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zoom RSS 創作も楽しいもの:モダン・フルートの頭部管

<<   作成日時 : 2012/11/23 16:48   >>

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画像楽器のつくり方 (130) 2012/11/23

モダン・フルートの頭部管を木製にしたらどうなるでしょうか?

バロック時代のフルート、トラベルソ(フラウト・トラヴェルソ)のような趣が出るか試してみたくなりました。

●モダンフルート頭部管の内径さまざま

モダン・フルートは、本体の管径が19mmの円筒管。 各メーカはその寸法に従い製作しているようです。

本体管が同じなら音色や吹奏感は、もっぱら頭部管(ヘッド・ジョイント head joint)で決まるのことでしょう。

そこで、モダン・フルートの頭部管の内径を、各メーカの種々のモデルにいて実測しました(→こちら)。

結果は、内径設計が各社、各モデルで大きく異なっていました。

頭部管の使用材と合わせ、これら内径設計の違いがフルート全体としての特性を大きく決めていると思われます。

●木製のモダン・フルート

ベーム式のフルートがモダン・フルートの基準になった以降、多くのフルートが金属製となり現代に至るわけですが、木製のモダン・フルートもあります。

英国では、木製のモダン・フルートが使用され続けられているようです。 しかし近年、英国に限らず、オーケストラのフルート奏者が少なからず、木製のモダン・フルートを使用しています。

材質は、グラナディラ(ブラック・ウッド、アフリカ黒檀)でしょうか。 比重1.2ほどのグラナディラ材は、とくに大ホールの演奏会場で響かせるのに適しているかも知れません。

●バロック演奏に要求されるもの

しかしバロック宮廷では、要求されるものが現代の大ホールでのそれととは違っています。

室内でのソナタは、通奏低音のチェンバロやビオラダ・ガンバとトラベルソの音量バランスが要求されたことでしょう。 材質も、グレナディラより少し比重の少ない黄楊やエボニー(比重0.9−1.0)が多く使われたでしょうか。

そこで、「バロック音楽をモダン・フルートで演奏する」ために、金属製の頭部管に代えて、黄楊やエボニーの頭部管を用いれば、より適するのではと考えてしまいます。

●木製頭部管と金属本体のベーム式フルート

19世紀のフルートとして、細い金属製本体に、太い木製の頭部管を付ける楽器が現存します。 例えば、テオバルト・ベーム著の「フルートとフルート演奏」(文献集、→こちら)のFig.7、Fig.32、Fig.41に見られます。

これらは、ちょっと目には頭でっかち。

頭部管の外径ですが、バロックやクラシカル時代の木製では、30−27mmほどであったのに対し、金属製本体管は、19.6mmほど。

バロック時代のトラベルソでは、例えば、I.H.Rottenburghで30.3mmほどです。 (例えば、→こちら

さらに上管との接続部では、33mmほどもありますから、頭でっかちは、とくに接続部分の段差となって気になります。

●自分でデザインしてみる

そこで、それほど頭でっかちとならないように、自分で外形を創作したら面白いと気付き、デザインを試みました。

フォトは、創作した様子。 グラフ用紙に原寸大でデザインしています。

フォト上に見るように、モダン・フルートの頭部管では、本体管との接続部が長さ約40mmにわたってあります。 この接続部分は、金属製でつくり、残りの部分を木製とするデザインとしました。

すると木製部の長さは、175mmほど。

フォト下は、欧州黄楊の角材。 1998年12月に購入し、以来14年間乾燥させたきたもの。 (欧州黄楊材については、→こちらを参照)

欧州黄楊材ですが、その寸法は、1.63インチ(41mm) 角、長さ7インチ(177mm)。 

申し合わせたように、創作した木製部の長さとピッタリ合います。

歌口(唄口、マウスホール)での外径は、27mmほど細めにデザインし、接続部分の盛り上がりを少なくして頭でっかちに見えない工夫をしました。

●現代のモダン・フルート用の木製頭部管のデザイン

ところで、モダン・フルートでは歌口での内径が17.1mm程度ですから外径は、そのままでは17.7mm。

この17.7mmの外径では、演奏するのにあまりにも細すぎ。 そこで金属製のモダン・フルートでは、ライザーで持ち上げ、リップ・プレートをつけているのです。

一方、現代のモダン・フルートでも、木製のフルートや、木製の頭部(替え)管もあります。

中でも、頭部管のデザインが、金属製頭部管のライザーとリップ・プレートを模した形状とすることで、差し替えた場合の違和感や吹奏感を最小にするようにしているものも見受けます。

しかし、わたしのデザインでは、「バロック・フルート(トラベルソ)からの持ち替え」としての頭部管ですから、ライザーとリップ・プレート式とはせず、逆に、トラベルソとの違和感が少なくなるようにしてみました。

さて、どんな風に出来上がるでしょうか。

この第1号の創作、ちょっと細すぎるかなあ・・・・



【関連記事】  青字クリックで記事へジャンプします。

モダン・フルート頭部管の内径さまざま
●文献集→こちら
バロック木管の計測は。難しくはありません
黄楊材の魅力いろいろ


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
大変、ご無沙汰をいたしております。
このたびは、モダンの当部管に取り組まれるとのこと。
フルート吹きとしては見逃せないテーマで、とても興味深く思います。
文中にも取り上げられていますが、リッププレートと立ち上がりの
ライザーを管体の肉厚で作るところがポイントでしょうね。
プロセスや評価についてのご報告を心待ちにしております。
P.S.
教えていただいたイミテーション・アイボリーのこと、直接工場を
尋ねて譲っていただくことができました。
その節は、ありがとうございました。
(しかも自身で開発された更に上質なものを分けていただくという
ラッキーもありました)
しらぱぱ
2012/11/30 12:12
しらぱぱさん、こんばんは。バロック木管図書館へようこそお越しいただき、ありがとうございます。
●1812年製の手持ちのオリジナルのクラシカル・フルート頭部管のコピーを14年前につくりました。それを今回の目的で、歌口を広げる等を行い、試しにモダンフルートに付けて吹いてみるとそれなりに音が出ます。したがって、今回の試みでは、とくに木管のチムニー(ライザー)の深さ(厚さ)とアンダーカットを種々変えてみてつくりたいと思います。引続きご覧いただきたく。
●イミテーション・アイボリーで高品質のものが入手できたようですね。是非、いい作品を製作されますよう、応援いたします。
woodwind 図書館長
2012/12/10 00:06

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