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zoom RSS バセット・ホルン:中抜きでマウスピースを試します

<<   作成日時 : 2016/01/23 17:01   >>

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画像楽器のつくり方 (189) 2016/1/23

バセット・ホルンの復元製作の連載、先へ進めます。

クラリネット族の木管では、マウスピースが重要な働きをします。

マウスピースに取り付けられたリードが振動して発音しますが、リードが反り返ったあと、つぎのサイクルでマウスピースに押し当てられ開口部を塞ぎます。

問題は、いかに開口部をぴったりと塞ぐかどうかです。

特殊な「閉管」を形成するクラリネットが奇数倍音しか含まないのは、この塞いで閉じるメカニズムにあります。

●マウスピースつくりの難しさ

楽器博物館に所蔵されるオリジナルのバセット・ホルンを計測し、その寸法どおりにマウスピースを復元します。

しかし、計測図面に記載された寸法パラメータのデータは詳細にわたるわけではありません。 他の楽器の測定データを参考にしながら、入手図面に自分でデータを加えたものにより復元します(→こちら)。

マウスピース内部の空洞寸法を計測することは困難を伴います。基準となる部位として適切なところがなく、仮想の部位を基準とした計測値にならざるを得ません。

たとえば、リードをレイに載せたとき、マウスピース先端とリード先端管の隙間の計測では、位置固定したマウスピースのある点を基準として相対的な位置の計測によることとなります。

先端で最大となる、わずか1mmほどの隙間と、レイに密着したところ(隙間0mm)までの曲線の計測が必要です。

1/100mm単位の計測となりますが、計測できたとしても、今度はその精度で復元することもまた難しい。

実際には、曲面の形状が、リードが曲がったときのそれと一致していなければ、そこに隙間ができ、しっかり「閉じる」ことができなくなります。

実際には、この曲線とその度合いに関しては、リードを当てて吹きながら、なめるようにして1/100mm単位で調整することとなります。

密着度を見るには、レイに水を付け、透明のプラスティック板やガラス板を当て、表面張力で水が拡がる度合いを見て進めます。

●リードつくりの難しさ

博物館には、現存リードがありません。 消耗品ですから。 クラリネットの場合は、リードだけでなく、マウスピースやバレルなど取り外せるものは紛失していることも多いみたい。

そこで、リードについては、多分こうであったのではと想像を働かせて復元します。

通常のクラシカルのBbクラリネット(→こちら)のリードでは、モダン・クラリネットのBb用あるいはEs用のリードから削ってつくります。

その場合でも、モダンとは、長さや幅が異なるわけですが、それに厚さやその位置分布などパラメータが無限にあり、適切なリード形状と寸法を見つけるのに苦労します。

今回のバセット・ホルンですが、Bbクラリネットよりも4度低いF管で、さらに最低音が低く設計された楽器ですから、全体的に低域で振動するリードが必要であると予想されます。

レイ(テーブル)の寸法も長く、開口部も長いため、モダン用リードよりさらに長く削ることが必要であると考えて試作を開始。

●Bbクラリネットとバセット・ホルンの寸法比較

フォトは、左がバセット・ホルンのマウスピースとバレルにベルを足したもの。 右は、Bbクラリネットのマウスピースとバレルに上管をつなぎさらにベルを足したもの。 下は、バセット・ホルンの上管と、ニー(下管との接続つなぎ部)。

Bbクラリネットと比較してバセット・ホルンの寸法が大きい様子が分かります。

楽器としてはBbに対して4度低いF管ですから、5半音分低い。 したがって、ピッチは、

 1.06x1.06x1.06x1.06x1.06=1.33 倍

すなわち、4/3 倍低く(3/4倍高く)、管の長さも 4/3倍 したがって33%長くなります。 (長さとピッチについては、→こちらも参照)

Bクラリネットの上管の長さは、195mm。 これに対して、F管バセット・ホルンの上管の長さは、260mm。

検証してみます。 195mm x 1.33 = 260mm、 丁度でした。

●音出しの試み

はたして試作マウスピースとリードを組み合わせて音が出せるか。

マウスピースの適切な曲面とリード間の開きを調整し、また、リードの削り方を工夫して音が出せる状態にしました。

しかし、あきらかにバセット・ホルンは管が長く、アドミッタンスがとても低い(インピーダンスが高い)。 吹き込んでも、反射して返され、息が出てゆきません。 上管までの接続ではなんとか響いても、下管をつなぐと音になりません。

そこで、マウスピース単体から始め、途中の管を「中抜き」にして順に接続しながら音出しを試みます。

Bbクラリネットと合わせ、A=430Hzにてピッチ測定したところ:

- バセット・ホルン:  マウスピース+バレル+ブラスベル  = G#’音
              マウスピース+バレル+上管のみ  = G音
              マウスピース+バレル+上管+ニー = F#音

- Bbクラリネット:   マウスピース+バレル+上管のみ     = C’音
              マウスピース+バレル+上管+木製ベル = B音

が得られました。 上管まで接続した状態で、BbクラリネットのC’音に対して、バセットホルンではG音。 丁度、4度低い楽器であることが分かります。

さて、このあとは下管を接続し、さらに足管(ボックス部含む)とブラスベル(→こちら)を接続してみますが、果たして音が響くでしょうか。


マウスピースの調整とリードの研究を続けてまいります・・・    


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