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zoom RSS 欧州黄楊の半丸太からベル材を木取ります

<<   作成日時 : 2015/11/30 23:30   >>

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画像楽器のつくり方 (181) 2015/11/30

欧州黄楊(拓殖) European Boxwood (学術名:Buxus sempervirens)は、貴重な材。

緻密な材で、稠密加工もでき、装飾に富むバロック木管楽器に多く用いられました。

もっと柔らかい材では、音もやわらかくて輪郭もうすく、もっと固い材では音も固くなってしまうところ、欧州黄楊のいわゆる「木の音」にぬくもりが感じられます。

現在、入手が困難になりつつあります。

成木するに年月を要し、楽器に適する材に育つまでには100〜150年かそれ以上。 伐採すると、植林しても何世代も先に使用できるかどうか。

●黄楊材 Boxwood の魅力

色は白っぽい黄色。 オイリングすると途端にきれいな黄色となります。

貴重な黄楊ですから、量産楽器メーカーなどでは代用材も用いられます。 名称こそ黄楊 Boxwood でありながら、黄楊種でないものもあります。

それら代用材は、比重が軽く、また本黄楊の持つ光沢がないものも。

本黄楊の様子は、
 ・欧州黄楊と和黄楊の比較 →こちら
 ・種々の黄楊材の比較 →こちら
を参照。

●オーボエ/クラリネットのベル材

バロック木管で、黄楊材の確保が難しい(→こちら)のは、とくにベル用の大きな径の材の場合。

仕上げ寸法ですが、オーボエ・ベルの最大径Φ55〜65mm、クラリネット・ベルの最大径Φ65〜75mm。

一般に、芯を含む丸太材は、伐採後の乾燥によりヒビが入ります。 そこで、割れないように半丸太にされます。

この半丸太からベル材を木取るわけですから、ベルの最大径を確保するため半径で55〜75mm、直径にして110〜150mm以上の黄楊材を入手することとなります。

●ベル材の木取りの試み

フォトは、フランス産の欧州黄楊(一級品)の半丸太。 10年近く乾燥させたもの。

この半丸太から木取りを開始しました。

長さは、880mm。 径は、根本でΦ150mm、先でΦ140mm。 6インチ(160mm)長の材を、先から3つカットしたところ。

とても緻密で固い材ですから、電動のこを用いても、1カットするだけでも、けっこうな時間が掛ります。

カットした2つを向かい合わせにしてみました。 元の丸太のイメージとならず、両端で隙間が広がっています。 

乾燥させると両端側が縮みます。 このことから、楽器に使用するためには、十分な乾燥が必要なのです。(→こちらも参照)

●歩留り

これら3つのカット材から、いったいベル材がいくつとれるでしょう? 

答えは、3つ。

しかも、オーボエ・ベルのΦ55mmものを想定。 これより太いクラリネット・ベル用Φ65mmものは取れません。

手前は、実際のバロック・オーボエの完成したベル。 径が細いように見えますが、問題は、ベル底部の最大径53mm。

ベルの後ろは比較のため、ベル用2.5インチ(63mm)角材から丸材にしたもの(仕上がりΦ61mm)を示します。

この丸材から、ベルが1つ取れるのです。

これから分かるように、カット材のそれぞれから、仕上がり寸法Φ55mmの丸材がやっと1つとれるかどうか・・。

ちなみに、まだカットしていない根本のあたりからは、クラリネット用の丸材を確保したい。 オーボエ用のΦ55mmであれば、横に2つ並べた取り方もできるかも知れません。

フォトで見て想像できることは、たいへん高価で貴重な半丸太材から、最終的に、完成ベルが5〜6つ取れるだけ。

元の半丸太の体積(重量6.5kg)から削り出し、最終的に、ベル(重量100g)が6つ。

歩留りは、100x6/6500=0.092 。 すなわち、わずか 9.2% 。


自然の恵みから採れた貴重な材。 感謝の気持ちに心を込め、美しい音色を奏でるオーボエやクラリネットのベルに生まれ変わらせてまいります・・・


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