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zoom RSS 気品と落ち着きのあるRottenburghローピッチ・オーボエ

<<   作成日時 : 2014/04/12 13:50   >>

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画像楽器の書棚(34) 2014/4/12

連載のローピッチ・オーボエの完成です。

故ミシェル・ピゲ Michel Pigue 氏が所有したロッテンブルク Rottenburgh のオリジナル・オーボエを復元コピーしました。

●ピッチと運指

その外径寸法から、演奏ピッチがいわゆるフレンチ(ベルサイユ)のローピッチ(楽器の例は、→こちらも参照)に分類されるとはいうものの、実際に使用可能なピッチ範囲がどのようなものか、わくわくしながらつくってきました。

その結果、少なくとも現代における標準のフレンチ・バロックピッチである A=392Hz で演奏可能であることがわかりました。

A=392Hzで演奏可能であるとしても、バロック当時の実際のピッチは、たとえば、A=396−400Hz の範囲においてイントネーション(各音階の正しい間隔)が正しく、最もよく響くものだったかも知れません。

一方、現代における標準バロック・ピッチである A=415Hz に設計し直した市販デンナーモデルのオーボエと外径を比較してみました。

すると、確かに半音ほどずれる指孔間隔です。 また、この Rottenburgh のF、F#の運指はデンナーとは異なりました。

●オリジナル楽器の製作者

オリジナル楽器の製作者は、 Jean-Hyacinthe Rottenburgh (1672 - 1765) と考えられます。

ところで、I.H.Rottenburgh は、製作者名というより、当時の工房名をあらわしていることでしょう。 (イニシャル J.H. は、I.H. のように、J が I に変えられて用いられます。)

弟子のほか息子の G.A.Rottenburgh とともに工房を構えていたわけですから、息子が製作した楽器であっても工房名 I.H.Rottenburgh を用いることになります。

このように、楽器には製作者名でなくりブランドである「工房名」を刻印していたと想像します。

実際に、息子が自分のイニシャルを刻印に使用しはじめた時期、すなわち自分の工房として表記した時期はずれていると考えられています。

このオリジナル楽器は、ブルース・へインズ Bruce Haynes 著の「精説オーボエ The Eloquent Oboe」のp.467に Rottenburgh I formerly Piguet と記載されるように、初代Rottenburgh でしょう。 (参考文献は、文献集→こちらを参照)

●復元楽器の材質

フォトは、完成したオーボエ。

(フォトをクリックし、現れるウィンドウをさらにクリックすると実物大に拡大してご覧いただけます。 木目のほか、ブビンガの杢(もく:縞模様)まで見ることができます。)

材質にブビンガ(→こちら)を用いてみました。 その濃い褐色の色合いから、通常、黄楊には施されるステイン処理をすることなく重厚感が得られました。

(フォトでは、木目がわかるよう実際より明るく画像処理しています。)

濃い褐色に対して人工象牙(→こちらを参照)のマウントがひときわ美しさを増しています。

オリジナル楽器では、ベルには象牙マウントのほかに、ベル底に象牙リングも施されており、かなり贅沢な楽器だったことでしょう。

●ベルギー・ブラッセル

I.H.Rottenburgh の工房はベルギーのブラッセルにあったとされています。

ブラッセルには楽器博物館があり、わたしも二回ほど訪れました。

それ以来、オーボエつくりを完成したいと願い、この I.H.Rottenburgh は、そのうちのひとつとして実現できました。

ブラッセル楽器博物館にて購入した書物「17-18世紀オランダのダブルリード楽器 Dutch Double Reed Instruments of the 17th and 18th Centuries」(→文献集)には、ハーグ楽器博物館に所蔵されるオランダの製作家による数々のオーボエが記載されています。

そのうちのいくつかについては、今後、完成したいと願っています・・・・



【コピー】

材質: ブビンガ イミテーション象牙リング 洋白銀製のキー
      No.1336  A=392Hz  重量247g

【オリジナル】  

(元)所有: ミシェル・ピゲ Michel Pigue (1932-2004)
製作: ロッテンブルク Jean-Hyacinthe (Joannes Hyacynthus) Rottenburgh (1672 - 1765)
     ブラッセル Brusseles 1730頃か
楽器: バロック・オーボエ 黄楊 boxwood  象牙リング 銀製のキー
      A=396Hzあたりか 全長594.8mm



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文献集
ベルサイユピッチの落着いたトラベルソの音色
ブビンガ:オーボエ材として試してみましょう
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