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zoom RSS ファゴット:復元つくりの資料として念願の楽器を入手しました

<<   作成日時 : 2016/04/12 15:06   >>

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画像ファゴットという木管をご存知でしょうか。

バロック時代に生まれたバロック・ファゴットと、現在普及されているモダン・ファゴットの差は何でしょう。

見た目には、キーの数が違います。 バロック・ファゴットには、4〜6のキーが付き、モダン・ファゴットにはきわめて多数のキーと連動機構が付きます。

しかし外でなく内に目を転じると、内径(ボア)に大きな違いはありません。 キーメカニズムを除き、ファゴットは大きな進化をしなかった木管のひとつ。

●バロック木管の復元つくり

自分でバロック木管をつくりたいと思ったのは40年ほど前。とくに惹かれたものはバロック・オーボエとオーボエ・ダモーレ(→こちらを参照)。

これらオーボエ類の魅力的な音色の存在を知るにつれ、いつしかバロック・ファゴットもつくりたいと願うようになりました。

ただ、その大きさは半端でなく、構造も単純ではありません。 楽器つくりの点で容易ではないのです。

●願望としての復元つくり

「あたらしいことにチャレンジ」。 これが年頭にあたっての今年の抱負(→こちら)。

復元中のバセット・ホルン(→こちら)つくりもそのチャレンジのひとつ。 通常のBbクラリネットに比べて、寸法が大きく、また足管ボックスなどに2つのU字管(→こちら)を持つ構造も複雑。 さらに金管部分も併せ持ちます(→こちら)。

楽器つくりの上で多数の課題があります。

●課題の克服

バセット・ホルンの復元でひとつひとつ課題を克服していく中、ファゴットつくりと課題の共通性が明確になってきました: (【 】は適用するファゴットのジョイント)

(1)大型木管の加工
(2)U字管の加工  【ブーツ】
(3)ボアに対する斜め穴あけ加工  【ウィング/ブーツ】
(4)同心円でない加工  【ウィング/ロング/ブーツ】
(5)複数軸を有するボア(内径)加工 (→こちらも参照)  【ブーツ】
(6)金管部分の加工  【ボーカル】

●復元つくりの資料

複雑な立体形状を言葉や図面から理解することは一般に難しい。 しかし実物を手にし目にすることができれば理解しやすい。 「百聞は一見にしかず」。

実物があると、楽器つくりにおけるヒントも多く得られます。

●楽器は高価です

一般に、ダブルリードの楽器は高価です。 モダン・オーボエで30〜160万円。 モダン・ファゴットで60〜200万円。

これらの楽器、演奏目的でなく、バロック木管の復元つくりの資料としてやすやすと購入することはできません。

資料としての入手する目的には、その複雑な構造や原理を知ること、製作の各工程での段取りのヒントを得ること、リードやボーカルの基準を知り、そして音階(ピッチ)調整法の基準を得ることがあげられます。

実用演奏の目的でなければ、ある程度の品質があれば十分。

●中古/故障楽器の購入

中古楽器は、オークションにて多く見つかります。 中古の落札価格は、程度によりますが、新品時の価格の1/20〜1/4ほど。

資料としての目的なら、1/20程度のもので十分でしょう。

フォトをご覧ください。 念願のファゴット。 中古品を安価にて落札。

実演奏するなら、故障個所の修理・修復、パーツ取り替え、ピッチ調整などに、相当の金額が掛りそう。 しかし自分で修理・修復ができそうなものも多い。

ジャンク品として出品されたこの楽器。 ジャンク品である理由は、ロングジョイントのテノン部分が折れてなくなっていること。 ブーツジョイントのU字管キャップを外すと、折れたテノンの一部が管内に引っかかっていました。

このテノン部の修復が最も大きな要素を含みますが、旋盤加工でテノン部近辺をつくり嵌め込むことで解決できると予想されます。

そのほか、木部のキズや腐った部分の直し、メッキのくすみ取り、キーの注油、コルク・タンポ替えも必要でしょう。

●はじめての音出し

付属していたボーカルは新しく、新品リード(3本)を付け、ウィングジョイントに挿して息を入れて音出しを試みました。

生まれて初めて念願のファゴットを吹くと、オーボエと違って楽に吹けます。 面白いですね。

●バロック・ファゴットの復元つくり

復元しようと思って図面をすでに入手したバロック・ファゴットのモデルは、2種。 いずれもピッチは、A=415Hz。

今回入手したモダン・ファゴットとはピッチが異なりますが、木部管体の基本構造は同じ。

この資料としての楽器を、今後のバロック・ファゴットの復元つくりに活かしてまいります・・



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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
日本でのバロックファゴットの復元、素晴らしいことです。是非実現してください。
オールドバソンデユオ
2017/06/20 09:55
オールドバソンデユオさん、記事をご覧いただきありがとうございます。なんとか1本目のフォゴットを復元してみたいと思いますので、引き続きブログをご覧いただけるよう、よろしくお願いします。
woodwind図書館長
2017/06/20 21:51
自分はバロックファゴットも吹きますので、興味あります。バロックファゴットは吹きたくても楽器がない、海外メーカーのものは価格が高すぎる、などで断念する人が多いです。
オールドバソンデユオ
2017/06/21 11:55

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