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zoom RSS クラリネット:平面だけでなく立体的にキーを加工します

<<   作成日時 : 2015/01/17 23:07   >>

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画像楽器のつくり方 (150) 2015/1/17

トラベルソやオーボエと違ってクラリネットには長いキーがあります。

これらバロック木管では、両手の6つの指で指穴(音孔)を直接ふさぎます。

ここで、指の間隔にあけた指穴により正しい音程を得るため、各指穴は径の大きさに変化を付けています。

子指が届かない音孔に対しては、キーを用いて届くようにされます。

●クラリネットの特殊性

閉管の楽器であるクラリネットの特殊性ですが、全閉じ状態の指使いにて、オクターブを出すため、スピーカーSpキーを操作すると、オクターブ(8度)でなく1オクターブ半(12度)へジャンプします。
(→こちらの記事に詳述しました。)

ここで、左手の4つと右手の4つの指を用いをふさいだ状態(全閉じ)で出る音C(ド)より低い音Bb(シ)を出すにはどうするか。 また、オクターブを出すためのスピーカーSpキーを用い全閉じ状態で、B(シ)を出すにはどうするか。

答えは、右手は使えませんから唯一残っている左手小指で音孔を開閉します。

ところが左手小指からBやBbの音孔まで距離は16〜21cmもあります。 その結果、開閉するためのF#キーやEキーの長さは、17〜23cmにもなります。

●平面的なキー

トラベルソやバロック・オーボエでは、右手(または左手)小指で操作するキーの数は1〜2(または3)個。

小指で届かない音孔までの距離は2.5〜6.5cmですから、長さ4〜5cmのキーの各素片を組み合わせれば事足ります。

この長さでは、1.5mm厚の金属板(真鍮、銀、洋白)を平面的に加工することができます。

(トラベルソのEbキーの加工の例は、→こちら。)

●クラリネットの平面的なキー

クラリネットでも平面的なキーはあります。

右手小指で開閉するG#キー(5cm)、左手人差し指で開閉するAキー(5cm)、スピーカーSpキー(8cm)、そして中指腹で開閉するトリルTrキー(10cm)。

これらのキーも、1.5mm厚の真鍮板から平面的な加工を施します。

●クラリネットの立体的なキー

しかし17〜23cmもの長いキーにおいては、1.5mm厚の金属板では開閉操作により湾曲してしまいますから、強度を得るためには、3倍ほど(4.2〜4.3mm)の厚さが必要。

ところで、楽器は音楽を楽しむための「道具」。 「道具」は、人が手にして使うもの。 あまり重いと操作性が悪い。

そこで軽くするため、キー全体を同一の厚みにしないで必要個所だけ強度を持たせる構造とします。

− フォト左は、F#キーの音孔塞ぎ部。 1.5mm厚の板で平面的に加工。

− フォト中は、F#キーのバー部。 4.5mm厚板からの削りだし。 手前では薄く2.3mm。 中央では厚く4.3mm。 奥でまた薄くなり3.2mm。 

− フォト右は、Eキー。 音孔塞ぎ部とバー部が一体。 塞ぎ部は薄く1.6mm。 中央では厚く4.2mm。 奥でまた薄く3mm。

●ヤスリ掛けと磨き

現在、キーはロストワックス製法で型の中に溶けた金属を流してつくります。 その場合でも1本1本手でヤスリ掛けにより仕上げます。

フォトのキーでは、ロストワックス製法は用いず、単に4.5mm厚の真鍮板を切り出し(→こちら)、金ヤスリで削り出しました。

キー中央の厚さは4.2〜4.3mm。 少し削ればOK。 ところが両端では4.5mm厚から、1/3〜2/3ほど削り取るわけで、手作業では大変でした。

金属加工用のフライス盤などがあればもっと楽にできたことでしょう。

ヤスリ掛けの跡がなくなるよう、サンディング・ペーパーやグラスウールを用い、目の粗いものから細かいものへと順に仕上げます:

 #120/150/180/300/500/600/800/1000/1200/1500/2000/#0000 

●キーには丸みを持たせます

キーに丸みを持たせまると指が当たっても痛くなく、またしっくりと指になじみます。

とくにクラシカル時代以降、モダンに至るまで、クラリネットやオーボエのキーには丸みが付けられています。
(クラシカル・オーボエのキーの様子は、→こちらを参照。)

スムースな演奏ができるほか、キーの曲線は見るからに美しい。 機能美と言えるでしょう。


さて、バネとピボット・ボス部を付け、キーを仕上げてまいります・・・・



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