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zoom RSS 楽器展示の楽しみ:古楽フェスティバル<山梨>

<<   作成日時 : 2015/05/04 22:24   >>

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画像五月晴れの甲府を訪れました。

古楽フェスティバル<山梨>の楽器展示会にて出展することは楽しみであり、今回も大変楽しい時間を過ごすことができました。

5月1日〜3日の3日間にわたる第28回古楽コンクール<山梨>と併設された楽器展示会ですが、今回の展示場所は2つ。

ひとつは、前回と同様に甲府市内の桜座 (前回2013年の展示の様子は、→こちら) にて3日目の午前中まで。 もうひとつは、3日目の午後から、今回初めて、山梨県立図書館に移動して展示。

●展示室と展示楽器

フォトは、県立図書館1Fの104号交流室での楽器展示の様子。

真新しい県立図書館は、すばらしく開放感にあふれる建築設計がなされています。 吹き抜けの館内はどこまでも明るく、オリンピック会場のような雰囲気。

図書館ですから、当然ながら書架やインターネット接続のPCテーブル、閲覧用のデスク等が数多くあります。

ところが、それらがオープンスペースでゆったりした配置設計がなされているのです。

驚くことに、図書館を訪れる人が、この空間でさまざまな文化に触れ、交流できる企画がなされています。

今回の古楽コンクールの本選会場となった多目的ホールですが、なんと図書館内(2F)にあり、交流室なども2重ガラス張りの遮音構造で、室内で楽器演奏もできます。

フォトは、オープンフロアのテーブルで学習される方がガラス越しに間近に見えます。

外からは、楽器を展示する様子や、試奏しているさまが見えるわけですから、「何か面白そうなことをやっているなあ、中に入ってみよう」 となります。

●展示した楽器

今回は、リード楽器に絞って展示しました。

テーブル上に並べた楽器は、すべてわたしの復元楽器で右手前から:

 1 F管のクラリネット: Jean-Baptiste Willems c.1720-1740, Bruxelles,
                A=415 in F, Bate Collection #429
 2 Bb管のクラリネット: George Miller, c.1760, England,
                A=440 in Bb, Bate Collection #4009
 3/4 クラシカル・オーボエ: Thomas Cahusac Senior (-1798), London,
                A=415, Bate Collection #2013
 5 バロック・オーボエ: P. Paulhahn, c.1730, A=415,
                Nikolaus Harnoncourt Collection, (Jurg Schaeftlein), Vienna
 6 バロック・オーボエ: Jean-Hyachinth Rottenburgh (1672-1765), Bruxelles,
                A=392, Michel Piguet Collection #3
 7 オーボエ・ダモーレ: Johann Heinrich Eichentopf, c.1730, Lipzig,
                A=415 in F, Musee des Instruments de Musique, Bruxelles
 8 テナー・オーボエ: Robert Wijne, early 18c, Nederland,
                A=415 in F, Haags Gemeetemuseum, #Ea77-x-1952

このうち、Bb管クラリネットおよびテナー・オーボエは、キー未取り付けのため未完成であったものを、今回の展示のためにキーを取り付けてみました。 (Bbクラリネットにキー取り付けは、→こちら。 テナー・オーボエは、→こちらを参照)

完成させると、当時の楽器の姿で展示でき、やはりとても意味がありました。

●リード楽器の悩み

クラリネットやオーボエにはリードが欠かせません。 音出しのできるリード/チューブ/ボーカルを用意する必要があります。

楽器本体は、計測された図面から復元できますが、リードやチューブは現存しません。 したがって、楽器本体に合った最適な寸法が不明なのです。

このため、展示会へ出品するにあたり各種リードやチューブを製作したり、それらの組み合わせを試みました。

最適リードがないと、低域から高域まで、オクターブ間隔を正しく保つことができません。

また楽器本体にとっても、最適リードが見つかった後とでないと、指穴の大きさの調整、アンダーカット、内径削りによるチューニング作業ができません。

このことがリード楽器復元の最大の悩み。 一般には、とても長い期間にわたるカット・アンド・トライが必要。

●試奏者からの貴重なコメント

とりあえず楽器を鳴らせる程度のリードを用意して臨みましたが、楽器の種類も7種あり、たいへん。

オーボエ類では、チューブ長やテーパー度合いが違うもの、2段式のチューブなど、さまざまな組み合わせがありとても混乱します。

そこで、多数本を収容できるオーボエのリードケース (その様子は、→こちら) をつくり、頭の整理を行いながら準備。

最適なリード/チューブが得られず、とくにクラシカル・オーボエでは最適リード長や幅も分かず長めのリードとともに展示することに。

実際に展示会にて試奏していただいた専門の方々のコメントに基づいて、展示会場でリード長を短くしたり、出しにくい音に関する指穴の調整やアンダーカットも行い、クラシカル・オーボエのある程度の追い込みができました。

テナー・オーボエに至っては、ボーカル/チューブ長自体が不明。 予想した2種の長さのものを用意して臨むも、最適とは言えず、今後さらなる研究が必要。

●展示会の成果

デモンストレーションの機会を得て、またチラシ配布により、今回もバロック木管図書館 woodwind の活動紹介ができました。

楽器展示では、クラリネット奏者やオーボエ奏者の方々とお会いでき、種々の貴重な情報をいただいたことは今後の楽器復元に間違いなく役立ちます。

クラリネット展示は珍しく、またテナー・オーボエをも展示したこともあり、それら特殊な楽器につきあらかじめネットで見られた方などに足を運んでいただき、とても嬉しい。

また、県立図書館では、古楽の専門家だけではなく、小学生連れのご家族から、定年後の楽器練習再挑戦されようとする方まで、幅広い年齢層の方々に、見て、触って、音出しに挑戦していただきました。

これら演奏される立場の方々とお会いでき嬉しい限り。

●展示会の成果その2

わたしの展示会の参加目的は、楽器を演奏したり、資料として活かす方にお会いするばかりか、楽器製作に携わる方々との意見交換もあります。

今回も、多くの方々から、製作上のノウハウ・工夫につき情報を交換することができ、次のステップにとても役立ちます。

●懇親会・飲み会

毎夕の懇親会・飲み会も実に楽しい。

ものづくり(楽器復元・創作)の姿勢について前回の続きができ、また新たな多くの仲間と知り合うことができました。

フェアウェル・パーティーでは、「2年後にまたお会いしましょう」と言い合って、帰りの最終便の特急に飛び乗りました・・・


<<お礼>>

今回も出展できましたことは、ひとえに古楽フェスティヴァル<山梨>の企画・運営にあたられた関係各位のご尽力とご好意の賜物であり、心からお礼を申し上げます。 ありがとうございました。

 主催 古楽フェスティヴァル<山梨>実行委員会
 共催 NPO法人甲府市北口まちづくり委員会、 印傳屋上原勇七
 後援 甲府商工会議所、山梨大学、山梨日日新聞社、山梨放送


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