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zoom RSS モダン・フルート頭部管の内径さまざま

<<   作成日時 : 2012/09/30 16:00   >>

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画像手持ちのモダン・フルートのうち、頭部管だけ8本を並べてみました。

モダン・フルートの原型は、テオバルト・ベーム Theobald Boehm によって完成されました。

右は、ベーム氏の著書「フルートとフルート演奏」 (1868−1872年ごろ:ドイツ語 ”Die Floete und das Floetenspiel”) を米国のデートン・ミラー Daton. C. Miller 博士が英訳したもの。 (→文献集を参照)

●ベーム式フルート:円筒管 

完成されたベーム式フルートは、本体管の内径を19.0mmとする円筒管。 この内径19.0mmは、現代のモダン・フルートの基準値となり、各製造業者が採用しています。

●ベーム式フルートの頭部管

本体管の内径が円筒であるのに対して、頭部管では、足部管の方に向って徐々に拡がるテーパー。

先に、多鍵式フルート内径について、→こちらに記しました。

ベーム氏の著書、18ページには、頭部管の内径の設計値が図示されています:

 ・コルクの辺りで 17.0mm
 ・歌口(唄口)で 17.4mm
 ・スライド近くで  19.0mm

長さ134mmのうちに、内径が17.0−19.0の2.0mm拡がります。 したがって、両端間を結ぶ直線では、テーパー度合いが凵≠P/67。

●頭部管内径の形状はさまざま

問題は、その形状。

両端間で凵≠P/67のテーパーと言っても、ベームの設計値では、直線ではなく途中で膨らむ放物線。

この形状により各ピッチの倍音の含まれ方が変わり、音色が変化すると考えられます。

参考: バロック・フルートのトラベルソでは、頭部管が円筒で、上管・下管の内径が先細りのテーパー。
    内径のテーパーの形状は、複雑です。(→こちらを参照)

音色のほか、吹奏感、すなわち息を吹き込んだときの抵抗感も異なるでしょう。

モダン・フルートの本体管と足部管の内径が19.0mmと決まり、また、理想的な位置や大きさに指穴があけられるベーム式フルートですから、現代の製造業者やモデルにより大きな違いはなさそうです。

一般に言われているところでは、音色や吹奏感が主に頭部管で決まります。

その頭部管のパラメータには:

 ・内径の大きさとその形状
 ・歌口(唄口)の大きさ(開口面積)とその形状(楕円形、俵形など)
 ・頭部管、あるいはリップ・プレートの材質(メッキ処理の材質を含む)

があります。 そこで、このパラメータのうち、内径の大きさとその形状を調べてみました。 (木管の内径の計測方法については、→こちらを参照。)

●各社・各モデルによる内径の差異の測定

フォトの頭部管は、上から順に:
 @M社
 AY社261(銀メッキ処理)
 BY社23
 CY社23その2
 DKW社(銀メッキ処理)
 EA社
 FKT社
 GH社

外形ですが、フォトのように歌口の中心の位置を互いに合わせたところ、管の長さ、スライド部の長さ、管の外形に差異が少し見られます。

問題は、内径とその形状。

(フォトをクリックし、現れるウィンドウの中のフォトをさらにクリックし、拡大してご覧下さい。)

方眼紙の横軸は、原寸大。 これに対して、縦軸は、1mmを方眼紙上では、10cm(100mm)とする100倍表記。

内径を測定しプロットしてみると、各製造業者やモデルにより、さまざまな形状で、テーパー度合いも、凵≠P/50、凵≠P/58などなどなっています:

・ほぼ直線的
  @M社 BY社23 CY社23その2 DKW社 FKT社(全体的に太く、細くなりきらない)

・放物線
  AY社261 GH社

・逆放物線
 EA社(全体に細く、2段階傾斜)

面白いことに、同一製造業者であっても、モデルにより内径形状の設計が異なります。

●実際の音色や吹奏感

内径の大きさと形状により、これらの頭部管から発せられる音色や吹奏感は異なります。

実際には、内径テーパー形状のほかに、歌口の形状と大きさやアンダーカット、リッププレートの形状、そして材質が異なるために、それらの違いによる音色や吹奏感の差異もあるでしょう。

比較したところ、確かに頭部管によって相違が見られるものの、わたしの聴力や演奏力では、それらの違いを十分に言い表すことも、また評価することも無理みたい。 (フルート愛好家によれば、雑作もないことかも知れません。)

●頭部管の試作

わたしは、内径の計測を行うまでは、すべてのモダン・フルートの頭部管は、ベーム氏の著者の18ページにある放物線を描くものと思っていました。

実際には、ベーム氏が示すゆるい放物線もあるものの、直線や2段階直線(近似)、あるいは逆放物線の形状が見られ、さまざま。

そこで、基準となる内径形状を設定し、また、材質として木を用いた頭部管を試作してみようと思います。

また、材質を変えたら、モダン・フルートでありながら、「バロック木管に近い」ものとなるのか、興味がわいてきました。

(木の材質により、一般的な音色の変化は、→こちらの記事にも記しました。)

木でできたモダン・フルートの頭部管、はたして音色や吹奏感はどのようなものでしょう。

出来上がりが楽しみです・・・・


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