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zoom RSS クラリネットのトリルキーをつくりベッドを加工します

<<   作成日時 : 2014/12/29 19:21   >>

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画像楽器のつくり方 (148) 2014/12/29

クラリネットは閉管の楽器です。

これに対しオーボエやフルートは開管。

どこが違うか。 開管では基音の偶数・奇数の倍音を含む一方、閉管では奇数倍音しか含みません。

開管のフルート・トラベルソで、全指穴を閉じると基音D(レ)が、第1指穴を開けると2倍音(8度:オクターブ高)のD’(レ)が、さらに第5指穴を開ける4倍音のD”(レ)がでます。

一方、閉管のクラリネットでは、全指穴を閉じると基音F(ファ)がでますが、オクターブ(スピーカSp)キーをあけると2倍音(8度高)ではなく、3倍音(12度:1オクターブ半高)のC”(ド)が出ます。

【注】 クラリネットは移調楽器です。実音表記ではありません。
    基音F(ファ)の表記は通常F3ですが、ここでは相対音を表すため単にFと記すこととします。

●シャリュモー音域

全指穴閉じの基音F(ファ)から、全指穴あけのG’(ソ)までの音はシャリュモー音域と呼ばれます。

  基音   F(ファ)   ● ●●● ●●● ●
  全開放  G’ (ソ)   ○ ○○○ ○○○ ○

●クラリオン音域

オクターブを出すためのスピーカーSpキーを用いた全指穴閉じるとクラリオン域の音が開始します。

  全閉じ C"(ド)  Sp◎ ● ●●● ●●● ●

●ブリッジ音域

シャリュモー音域のあと、1オクターブでなく1オクターブ半のクラリオン音域へ続けるため途中をつなぐ(ブリッジ)必要があります。

 G’#(ソ#) A’(ラ) Bb’(シb) B’(シ)

このブリッジ音域を作り出すために、上管のリード側に向かって、左手人差し指で操作するAキーを追加しました。

  全開放 A’(ラ)     A○    ○ ○○○ ○○○ ○

そしてスピーカーSpキーとAキーとを組み合わせて半音階を形成しました。

  全開放 G’#(ソ#)      Sp◎ ○ ○○○ ○○○ ○
  全開放 Bb’(シb)    A○ Sp◎ ○ ○○○ ○○○ ○

問題は、B’(シ)。

Aキーよりもさらにリード寄りに穴を設けTrトリルキーにて開閉しました。 【リード先端から12.5cmの位置】

  全開放 B’(シ)  Tr○ A○ Sp◎ ○ ○○○ ○○○ ○

ブリッジ音域の各音は、全開放の状態において、上管のリード寄りの各穴で作り出すわけですから管の有効長がとても短い。

これに対して、高音域を受け持つクラリオン音域は、全閉じの状態ですからクラリネットの全長を活かす響きとなります。

したがって、音の豊かなクラリオン音域でB’(シ)を得るため、第7指穴(C)よりもベル寄りに音穴(B)を設け、左手小指で開閉するBキーを付けたのです。  【リード先端から50cmの位置】

  全閉じ B’(シ)  Sp◎ ● ●●● ●●● ●B●

同じB’音を得るために、ブリッジ音ではリード先端からの管長がわずか12.5cmに対して、クラリオン音では50cmもあるのです。

このためでしょうか、B’(シ)音に対して、トリル時にブリッジ音を用い、通常はクラリオン音を用いる運指となっています。

●トリルキーとベッドの加工

フォト奥は、クラリネットの上管。 一方、手前はトリルキー。

トリルキーは、1.5mm厚の真鍮板からつくります。 キーの正確な寸法を方眼紙に描き、これを真鍮板に張り付け、鉄ノコで切り取り(→こちらも参照)、ヤスリで仕上げます(→こちら)。

角には丸みを付け、各種サンドペーパーやスチールウールで磨きます。

上管には2つのキー取り付けベッド(丸くなった帯状の山の部分)があります。 上側は、スピーカーSpキー用。 そして下側は、Aキー用。

トリルキーにより開閉する穴の位置は、この上側のベッドとなります。 そこで、ベッドを削ってキー台座をつくります。

このトリルTrキーは、チャールズ・ウェルズ氏 Charles Wells によると、後で追加されたらしい。

フォトは、その削りだしたキー台座。 欧州黄楊は、オイリングのあと15年経ち、きれいなあめ色のような黄色ですが、削りだしたばかりの部分では、ほとんど白といっていいほど明るい。

さて、キー台座に穴を開け、このトリルキーを付けて、どのような音階が得られるか試してみましょう・・・


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