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zoom RSS ローピッチオーボエ:適合リードを見つけました(その2)

<<   作成日時 : 2016/03/17 22:09   >>

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画像楽器のつくり方 (200) 21016/3/17

オーボエには、リードつくりが欠かせません。

問題は、バロック・オーボエなど当時の木管楽器に設計基準はなく、製作家の独自設計であること。

モデルに対応するリード形状・寸法もバラバラ。 それぞれに最適値があります。

消耗品であるリードですが、現存数がきわめて少。 しかもオーボエ本体との組合せでの現存はまれ。 そこで復元楽器に適合するリードを見つけることが必要となります。

●復元オーボエの調整: 楽器が先か、リードが先か?

ロッテンブルク J.H.Rottenburgh のローピッチ・オーボエを復元しました(→こちら)。

オリジナルのピッチはA=400Hzあたりでしょうか。 オーボエのピッチですが、ある範囲にわたって演奏が可能です。 たとえば、A=396〜406Hzなど。

現代におけるバロック・フレンチピッチ標準のA=392Hzに調律することが実際的なため、その標準ピッチに合うリードをつくります。 そして得られた適合リードを基に楽器を調整することになります。

●最適リードを構成するチューブを探す

適合するリードに用いるチューブですが、そのサイズやテーパー度合いなど、パラメータを求める必要があります。 ただし、パラメータの組み合わせは無数。

ここで、 テーパー度合いによりオクターブ間の音の開きが出ます。 (→こちらも参照)

テーパー度合いの適切な値を見つけてリードを完成させ、本体の内径や指穴アンダーカットなどの調整を行うのです。

チューブだけではありません。 ケーンの厚さ、幅、形状(プロファイル)などのパラメータも無数ですから、適合値を見つけるのに手間ひまが掛ります。

●最適リードつくりの試行錯誤

先に復元したばかりのものを古楽コンクール<山梨>にて展示しました(→こちら)が、そのとき適合リードがなく不完全でした。

次に開かれた古楽フェスティバル<山梨>(→こちら)では、適するリードを見つけ展示するも特定音(たとえばD音)の発音問題などがありました。

リードつくりを継続し、ようやくリードらしきものがつくれるようになり、先だっての福岡古楽音楽祭2015には、いくつかのリードとともに展示しました(→こちら)。

●チューブ選定とテーパー度合い

チューブの構成方法はいくつかあり。 短いボーカルにモダンのコーラングレ(イングリッシュ・ホルン:EH)用チューブを継ぎ足すことがそのひとつ。 継ぎ足すので、チューブ全体ではテーパー度合いが2段階となります。

市販EH用チューブが使えるので多数のリードを用意しやすい。 各メーカーから提供されれチューブは、サイズやテーパーがわずかに異なり、適するものを探すこととなります。

他の方法は、継ぎ足さず1本のチューブを用いるもの。 これを自分でつくる場合は任意のテーパー度合いが得られますが、心金製作や絞り加工が必要。 一方、市販チューブでは、その仕様が復元楽器に適するか確かめることとなります。

●リード材(ケーン)の選定

ケーン選定も試行錯誤によるため時間が掛ります。

クラシカル・オーボエ(→こちら)、バロック・オーボエ(→こちら)、オーボエ・ダモーレ(→こちら)、そしてこのローピッチ・オーボエ(先の適合リードは、→こちら)のそれぞれの適合リードにつき試行錯誤を行った結果、それぞれに適するパラメータとして、とくにリード幅が重視なことを確認しました。

それぞれの音域を受け持つ本体のサイズ、とくに内径が、高音を得るものは細くなっています。 内径は、先に広がるテーパーですが、リード自体がそのテーパーの一部を構成します。

リードがテーパーをなす円錐ではないその形状から、チューブ以降のオーボエ本体の内径のテーパーとに不連続性があるものの、高音を出すものほどより幅が狭く、反対に低音ほど幅が広いリードが必要のようです。

いまのところ、内径の最小値との関係から、以下のリード幅を確かめました:

           最小径        リード先端幅      ケーン幅
・クラシカル  4.4〜4.8mm   7.6〜8.0mm   7.4〜7.8mm
・バロック    5.8mmあたり    9.0〜9.4mm   8.6〜9.0mm
・ローピッチ  6.3〜6.5mm   9.6〜9.8mm   9.5mmあたり
・ダモーレ   5.7〜5.8mm  10.0〜10.6mm 10.25mmあたり

●見つけた適合リード

今回、見つけた適合リードのデータは:

(1)2段式 EH用チューブ27mm+ボーカル38mm ケーンHawarth 9.5mm
       全長84mm リード先端幅9.6mm スクレープ24mm
(2)1段式 Ponseeleチューブ57mm ケーンCreedo13 9.5mm
       全長79.5mm リード先端幅9.7mm スクレープ22.5mm

フォトをご覧ください。(1)を取り付けて、ピッチ測定を行い、A=392Hzに合っています。
(フォトをクリックし、さらにクリックを続け、拡大するとデータの詳細をご覧いただけます。)

なぜか、(1)の2段式のほうがよい響きがします。 2段階のテーパーによるのか、それともケーンの違いによるのか、サンプルが少ないため確認はできません。


リードつくりは、きりがありません。 さらに適するものを求めて研究を続けてまいります・・・


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