バロック木管図書館 woodwind

アクセスカウンタ

zoom RSS バロック・オーボエ:キーが付くと優美な姿が現れます

<<   作成日時 : 2015/10/14 00:57   >>

トラックバック 0 / コメント 0

画像楽器のつくり方 (177) 2015/10/14

バロック・オーボエつくりの連載です。

ニコラウス・アルノンクール Nikolaus Harnoncourt コレクションのP.Paulhahnモデルですが、ユルク・シェフトライン Jurg Schaeftlein が所有し使用していた楽器と思われます。

今回の連載でこのモデルの2回目のチャレンジとし、つくりやすさと同時により精密さを加えて、完成度を高める工夫をしました。

フォトは、1回目のもの(奥)と今回のもの(手前)とを比較するために撮影したもの。

●より精密に

図面データから復元しますが、実際の製作には加工誤差が混じります。

各モデルのつくり方の要点がそれぞれ異なり、手順や段取り、使用する工具や治具なども異なります。

今回、フライス盤を導入し、穴あけ、キー溝掘り、キー座つくり、軸穴あけ等の場面で精度を高めることができたことに加え、各工程において失敗要因を排除することができました。

さらに外径についても、丸いふくらみなどもオリジナル楽器により近づけています。 (外径のふくらみの様子は、→こちらも参照)

●木材で同じものはない

バロック木管は、木材からつくりますが、木は、1本1本異なります。 したがって、金属やプラスティックの量産製品つくりとは異なる要素が多く入り込みます。

色や木目の流れ、杢(もく)の入り方、比重や細胞の緻密さなどが異なるものから適切に選び出す必要があります。

使用した欧州黄楊ですが、一般に木管に使用するとき、緻密で比重が大きいものは明瞭な音色が得られる傾向があります。

しかし、オーボエの場合は必ずしも比重の大きいものが最適とは言えないようです。 文献の記述を見ると軟らかい材をでは温かみのある丸い響きがするとあります。 ただし硬い材は上管に用いるとあります。

現代の大ホール演奏の要求から固くしっかりした音色でホール隅々まで通る楽器が求められますが、バロック時代の要求とは一致しないことでしょう。

今回の欧州黄楊材は、1回目のものと比べて少し重く感じます。 実際には数グラムの差しかありませんが。

これは外径寸法をより正確に作ったための差異や各部のバランス上の持ち重り具合から来るのでしょう。

今回のものは、柾目の個所に現れる杢も入っており魅力が増しています。

●キーの取付け

キーの数ですが、フォトで見比べて分かるように、今回のものは、本来の3鍵を取り付けています。 本来、バロック・オーボエでは、右利きと左利きのいづれも演奏が可能なように、左右対称の形で構成されます。

もっとも現代では、上管を左手、下管を右手で操作することが一般で、そのため2鍵あれば十分。

オリジナル楽器をできるだけ忠実に復元したい思いから本来の形を再現してみました。

(キーつくりは、→こちらを参照)

●内径の形状

一般に、バロック木管の内径は複雑なテーパーをしています。

これは、倍音の含ませ方によるほか、指穴間隔を保つために理想の位置に理想の大きさの穴あけができないことによります。

ところが、細部をよくみると、調整(調律)段階にて、音孔を広げたりアンダーカットを加えるほかに、特定個所の内径削りによりピッチのほか、オクターブ間の開きを合わせることも行います。

結果として、オリジナル楽器の内径があちらこちらで不規則になります。 また、後年において楽器に対する要求に合わせ手が加えられている場合もあり、その結果として複雑な内径になっているのです。

ところが、このP.Paulhahnモデルは、きわめて直線的で、内径加工のほとんどあとがありません。 それでいて、正しい音程が取れるみたい。

2回つくってみましたが、いづれも同じくよく鳴る特性を持っているようです。

●新・福岡古楽音楽祭での展示

来る、10月23−25日に博多で開催される新・福岡古楽音楽祭の展示コーナーにバロック木管(オーボエ類とクラリネット)を展示するために準備をしています。

この2本のP.Paulhanhnオーボエも、それら展示品に加えるため、さらに調整しています。 (前回のときの調整については、→こちらに様子を示します)

とくに、今回のものは、興味ある方がいらっしゃれば、お譲りできればと思っています。

みなさまもこの会場にお越しいただいて、これらのバロック木管を自由に試奏なされてはいかがでしょうか。

会場で、みなさまにお会いできることを楽しみにしています・・・




【関連記事】
  青字クリックで記事へジャンプします。

バロック・オーボエ:滑らかなふくらみが魅力的なP.Paulhahnの機能美
バロック・オーボエ:真鍮板からキーをつくります
バロック・オーボエ:キーを取り付け音程を調整します


テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
バロック・オーボエ:キーが付くと優美な姿が現れます バロック木管図書館 woodwind/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる