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zoom RSS 調整しながらキーメカニズムをつくります:ローピッチ・オーボエ

<<   作成日時 : 2013/04/30 13:07   >>

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画像楽器のつくり方 (136) 2013/4/30

I.H.Rottenburghのローーピッチ・オーボエは、キーが3つあります。

前回、その3つのキーを洋白(ニッケル・シルバー)板から切り出しました。(→こちら

今回は、キーの切り出しのあとの工程として、キー・メカニズムを中心に見てみましょう。

フォトは、キー取付け台座(ベッド)へのキー取り付けとその調整作業の様子。 少し生々しい工事現場をご覧下さい。 (→こちらも参照)

●キー取り付け台座のハンダ付け

フォト下は、切り出したキーを下管のベッド(丸や四角型の出っ張り)に取り付ける軸を通すための取り付け台座をハンダ(ろう)付けしています。

作業中に起きがちなキズを防止するためにテープを張り、テープの上から、「右」、「左」と記し、左右を区別します。 本来、左右同じですから区別は不要。 ただし以下に述べるように「合わせ工事」が必要なために区別しています。

●キー取付け溝掘り

下管のベッドには、キーの幅の分の溝を掘ります。 フォトに見えるような、溝幅に適する彫刻刀のほか、曲線刃を持つ彫刻刀を用いました。

この加工は、ベッド高さ分を水平に掘るだけなら、小型ルータ(やフライス・マシン)でできそう。 しかし、キー取付け台座の箇所では深く、またC/C#キーでは、上(北)のベッドから下(南)のベッドに至るまでキーを「沈める」ための溝が必要です。

このような溝掘りは、手作業が向いています。

●キー軸の穴あけ

下管のベッド側には、キーと取り付ける軸を通す穴(1.2Φ)をあけます。 キーの回転軸を決めるものであり、慎重に作業することが必要。

さらに、下管においてキー取付け位置は、指穴の中心線にあわせることが必要です。

軸穴があいた結果では、ベッド表面上の軸穴あけ跡の幅は、17〜18mm前後。 ベッド表面上のこの幅が正確でないと、キーを取り付けたときの高さが狂い、キーパッドで音孔を塞ぐことが困難となります。

一方、キーの取り付け台座にも、軸を通す穴(1.2Φ)をあけます。 

これら、下管のベッドへの軸穴あけ、およびキー台座への軸穴あけは、キーの「回転軸」を決めるものです。

相対的な精度が要求され、いずれかの、あるいは両方の軸の角度誤差があると、キーのパッド面が下管の音孔に対して平行に塞ぐことができません。

●キー回転軸と連結の調整

フォトは、C/C#キーについて回転軸の精度を確かめている様子。 

下管の上(北)のベッドにはC/C#キーの上のパーツを仮に取り付け、「回転軸」にしたがって正しく回転するか確かめています。 確かめるために、フォトでは、1.0Φのステンレス線を通しています。

また下管の下(南)のベッドにC/C#キーの下のパーツを仮に取り付け、同様に「回転軸」にしたがって正しく回転するか確かめています。 確かめるために、フォトでは、1.2Φのドリル刃そのものを通しています。

そして、これら上下のパーツの連結の具合を確かめます。 連結ですが、下(南)のパーツに穴をあけ、その穴に上(北)のパーツの最下の端部を絡めるようにします。

このメカニズムの調整作業は、何度か繰り返し、下のパーツの「穴拡げ」、上のパーツ端部の「はね具合」により、C/C#キーがスムースに開閉できるように調整します。

●合わせ工事と手作業

これら、キーメカニズムつくりは、「調整しながら」行う「合わせ工事」となります。

それぞれの部分の「絶対精度」が確保されたならば、本来、調整などは不要。 しかし、現実的には無理であり、細かな手作業による調整が必要となります。

ところで手作業(手工)は、ものづくりの原点。

どんなに機械化が進み、機械により加工を行う場合であっても、人の手による微妙な冶具の調整を伴います。 ものにもよりますが、ミクロン(μmm)オーダーを人の手で調整するのです。

●キーパッド貼り付け

C/C#キーの下のパーツと2つのEbキーには、それぞれ音孔を塞ぐためのパッドを貼ります。

このパッドの厚さが加わる分、パッド厚さを考慮したキーの回転の調整が必要です。 下管の音孔の回りに水平な面をつくり、その面に対し平行にパッドが当たるようにします。

実際には、斜めに傾いた軸による「回転軸のズレ」と、水平面に対するパッド面の傾きの2つのパラメータについての調整が必要です。

Ebキーは2つあり、それぞれの調整が必要ですから、フォトのように「右」や「左」を区別しているのです。

●キーばねの取り付け

キーバネを燐青銅や真鍮でつくり、それぞれのキーにハンダ(ろう)付けします。 キーにより固有の長さや角度を持ちますから、これも「合わせ工事」の要素が大きいです。

キーばねを、下管のベッドの下にもぐりこむようにして取り付けます。 このもぐりこみの部分の下管の木材の削り具合も微妙ですから、キーばねと削りを繰り返しながら調整します。

これら、キーメカニズムつくりを正確に行うための専用の冶具や工具を準備することは望ましいことです。 同一モデルを複数台つくる場合には、とくに効率の面でも有効でしょう。


今回は、手作業による「合わせ工事」のやや生々しい調整現場をお見せしました。

キー取付けが完成すると、次は、リードを取り付け、音の調整へと進みます・・・



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