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zoom RSS バセット・ホルン:しっとりと上品な機能美を見せる足管ボックス

<<   作成日時 : 2016/03/03 15:59   >>

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画像楽器のつくり方 (198) 2016/3/3

バセット・ホルンつくりの連載も後半に入りました。

クラリネットの低音域を増強したバセット・ホルン。

増強を受け持つ主要部は、足菅ボックス部にあり。 最低音域のE音、D音、C音を生み出します。

●仕上がりイメージ

フォトをご覧ください。 足管ボックス部です。

欧州黄楊の半丸太から切り出(→こちら)し、その外形を大雑把に削ってキー台をつくり(→こちら)、3本の穴をあけ(→こちら)、足管ソケットをつくりU字管の加工をしました(→こちら)。

さらに足管の一部(→こちらのフォトの右端)をテノン加工し、ソケット内へ接着し、C音孔のキー台も欧州黄楊材でつくって接着。

キー台は最終形状に加工したあとキー溝を掘り、対応する音孔のドリル穴あけを実施。

大雑把であった外形ですが、やすり掛けにより内側に曲がる滑らかな曲線を削り出し、また天部と底部につくったU字管の長円の溝には栓をつくり嵌め込み。

これにより仕上がりイメージを得ました。

●斜め穴あけ

3つの音孔を対象穴の中心軸に向かってあけます。

一般に、木管の音孔はキーパッド面に対し垂直にあけます。 しかし足管ボックスでは、パッド面に対し斜めの穴あけが必要:

 E音孔 → 第1穴に対し、25°傾斜、7.5mmφ
 D音孔 → 第1穴に対し、2°傾斜、9mmφ
 C音孔 → 第2穴に対し、5°傾斜、9.5mmφ

これら斜めの穴あけにフライス盤を用いました。

購入したフライス盤ですが、その回転軸を0度(垂直)から90°(水平)まで傾けることができるので便利。

●艶めかしいほどの機能美

ところで、ボックス部のサイドですが、楽器を構えた右側は平面。 一方、左側は内向きに凹む曲面。

フォトで左側に注視してください。 いたるところ滑らかな曲線で構成されています。

このように内側に窪ませる理由ですが、ひとつには軽量化。

通常の木管では、必要な管厚を保ち断面が同心円を描くよう加工されます。 しか、ボックス部では、同心円加工でなく、ボックス(箱)に14〜25mmφの3つの管があけられます。

3つの管の残りの塊りは大きく、管厚が平均して大きなもの。 重量が必要以上にあります。 そこで、軽量化を図るため、内側に凹んだ痩せ型としたのでしょう。

つぎの理由として、操作性があげられるでしょう。

バセット・ホルンは大きな楽器で、着座して演奏するとき、ボックス部からベルに至るあたりがひざ近くになります。

そのため両ひざで楽器を挟むと安定し、重量負担も軽減され、操作性が向上します。

ボックス部を膝で挟むなら、上下に動くことがないよう内側に凹みを持たせるとよい。

実際に、現状ではまっすぐな楽器(→こちら)を仮に構えてみました。 すると、右側が平面であっても、左側の凹みが左ひざの内側にぴったり合い、安定して挟むことができます。

ところで、このボックス部の形状ですが、フォトで見るように滑らかでしっとりと上品な曲線を描きます。 見た目の美しさと、楽器としての操作性の両方を持ち合わせています。

楽器は音楽を奏でるための道具。 道具は人が使うもの。 人が使いやすい形は、まさに「機能美」と言えるでしょう・・・


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