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zoom RSS クラリネット:旋盤上で行うマウスピースのリーミング

<<   作成日時 : 2015/08/09 15:07   >>

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画像楽器のつくり方 (165) 2015/8/9

クラリネットつくりの続きで、マウスピースとバレルをつくります。

マウスピースは消耗品と言えるでしょうか。

世界の楽器博物館に所蔵されるオリジナルのクラリネットですが、バレルはついているもののマウスピースを欠くものが多くあります。

●一体型の例

マウスピースとバレルですが、もともと一体型のものから分離型へと移行したでしょうか。(→こちらも参照)

長さが短いものでは、マウスピース・バレル部分も短く分離しません。例としてベイト・コレクション所蔵のウィレムス I.B.Willems Sr のF管があります。(→こちらを参照)。

この所蔵楽器本体は、マウスピース/バレル部分を欠いています。 現代の楽器製作家が他の例を参考に復元したものが付けられて展示されています。

本体の寸法データは図面に記載されています。 しかし欠いたマウスピース/バレル部分についてはデータがありません。 そこで館長に許可を得て計測し、わたしももクラリネット全体として復元しました。

こうしてできた復元楽器を持ち込んでベイト・コレクションにて音出しもしました。

●一体型と分離型

ベイト・コレクション所蔵のジョージミラー George Miller のクラリネット(→こちら>)では、一体型と分離型の2種の双子の楽器が残存しています。

それぞれのマウスピースについて、リードをのせるレイ面を基準にしてリードが離れる距離が描く曲線の詳細データもあります。

この離れる度合いは、実に微妙で演奏する上で重要なものと思われます。

そこで、種々の曲線を試す意味でも、また消耗品であることから分離型としておくと都合が良さそう。

分離型では、マウスピースの材を変えたり、長さをも変えることも自由にできます。

●マウスピースの構造

一般にバロック木管楽器の内径は円。 円の中心の軸方向に全長にわたり円形の穴が通してあけられます。

通して穴をあけるため、全長をいくつかの部分の管に分けても、各部の管は通して円形の穴をあけることとなります。

ところが、全長にわたり円形の穴を通してあけないバロック木管があります。

ひとつの例は、リコーダーです。 ヘッドジョイント(頭部管)のくちばしです。 くちばしの各部は円形でないところがあります。

もうひとつあり、クラリネットのマウスピースです。

中心軸に沿って円形の穴(同心円)があけられず、そもそもマウスピースの形は特殊な構造となっています。

穴は途中の深さまであけられ(掘られ)ますが、その先は、中心軸から離れ、リードをのせるレイの方向の向かって曲がりながら広がる四角(台形)の穴が掘られます。

●マウスピースの穴掘り

フォトは、マウスピースの穴掘りの実際。 木工旋盤のヘッドストック側のチャックに材を結わえ、テールストック側のチャックに取り付けた各種の径のドリルで穴を掘ります。

フォトでは、10mmφの金工ドリルのほか、12.7mmφのフォースナー・ビットによる穴あけを行いました。

このとき途中の深さまでで留め、そこまでの深さにわたり、内径が徐々に狭まるテーパーを付けます。

通常、穴を貫通させる通常の木管各部ではリーミング作業を手持ちで行っています。 しかし、貫通させず途中までの穴掘りを行うマウスピースでは、外径削りの工程も残っていますから、材を切り離さすにリーミングを先に行ってみました。

フォトは、13mmφ(傾斜1/50)のヘリカル・リーマ―によるリーミングの様子。

リーミングを旋盤により行おうとすると、リーマーの刃が内径に接する長さにわたり切削が行われることから多くのトルクが必要です。

実際には、すぐにスタックしてしまいます。

そこで、旋盤上で、リーミングを手作業で行ってみました。 ヘリカルリーマーをチャックに取り付けたまま、左手でヘッドストック側のチャックをつかんで手前に回し、同時に、テールストック側のチャックを右手につかんで向こう側に回します。

結構うまくリーミングが行え、深さ方向に進むにつれ、テールストック側を進めます。

このようにして中心軸があった状態でリーミングが行えました。


マウスピースつくりは、変則な形状ですから、このあとの作業はすべて手削りで行ってまいります・・・


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