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zoom RSS クラリネット:複数のマウスピースを試してみます

<<   作成日時 : 2015/09/07 18:52   >>

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画像楽器のつくり方 (171) 2015/9/7

クラリネットつくりの連載です。

オーボエのダブル・リードに対して、クラリネットはシングル・リードの楽器。

リード楽器は、いかに良いリードを入手するかが決め手。

入手にあたり、市販の完成リードのほか、材料のケーンから自分でつくることとなります。

●オーボエの場合

オーボエ吹きは、もっとも自分に合った調子の良いリードを得るために、頻繁にリードをつくります。 人生の半分をリード削りに当てているというのはオーバーでしょうか。

たしかにダブル・リードの場合、独特の形状(場所により異なる厚さ)に仕上げることは熟練を要します。

モダン・オーボエならば、ある程度楽器やリード寸法が標準化されていますから、完成リードであれ、チューブやケーンの素材からつくることができます。

しかし、バロック・オーボエの復元では、オリジナル楽器(モデル)により、リードが異なり、標準はありません。

そこで、各種径やテーパー度合いが異なるチューブを用い、幅や長さやプロファイルが異なるケーンを組み合わせて、オリジナル楽器に合わせ最適なものを探す必要があります。 (種々つくった例は、→こちら

このリードつくりが、バロック・オーボつくりで苦労するところ。

●クラリネットの場合

クラリネットではどうでしょう。

シングル・リードのクラリネットは、マウスピースが必要です。 (→こちら、や→こちらを参照)

マウスピースに取り付けたリードが振動し、くっついたり離れたりするときに音が発生します。

くっつく瞬間に管が閉じられますから閉管と呼ばれます。 その先端では、音の振動がゼロとなる節になりますから、この先端を節とする音波が発生し、奇数倍の周波数成分を有することとなります。

このマウスピースのオープニング(先端でのリードとの開き)により、振動する量(振幅)が決まり、広いと音量が増えます。

一方、リードが固い場合、このような振動量(振幅)を得るためには、強い息が必要。

強い息を吐くことに慣れていない場合には、よりやわらかいリードを用いることとなります。

モダン・クラリネットでは、標準化されたマウスピースやリードが市販されていますから、購入して、リードを自分に合うように調整することで済むでしょう。

しかし、バロック/初期クラシカルのクラリネットでは、標準サイズのマウスピースやリードはなく、オリジナル楽器の復元では、適切なリードを想定してつくるしかありません。

●現存するリードが少ない

クラリネットの場合でも、消耗品であるリードに関し現存するものはきわめて少なく、想定してつくることとなります。

クラリネットでは、マウスピースも消耗品と言えるでしょうか。 現代のエボナイトなどの材質がなかった当時、欧州黄楊や、黒檀ほかの硬材が使用されたことでしょう。

木材ですから、頻繁に濡れてしまうマウスピースの寿命も半永久とはいかない。

このため複数本あるとよいですね。

●複数本のマウスピースの収容箱

どのようなマウスピースやそれにあったリードが適切なのか。 いろいろとトライするしかありません。

そこで、マウスピースの形状を種々つくり、それらに合わせてリードもつくり、組み合わて最適なものを探すこととします。

クラリネットの保管ケース(→こちら)には、本体にマウスピースを挿したまま収容できるものの、複数本のマウスピースを一緒に収容できません。

そこで、マウスピースを保管できる収容箱をつくってみることとしました。

リードは、マウスピースにひもで結わえますから、リードを付けたまま持ち運びができると便利ですね。

●収容箱のつくり方

これまでに、オーボエやクラリネットなどバロック木管の保管箱をつくってきました。 いずれも、立体的に楽器を宙に浮かす構造としています:

- バロック/初期クラリネット   →こちら
- バロック・オーボエ       →こちら
- バロック・オーボエ・ダモーレ →こちら
- フルート・ダモーレ       →こちら

また、リードケースもつくりました:

- テナー・オーボエ/オーボエ・ダモーレ/バロック・オーボエ/クラシカル・オーボエ用 →こちら

そこで、これらの経験から、クラリネットのマウスピースの収容箱を設計しました。

フォトは、収容箱の外観。 4本まで収容できます。 材料とつくり方ですが、

- 天板と底板: 189 x 120 x 3 mm アガチス材 2枚
- 前後側板: 189 x 15 x 6 mm ヒノキ材 4本
- 左右側板: 108 x 15 x 6 mm ヒノキ材 4本
- 上下支柱: 177 x 30 x 9 mm ヒノキ材 1本
- 載せ台板: 177 x 15 x 6 mm ヒノキ材 2本
- 鹿革: 適量

天板に側板を、また底板に側板を木工ボンドで接着して箱が完成。

上下支柱の幅30mm板に、22φの穴を4つあけたあと、半分に、15mm幅となるように切断し箱の上下から向かい合わせとなる位置に接着。

マウスピース載せ台板を底に2枚ボンドで接着し、高さ12mmを確保。

マウスピースが当たる部分に鹿革を適量貼って完成。


このように、しゃれた専用の箱が完成しました。 今後は、各種の木材にて、寸法および構造が少し異なるいくつかのマウスピースをつくり、比較検討してまいります・・・・


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