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zoom RSS クラリネット:大きなベルを収容する化粧箱をつくります

<<   作成日時 : 2015/05/10 15:18   >>

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画像楽器のつくり方 (158) 2015/5/10

バロック/初期クラシカル・クラリネットのベル径は大きい。

バロック木管つくりの苦労のひとつは、大きな材の確保が難しいこと。 とくに良質の黄楊(拓殖)材で顕著。

●黄楊材の径

成長が遅く、枝があちこちに伸びる広葉樹の黄楊ですから、角材にしろ丸材にしろ小径ほどまた長さが短いほど確保しやすい。

種々のバロック木管つくりで材の確保がし易い順は:

- 径に関して: トラベルソ>リコーダ>オーボエ>クラリネット
- 長さに関して: リコーダ>トラベルソ>オーボエ>クラリネット

でしょうか。 径、長さともクラリネットが最も困難です。

●クラリネットの管の分割

モダンクラリネットでは、@マウスピース、Aバレル、B上管、C下管、Dベルの5分割が一般的。 キーメカニズム連携を除き、可能な限りキー群をまとめるため上管と下管に分け、その上でベルに分けています。

これに対しバロック/初期クラシカル・クラリネットは、分割の仕方が異なります。

- マウスピース/バレル: 分割型のほか一体型あり
- 下管/ベル: 下管が中部管/下管の組に分かれるもの、また別れた下管とベルの一体型あり

●George Millerクラリネットの場合

フォトは、George Millerのクラリネット。 オックスフォードのBate Collectionには双子のオリジナル楽器が所蔵され、それらの管理番号は#4008と#4009。 面白いことに、両者の分割タイプが異なり、マウスピースとバレルに関して、一体型と分割型があります。

- #4008: @マウスピース/バレル一体、A上管、B中部管、C下管/バレル一体
- #4009: @マウスピース、Aバレル、B上管、C中部管、D下管/バレル一体

●確保すべき黄楊材の大きさ

もっとも径が大きくまた長いのは、一体型の下管/ベル。 長さ244mm。 最大径65.8mm(象牙部含む)/61.7mm(象牙部含まず)。

まともに考えると、径が70mmで、長さが250mmもの黄楊材の確保はきわめて困難。 これを克服するには、部分に分割した材を用いて寄木加工をすること。 それにしても径の70mmは大きい。

一方、モダン・クラリネットでは、分割ベルで、長さは108mm、径は72mm(金属リング含め79mm)。

●化粧箱にいかに収容するか

クラリネット化粧箱の場合、最も注意を払うべきは、その2本の長いキーを壊さずに安全に収容すること。 2本の長いキーは、Bキー(Eキー)とC#キー(F#キー)。

これらの2本のキーは一体型のD下管/ベルに取り付けられ、一体型のD下管/ベルの上につなぐC中部管のそばで操作されます。

そこで、一体型のD下管/ベルとC中部管をつないだ状態で収容する方が、キーにとっては安全と考えて、フォトのように収め、残りの@マウスピース、Aバレル、B上管をつないだ状態で収容することを考えました。

そして2本のキーが化粧箱の中で宙に浮くようにし力がかからないようにします。

●化粧箱のつくり方

最も径の大きなベルを収容するだけの深さ(65.8mm以上)が必要なことから70mmとします。 この深さ(高さ)を確保するために、上蓋の高さを30mm、下蓋の高さを40mmに決めます。

この高さの空間に楽器を浮かせる形式で収容します。 これまでの製作例は:

 - オーボエ・ダモーレ化粧箱 (→こちら
 - ローピッチ・オーボエ化粧箱 (→こちら
 - フルート・ダモーレ化粧箱 (→こちら

外形寸法: 縦(奥行)130mm x 横(幅)390mm X 高さ76mm

材料:
 - 天板/底板: 3mm厚 x 130mm x 390mm アガチス板 x 2
 - 上蓋: 10mm x 30mm x 390mm ヒノキ材 x 2
        10mm x 30mm x 110mm ヒノキ材 x 2
 - 下蓋: 10mm x 40mm x 390mm ヒノキ材 x 2
        10mm x 40mm x 110mm ヒノキ材 x 2
 - 支え板: 9mm x 30mm x 110mm ヒノキ材 x 5
 - 側板: 4mm x 20mm x 110mm ヒノキ材 x 1
 - 押え材: 幅20mm 厚さ1mm 鹿革、 幅9mm 厚さ1mm 鹿革 適量
 - ヒンジ: 24mm 真鍮製 x 2
 - パッチン(留め具) 真鍮製 x 2

天板に上蓋材を、底板に下蓋材をボンドで接着し、箱の基本部が完成。 (フォトを参照)

クラリネットを浮かせて保持するための支え板を半円(部分円)に切欠き、天板と底板へボンドで接着。 (フォト左参照)

ここで2本のキーを収容するために上蓋の支え板にはC#キー(F#キー)を、また上蓋の支え板にはBキー(Eキー)をそれぞれ収める凹部をつくります。

また側板を下蓋左側面に接着し、鹿革を両面接着テープで固定。 そして厚さ9mmの支え板に、幅9mmの鹿側を両面接着テープで固定します。

化粧箱にサンディングを施し、レモンオイルを塗ります。 ヒンジとパッチンを取り付けて化粧箱の完成。


化粧箱を完成すると、楽器を安全に保管できます。

ただし、楽器を持ち運ぶには、一般に強固なキャリングケースが用いられるます。 化粧箱を持ち運ぶには、そのままではなく、緩衝剤で包むとか、蓋が不用意に開かない工夫が必要でしょう・・・


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