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zoom RSS バセット・ホルン:なめらかなキー曲線は機能美と言えるでしょう

<<   作成日時 : 2016/03/21 22:56   >>

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画像楽器のつくり方 (201) 2016/3/21

バセット・ホルンの復元を連載の形式で取り上げています。

今回は、キーつくりの紹介です。

クラリネット族のバセット・ホルンは、特殊なキーが多くあります。

それは、閉管のクラリネットに特有のキーがあるからです。

●上管のキー操作

縦に構えるリコーダーと同様、裏側には右親指で押さえる指穴があります。 この指穴を開放して管長を短くしG音を出しますが、さらに最短にすべくAキーを左手人差し指で操作してA音を得ます。

そしてオクターブを出すためのスピーカー(Sp)キーを右手親指で操作します。 このSpキーですが、全開放の状態でSpキーだけを操作するとG#が出ます。

一方、Aキー操作の状態でSpキー操作を加えるとBb音も出せるのです。

●下管のキー操作

右手小指で2つのキー、F/CキーとAb/Ebキーを操作します。 これらは、バロック・オーボエ類のC/(C#)キーとEbキー(たとえば、→こちらを参照)と同様のもの。

ただしクラリット族は閉管で1オクターブ半上の音が出ますから、キーの名前は2つの音に対応します。

             F/Cキー   Ab/Ebキー
- 低レジスタ      F音       Ab音
- 高レジスタ      C音       Eb音

●バセット・ホルンでの2つのキーの位置の違い

右手小指で操作する、この2つのキー、F/CキーとAb/Ebキーの位置関係を見てみましょう。

通常クラリネット(→こちら)では、4、5、6指穴の線上にAb/Ebキーがありま、その右内側に、F/C音を出す音孔があります。

バセット・ホルンもクラリネット族ですから、これら2つのF/CキーとAb/Ebキーが同様の配置であれば、持ち替えたときにスムーズにいく気がします。 実際に、バセット・ホルンのモデルによってはそのようなものも見られます。

しかし今回復元しているグレンザー Johann Heinrich Grenser モデルでは、反対になっており、4、5、6指穴の線上にF/Cキーが、その右内側にAb/Ebキーがあるのです。

まあ、慣れればどちらでもよく、また持ち替えもできる気もします。

●キーのなめらかな曲線

バロック木管として、これまでトラベルソ、バロック―オーボエ、フルート・ダモーレ、オーボエ・ダモーレ、クラリネットなどを復元してきましたが、キー材の厚さとして、1mmまたは1.5mm(たとえば、→こちら)を用いてきました。

今回、バセットホルンではクラリネットより4度低く、長さが4/3倍すなわち33%増しとなることから、キーも大きくなります。 キーが大きく長いと薄い材では不安定ですから、バセット・ホルンでは、より分厚い2mmを用います。

通常の短かめのキーに2mm厚を使うのは初めて。 実際、けっこう分厚く感じます。

モダン・クラリネットなどでは、キーは立体的でなめらかな曲線を描きます。 しかし、一般にバロック木管では、そのような立体的ななめらかな曲線のものは多くはありません。

今回、入手した図面には、キーのシルエットが描かれているだけで、詳細はわからず。 そこで、2mmの厚さを活かして、滑らかな曲線に加工することにしました。

●キー磨き

フォトは、手前から、F/Cキー、Ab/Ebキー、AキーそしてSpキー。

2mm厚の真鍮板からキー取り(キー取りのイメージは、→こちら)、切り出したものに丸みを持たせます。 そのあとヤスリを掛けで形成し、サンドペーパーの番手、#120/180/240/320/400/500/600/800/1000/1200/1500/2000/2400を順に用いて磨きました。

最後に、真鍮磨きを用いピカピカにしました。

この滑らかな曲線を持つキーの操作では、当たっても痛くなく、滑らせるような操作もしやす機能を持っています。

演奏する上で重要な機能性。 これら滑らかな曲線が持つキーの機能美と言えるでしょう。


今後は、これらの4つのキーを取り付けてまいります・・・


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