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zoom RSS クラリネット:マウスピースは同心円加工ではありません

<<   作成日時 : 2015/08/13 23:14   >>

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画像楽器のつくり方 (166) 2015/8/13

クラリネットつくりの続きで、バレルとマウスピースの分離型を紹介します。

マウスピースとバレルの一体型に比べ、分離型とすることで何かと便利となります。

●バレルの働き

モダンのクラリネットではマウスピースとバレルとが分離されています。 (→こちらを参照)

バレルですが、一種類ではなく長さが異なる幾種類かを用意しているメーカーがあります。

長さが異なるバレルの働きですが、演奏ピッチを変えることができます。

クラリネットのピッチ合わせは、管を抜くことによります。 マウスピース、バレル、上管、下管、そしてベルのそれぞれの接合部分をわずかに抜くことによりピッチを下げることができます。

このうち、マウスピースとバレルと上管のそれぞれの接合部分を抜く代わりに、長さの異なるバレルを用意して差し替えることにより、これらの部分で変えられる音域に対しピッチ変更ができます。

長さが短いバレルを用いれば、ピッチを上げることもできますから、長、普通、短いバレルを用意すれば対応できる範囲が増すことになります。

演奏する部屋の温度によりピッチが変わります(気温に対するピッチの変わり具合については、→こちら)から、バレルでの調節は便利でしょうか。

●マウスピースの働き

リード楽器では、リードつくりの善し悪しが演奏上極めて重要となります。 

たとえば、ダブルリードのオーボエ族では、2枚のリードの開きとか形状で音色や吹奏管、柔軟性などが決まりります。 オーボエ本体はリードと比較して、それほど影響する要素は少ないです。

 「オーボエ、リードなければただの管(くだ)」

では、シングルリードのクラリネットではどうでしょう。 リードと相対するマウスピースのレイの部分とで、閉じたり開いたりします。 このリードとレイとの離れ具合(距離)が微妙です。

先端で、1mm前後の開きを持ちますが、リードの根の部分では、もちろんレイに接しています。

そこで、マウスピースは、オーボエのリードと同じくらい重要な働きを持ちます。

●バレルつくり

フォトの右は、今回つくったバレル。

バレルの構造ですが、単に穴があけられただくのもの。

バレルの上半分は、マウスピースのテノンを受け入れるソケットになっており、バレルの下半分は、上管のテノンを受け入れるソケットになっています。

フォトのバレルの場合、その長さは、これらマウスピースと上管のテノンの長さを足し合わせたものとなっています。

ここで、バレルの内径は、音響上影響する要素はなく、音響上影響するのは、マウスピースのボア(内径)および上管のボア(内径)となります。

マウスピースの内径は13.6mm〜14.2mmの広がりを持ち、上管の内径は、14.3〜14.4mmの一定径です。

このような設計ですから、バレルの長さを短くすることはできません。 短いバレルをつくる場合には、それと合わせて、マウスピースのテノンの長さを短くする必要があります。

●マウスピースつくり

フォト中央は、今回作ったマウスピース。 とくにレイとリードの間隔を1/100mm単位で調整して音が出るようにします。

フォト左は、今回の2本目のマウスピースの製作途中の様子。 マウスピースの寸法パラメータを変えて、どのように吹奏感が変わるか研究すべくつくりました。

フォトのように、旋盤上で回転させた材を削ると、中心軸を同心とする外径ができます。

しかし、マウスピースの仕上がりの形状は、同心円とはかけ離れた、独特のものとなります。 マウスピース先端の位置は、中心軸上にはありません。 中心からずれています。

このずれた先端に向かい、手彫りで傾斜をつけます。 反対側にリードが載るレイをつくります。

レイつくりには、ナイフとヤスリを用い平面でなく緩やかなカーブを描くようにします。

問題は、そのあと。

テノン側から同心にてドリル穴をあけ、リーマー(→こちら)ほかの工具により断面が円の内径つくりを施した後、今度は、断面が円でなく四角(台形)の穴を導き、レイの上にぽっかりと長い台形の出口をつくります。

シングルリードであるクラリネットでは、断面が円と四角(台形)のつながりを持っているのです。

言葉ではうまく説明ができません。 また、図面を見ても、立体的にどのようになっているかわかりにくいものです。

そこで、百聞は一見にしかず。 モダンクラリネットのマウスピースの構造をよく眺めるのが一番です。

●ピッチ調整

このジョージ・ミラー George Miller のクラリネット(→こちら)ですが、演奏ピッチは、A=430-440Hzあたり。

クラシカル時代の演奏ピッチが現代ではA=430Hzが多く用いられることから、このピッチに合わせ込むために、バレルの長さではなく、マウスピースで長さを変えることが考えられます。

そのために、長さの異なるマウスピースも用意するのがよいでしょう・・・


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