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zoom RSS バセット・ホルン:まっすぐな姿でも魅力的な音がします

<<   作成日時 : 2016/02/22 21:43   >>

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画像楽器のつくり方 (196) 2016/2/22

バセット・ホルンを復元しながら、つくり方を紹介する連載です。

曲がっていることが特徴であるクラリネット族のひとつのバセット・ホルン。

木管や金管などの管楽器の形はさまざま。 まっすぐのもの、曲がったもの、折りたたまれたもの、さらには、ぐるぐると巻かれたものなど。

そのような形で正しく音が出るのか。

空気の柱、気柱が確保できるかどうかで、実際には気柱において定在波ができ、定在波で決まる周波数(ピッチ)の音が生まれます。

台所や洗面台の下の水道のU字管ですが、水の分子は小さく曲がっていても水は流れます。 空気の分子も同じ。

●バセット・ホルンの曲がる部分

直線的なイメージで折れ曲がるバセット・ホルンが一般的。 上管と下管との継手(ニー)で角度を付け、これにより左右の手で構えやすく、また持ち重りがしません。

ニーのほか、上管とマウスピースの継手のバレルでも角度を付けるものもあり。

今回の復元モデルのグレンザー Johann Heinrich Grenser は、両方で角度が付けられています(→こちらも参照):

 ・ニー部   47度
 ・バレル部 22度

バセット・ホルンは、さらに、その管の内径において曲がる部分があります。 足管ボックス(箱)部。

足管ボックス部には、内部にU字管が2個所。 下管と繋がれた内径は、内部で1往復半折れ曲がり、その先につながれた真鍮製ベルに達します。(→こちら

●まっすぐなバセット・ホルン

フォトは、復元中のバセット・ホルン。 

奥には、足管ボックスに真鍮ベルを繋いだもの。 手前は、マウスピース、バレル、上管、下管、足管の一部を一直線に繋ぎました。

フライス盤専用の治具(→こちら)を用いて、各音孔の穴あけを実施。 本来曲がるニーとバレルは、直線状のままで、後の工程で「曲がり」をつける予定。

ところで、曲がっていても、直線上でも、管長が同じなら音程は同じ。

初めてつくるバセット・ホルン。 各部に課題があり、工夫を凝らして加工したものを逐一解決できたかを確かめながら進めます。

マウスピースの形状に関し、入手図面に詳細な構造が記載されておらず、想像を働かして加工しました。

マウスピース単体では鳴るものの、バレルで上管に接続すると、アドミッタンスが低く(インピーダンスが高く)息苦しくて音が出にくい。 なんとか上管までなら鳴る状態でした(→こちら)。

そこで、上管の先に下管や足管、そしてベルまでつけたときに本当に音が響くのか確かめる必要あり。

響かない原因が、内径(ボア)各部での段差によるのか、マウスピース自体かを切り分けないと、その先の足管やベルまで接続するのも躊躇されます。

そこで、マウスピースの問題かどうか別のマウスピースとして、ジョージ・ミラー George Miller のBbクラリネット(→こちら)のものを借りる形で、バセット・ホルンを鳴らしてみました。

●音階のピッチの確認

Bbクラリネット用のマウスピースは、テノン長が長く、内径も少し狭い。 したがって、管の実長が長くなりピッチは下がると予想。

繋いでみると、魅力的な音がしました。

音階を得るには、各音孔の開閉が必要なものの対応キーは未取り付け。 しかし、気にしない。 

指穴、0、1、2、3、4、5、6 は、通常通り指で開閉。 左手操作の、Sp(スピーカー)キー、Aキー、および右手操作の、Ab/Ebキー、F/Cキー、F#/C#キーについては、必要時にテープを張れば済むのですから。

この工夫により、上から下までのキーを開閉することで音階をつくりました。

すると、低音域は、とても豊か。 しばし感激。

一般に、バロック木管の標準ピッチは、A=415Hz。 モダン楽器による、J.S.Bachなどのバロック音楽を聴いたあと、A=415で聴くと、たった半音ですが重みが感じれます。 さらに半音下げ、A=392とすると、しっとりと落ち着きまるで異なる音楽のよう。

これと同じ感覚を覚えました。 Bbクラリネットから4度低いバセット・ホルン。 たかが4度、されど4度。

4度の違いは大きく、低音の豊かさが増すのです。

このグレンザー J.H.Grenser のバセット・ホルンにBbクラリネットのマウスピースを繋ぐと、長さにして13mmほど長くなり、およそ半音低くなるはず。

各音孔の径は暫定のもので、またアンダーカットもせずに未調整。 しかし大雑把ですが A=430 のピッチが確認できました。 以下の表示は、半音違いのまま:

  ● ●●● ●●● ●  A音
  ● ●●● ●●●     B音
  ● ●●● ●●○     C#音
  ● ●●● ●○○     D#音
  ● ●●● ○○○     E音 (本来F音)
  ● ●●○ ○○○     F#音
  ● ●○○ ○○○     G#音
  ● ○●○ ○○○     A音
  ● ○○○ ○○○     B音
  ○ ○○○ ○○○     C#音
Sp ● ●●● ●●● ●  F音
Sp ● ●●● ●●●     F#音
Sp ● ●●● ●●○     C#音
Sp ● ●●● ●○○     Ab音
Sp ● ●●● ○○○     B音
Sp ● ●●○ ○○○     D音
      ・
      ・

●木の内に宿る美しさ:杢(もく) (→こちらも参照)

上管や下管をよくご覧ください。 黄楊材の表面に杢(もく)が見えます。 (→こちらも参照)

杢は、柾目に現れます。 この美しい杢を正面に見えるように穴あけを行いました。

縦に構えたとき、正面から見ると左斜め上から右下に向かってきれいな縞模様。 管の裏側も柾目になりますから杢が現れ、反対に右斜め上から左下に向かった縞となっています。


木管楽器つくりの楽しみのひとつは、木目や杢の美しさを手に入れること。

気が休まります・・



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