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zoom RSS クラリネット:ベルと足管との分離型を試みました

<<   作成日時 : 2015/07/16 23:09   >>

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画像楽器のつくり方 (162) 2015/7/16

バロック/初期クラリネットのベルつくりの続きです。

バロック木管つくりのなかで、ベルつくりには工夫を多く要します。

その径が大きいことから、切削に大きなトルクが必要なためです。 旋盤加工で外径削りは問題はありません。

●内径加工は一般に困難

内径削りでは、一般に困難度が増します。

とくに加工すべき対象が長い場合には、切削する刃物が遠くにあるからです。 遠くにあると、内壁に直角方向に力がかかりにくいことによります。

また、加工すべき内径が大きな場合は、切削すべき面積が大きなことから、大きな切削トルクが必要なためです。

●ベルの内径加工の実際

ベルは径が大きく、内径削りを行うために、複数の径のフォースナービット(→こちら)を用いて階段状の穴をあけていきます。

ここで中心を維持するためには、大きな径のビットから始めて所要の深さを掘り、次に径の小さなビットに取り替えて階段状を掘り進めると都合がよいです。

ところがその手順で加工は困難。 最初に大きな径のビットを使用すると切削面積が大きいため、大きなトルクが必要で、また切削面での加熱がとても大きなものとなるから。

そこで実際には、小さなビットから始め、順に大きなビットに取り替えて加工し、最大径のビットに取り替えます。 するといつも切削面積を小さく保てます。

このようにして少し掘ったあと、次の階段状を掘るため、また小さな径のビットから開始し、これを繰り返します。

このようにすると、ビットの取り替え回数はたいへん多くなりますが、小さなトルクでの加工が可能となります。

量産楽器メーカーでは、切削機械の規模が異なり、所要トルクでもってあっという間に加工を終えています。

●ベル用のリーマー

量産メーカーでは、階段状の穴掘りによらず、NC加工で内ぐりを行いリーマ―によらずに瞬時に加工を終えることができます。

しかし、階段状に掘った場合には、滑らかにするための内ぐりが必要で、この場合内壁に直角に刃を当てるため、加工音も、また振動も大きなものとなります。

ある程度の内ぐりを終えると、リーマ―にて目的の内寸法に仕上げます。 この場合、径の大きなリーマーとなりますから所要トルクが大きくなるため、手持ちではたいへんです。

バロック当時のベル用リーマ―を見たことがあります。 たしかベルリン楽器博物館だったと記憶します。 木製リーマ―で、刃を持っています。 

そこで、ベル加工には手つくりのリーマ―を作っています。

●木製リーマ―

フォトは木製リーマ―の実際。 ハードメープル材でつくってみました。 クラリネットのベルは大きく、オーボエ・ベル用より大きなものとなりました。 (オーボエ・ベル用リーマ―は、→こちら

大きなトルクが必要なため、握りの径も大きくしてみました。

実際には、いきなりリーマ―加工で仕上げることはできず、各種ヤスリを併用して最終内径の寸法に近づけ、木製リーマーを目標値として、内径寸法が目標値になるように加工してゆきます。

●分離型ベル

オリジナルのミラー G. Miller のクラリネットのベルは、ベルと足管が一体となっています。 これに対して、それらを分離型とすると材の確保もしやすくなるだけでなく、加工も楽になります。 (今回の材は、→こちら

そこで、分離型としてみました。

フォトは足部管にテノンを設け、一方、ベルにはソケットをつくり、糸を巻いて撮影上、途中まで挿した状態を示します。

大まかな加工ができました。 足管には、キー溝を掘ったり、キーを取り付ける(→こちらを参照)などの作業が残っています。

あらたに入手したフライス盤(→こちら)により加工を進めてまいります・・・


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