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zoom RSS ローピッチオーボエ:適合リードを見つけました

<<   作成日時 : 2014/04/06 13:05   >>

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画像楽器のつくり方 (146) 2014/4/6

リードはオーボエの命。

「オーボエ、リードなければただの管(くだ)」でしょう。

楽器博物館に所蔵され、あるいは個人が所有するオリジナルのバロック・オーボエの復元で難しいことは、どのように適合リードを見つけるか。

現存するオーボエ本体については、その計測データに基づいて復元コピーすることができます。

しかし、消耗品であるリードやチューブ(ボーカル)は、本体とともに所蔵されるケースはきわめて稀。

現存するリードがないわけですから、その形状や寸法については「想定」するしかありません。

想定するにあたりリード寸法パラメータが多く、容易ではないのです。

●確立したピッチがない

モダン・オーボエでは、現代の標準ピッチA=440Hz(実際に使用されるピッチA=442-443Hz)が決められ、リードの長さや幅を変えて標準ピッチとなるようにリードを作ります。

しかし、バロック時代では地域や年代においてピッチが異なる状況では、現存するオーボエに対し用いられたピッチはわかりません。

現存リードがないため、オーボエ本体の各部の寸法からおよそのピッチを決め、想定サイズのリードをつくり、適合させてみて、実用の演奏範囲を決めることとが一般的に行われます。

●アコースティック・レングスAL

およそのピッチを知るために、アコースティック・レングスAL値が用いられています。

ブルース・ヘインズ Bruce Haynes の 「精説オーボエ The Eloquent Oboe」 のp.21に、「オーボエ上端から第6指穴の中心までの長さ」と定義されています。 (参考文献は、→こちら

このI.H.RottenburghのAL値は、332.5mm。 (同p.467のAppendix2)

ピッチについて論じられている、p.93−98を参照すると、オーボエは、AL値により4つに分類され、AL=329.9−344mmのものが最長で、I.H.Rottenburgh はそれに該当します。

AL値は実長であっても、ボア(内径)については考慮していません。

内径が一定の円筒形であれば、ピッチを決める実長比較ができますが、オーボエの内径はテーパー状ですから、外側の実長だけでは決まりません。

内径について、細く絞れば抵抗が増え、管の長さを増やすことと同じ効果が得られます。

したがって内径のテーパー度合いにより、同じAL値であってもピッチは異なることになります。

●リードの形状や寸法

リードも、テーパー状のオーボエ内径の一部を構成します。 したがって、リード長がピッチに影響します。(→こちらも参照)

しかも、リードをオーボエのウェル(井戸)を通して本体にどれだく深く入れるかにより内側の長さが変わりますから、外側の実長であるAL値は、ピッチを与える目安に過ぎません。

そして、オーボエリードのケーンの厚さやチップ幅、さらに削り方もピッチに影響を与えます。

使用するチューブのテーパー度合いももちろんピッチに影響します。(→こちらも参照)

ダモーレの例ですが、リードのピッチ調整については、→こちらを参照。

●適合したリードの例

オリジナル楽器の本来のピッチを求めることとは異なる方向性ではありますが、ローピッチとして、現代における「ベルサイユ・ピッチ」の標準としている A=392Hz に適合できることが実用上は意味があります。

そこで、A=392Hzにどれだけ合うかを基準に、リードのサイズを探してみました。

フォトは、各音におけるピッチの乖離度をあらわしたデータ。 A=415Hz 用の目盛りですが、中心を A=392Hzと読みかえて使用しています。

(フォトをクリックして拡大すると、方眼紙の目盛りまでご覧になれます。)

最低音Cから2オクターブにわたり、+−20〜30セントに入っています。

リードチューブは、「継ぎ足し方式」により、上側が長さ26.5mm、下側が長さ38mmのものを使用。

●寸法データ

今回のリードですが、先につくりましたオーボエ・ダモーレ(→こちら)の評価用に読者のかたからいただいたもの。

このリードに、パイプを継ぎ足すし適合リードが得られました。

この継ぎ足した後の寸法は以下:

 − 全長 88.5mm
 − 幅  10.5mm
 − 挿入 20.0mm
 − 底外径 6.5mm
 − 底内径 5.2mm
 − ケーン長 28.0mm

一方、前回、継ぎ足しでなく一本のチューブによるリードの寸法を参考までに記します:

 − 全長 84.0mm
 − 幅   9.0mm
 − 挿入 19.0mm
 − 底外径 6.1mm
 − 底内径 5.15mm
 − ケーン長 25.4mm

●各部の調整と結果

指穴の下(内径に接するところ)の処理や径を変えて、各音のピッチの調整をしてみました。

これにより、安定して音だしができています。

高域Gの音出しは気を使いますし、最高音域は、リード幅の広い今回のものではやや苦しく、ケーンを削り、細かな調整はさらに必要です。

ケーンを削って自分に適したリードに仕上げること、これは永遠の悩みでしょうか・・・



【関連記事】  青字クリックで記事へジャンプします。

文献集
オーボエダモーレ:ピッチはリードで決まる
魅せられて30年:バッハのカンタータが聴こえてきそう
オーボエダモーレ:リードによるピッチ調整はいかに



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