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zoom RSS オーボエ上管、6mmΦ径のドリルが出会います

<<   作成日時 : 2012/04/08 17:05   >>

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楽器のつくり方 (128) 2012/4/8 画像

オーボエの上管つくり、内径の穴あけへと続けましょう。

フォトをご覧下さい。 方眼用紙に外形と内径の寸法を画いています。

(フォトをクリック、新しく現れる画面のフォトをさらにクリック、拡大してご覧いただけます) 

●外径は実寸大

方眼紙は、とても便利。 1mm目盛を基に描いた実寸大でイメージが捉えられます(→こちら)。 木工旋盤の外形削り工程でノミを当てるとき、材を直接あてがいながら参照することもできます。

●内径は10倍寸

一方、内径は、外径削りと異なり、ノミを当てるわけではありません。

内径では、ドリル穴あけ工程(→こちら)でドリル径を選定するときと、リーミング工程で必要なリーマ(→こちら)を設計するときに参照します。

この参照では、1mm目盛の方眼紙に原寸大で描いても、内径の変化が小さく分かりずらい。

そこで、長さ方向は原寸とし、径の方向を10倍寸とします。

たとえば、6〜11mmへと拡がるテーパーの内径を、10倍して、60〜110mmのように拡大して画きます。

こうすれば、どの部分で、テーパー度(傾斜角度)がいくらか、平らに続くのか、それともきつい傾斜を持つのかなど、イメージがわきます。

●上管の階段状の内径

上管の内径は、南側(下管側)に向ってテーパーが拡がりますが、モダンオーボエのように直線状ではありません。

一般に、バロック時代の木管内径は、複雑なテーパー形状をしています(→こちら)。

この理由は、以下の3つ。

@指が届く範囲にしか指穴があけられない

多鍵を採用したモダンの木管設計では、音響上の理想位置に指穴を空け、指が届かない指穴には開閉機構を適用します。 (→こちら

しかし、バロック木管では、理想の位置でない指穴を、等価的に理想に近づけるために、指穴の大きさを変えたり、内径を変形(拡大または縮小)させます。

Aリーマーはノウハウを伝える貴重品

現在では工作機械を用いて内径どおりのリーマーをつくることは簡単でしょう。

しかし、多大な時間を割いて試行錯誤を行い完成した内径の形状は、いわばノウハウのかたまり。

そして、内径の形状をあらわすリーマーは、継承すべき弟子に譲り伝える貴重品。

上管全体を1本のリーマでカバーする刃長が大きいものは、大きなトルクが必要なことから、幾本かに分割した分割リーマーを用いたでしょう。

オーボエ上管では、たとえば3本のリーマーを用意したとする3ちの階段を持つ内径が出来上がります。

B各音のピッチ(音の高さ)調律

バロック木管では、各音の高さの最終調整に、指穴を大きくする、アンダーカットをつける、指穴近くの内径を削る、ことでピッチを高くすることができますから、それらを組合せて用いたことでしょう。

これら@〜Bの結果として、テーパー状の内径は、直線的に拡がらず、何がしかの階段が見出されます。

フォトの方眼紙を再びご覧下さい。 上管の内径は、6.4mmの貫通穴、8mmの階段、9.4mmの階段、10.6mmの階段が見られます。

●実際の穴あけ(穴掘り)

そこで、今回の内径削りでは、6mmΦ、8mmΦ、9mmΦ、10mmΦの4種のドリルを用いました。

南側(下管側)からドリルを取替えで階段状に穴あけ(穴掘り)を行ないます。 掘る深さ(長さ)は、長さ方向に実寸大である図面から直接読取ることができます:

‐ 10mmΦ: 深さ  45mmまで
‐  9mmΦ: 深さ  95mmまで : さらに50mm
‐  8mmΦ: 深さ 125mmまで : さらに30mm
‐  6mmΦ: 深さ 240mm(貫通)

フォトは、4種のロングドリルを右から、掘り進める量だけ図面上の配置して分かるようにしました。

穴あけ(穴掘り)は、径の太いものから順に行います。 より径が細い穴あけでは、すでに掘った径の太い穴の深さから掘り進めるわけですから、その分浅く(短く)なります。

●最小径の穴あけ

上管の長さは、のりしろ含め260mmほど。 長さ300mmのロングドリル(→こちら)をチャックに結わえた場合、刃先がぎりぎり届きます。

オーボエの上管内径は、6mmほど。 上管長さ260mmに比較して、6mmΦは相対的に細いものです。

チャックに結わえた元では曲がらなくても、260mm先の先端で容易に曲がります。

この結果、中心ズレが起きます。

一般に木管つくりでは ズレたとしても貫通した穴を中心(同心の基準)として、新たなチャック結わえをつくる手順を採用すると、同心の確保ができます。 (同心の確保は、→こちら

この手順では、貫通できることが条件となります。 しかし貫通させるには届かない場合は、どうすれば良いのでしょう。

300mmのロングドリルで貫通できないようなローピッチのオーボエつくりでは、より長い、450mmのロングドリルを用いない限り、この手順を採用することができません。

ローピッチオーボエつくりで遭遇する場合を考え、今回、その手順を採用せず、北側と南側の双方から6mmΦのドリルであけて、穴同士が途中で出会うようにしてみました。

結果は、どうでしょう。

予想通り、出会い地点での精度が低く、少しズレが生じました。

●曲がった穴あけの修正ができるか

一度あけてしまった内径の曲がりを、他のドリル等を用いて修正することはきわめて困難。

なぜなら、あけた内径が【ガイド穴】となって、他のドリルやリーマー加工での【基準の道案内(ガイド)】に徹してしまうから。 (ガイド穴あけは、→こちら

ガイド穴に逆らって道を外すような加工では、内径の【特定の方向】に力を加える必要があります。

しかし、材は回転(固定したドリルが、材に対し相対的に回転)しますから、特定の方向だけに意図的に力を加えることはできません。

「円」は、中心から一定の距離にある点を結んだもの。 どの方向にも同様に作用し、特定方向だけに力を加えることができないから。

ズレた内径は、特定方向だけ手作業で修正することにしましょう・・・


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