあたりをふくらませ、余裕を見て35mmとしておこう」と見当をつけます。

その位置に鉛筆で○などを書き込むなどにより、「このあたりは、33mmまで削ってはダメだと心に刻み」作業を進めます。

オーボエの上管・下管は、長さが250mm近くあり、チャック結わえのマージンをとると260mmもの長さとなります。 この260mmもの穴あけは、とても長く、少しでも短くしたいところ。 そこで、長さ方向のマージンは少しでも短くしたいもの。

また、マージン部分を径の太さ方向にとったとき、最終的に細くできるなら、その部分は流さ方向のマージンとせずに済みます。

フォトの、上管、下管との両側のチャック結わえですが、最終的に細く削り落とす部分となりますから、太さ方向のマージンだけあればよく、長さ方向は意識しなくて済みます。

これも、数字ではなく、図面から立体的に理解できます。

具体的には、上管の下管側(南側)のテノン径は16mm。 1インチ(25.4mm)のチャック結わえは、最終的に、16mmに削り込みテノンにできます。 したがって、太さ方向のマージン9.4mmあり、長さ方向のマージンは不用。  

同様に、下管を見ると、足管側(南側)のテノン径は23mm。 1インチ(25.4mm)のチャック結わえは、最終的に、23mmに削り込みテノンにできます。 しかし、太さ方向のマージンは2.4mmと、ほとんどありません。 

だからといって、長さ方向のマージンを、テノン長の25mmも加えることは、作業性が悪くなります。

2.4mmの太さ方向のマージンを頼りに、慎重に同心を確保しながら作業を行うこととします。

このように、原寸大の図面に加工途中の材をあてがったり、マージンの必要性や余裕度を確認しながら、作業を進めることで、ミスを防ぐようにしてまいります・・・


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