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zoom RSS バセット・ホルン:まっすぐな姿でも魅力的な音がします(その2)

<<   作成日時 : 2016/05/01 18:42   >>

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画像楽器のつくり方 (204) 2016/5/1

バセット・ホルンの復元つくり、連載を続けます。

バセット(低音)音域を伸ばすための足管ボックスと、長いキーを伴うメカニズム(→こちら)が、バセット・ホルンの特徴と言えるでしょうか。

これらキーメカニズムは、結構シビアなもので、調整にも時間を要します。

●バロック木管の復元

博物館等に所蔵されるオリジナル木管の復元に欠かせないのが、計測とその図面。

正確に測定する際に、分解できないとか、欠損があるとかさまざまな理由で計測できないことも多いみたい。

今回のバセット・ホルンも計測できないためか、データが不足していたり、構造が明らかでない個所、それに加え計測図面の表記が一般的でないものも見られました。

不明点やデータ不足の個所を補ったり、他の情報から推測して復元してきました。

●オリジナルピッチの推定

このグレンザー Johann Heirich Grensed モデルについては、ピッチ計測情報がありません。

そこで、18世紀終りクラシカルへの移行期におけるピッチとしてA=430Hzであると推定しピッチ測定を試みました。

フォト手前は、測定結果を書き込むためのデータ・シート。 (「バロック/クラシカル木管のピッチ測定」の汎用データ・シート第1.0版(2002/1/15)) これは、もともとトラベルソ、オーボエとリコーダ用。

それらの木管は開管であり、音域が2オクターブと少し。

しかし閉管であるクラリネットでは、オクターブ(Sp)キー操作で、1オクターブ半ジャンプします。 結果として音域は、開管の1.5倍ほどあり3オクターブ半ほど。

この汎用データ・シートでは音域全体を記入できず、左の低音側や右の高音側を追加する必要があります。 さきにBbクラリネットの場合、右端を伸ばしていました(→こちら)。

今回のバセット・ホルンでは、Bbクラリネットより4度低いだけでなく低音域が伸びており汎用データ・シートでは収まりきれません。

●実音表記

クラリネットは移調楽器ですから、運指としての標準表記に対し、出てくる実音が異なります。

実際のピッチ測定は、実音測定です。 運指と実音の読み替えが大変混乱しますから汎用データシートを実音表記に書き直しました。

さらに運指も合わせて記入。 これで、標準C管の運指に対するF管バセット・ホルンの実音計測が混乱なくできます。

●ピッチ測定結果

フォトをご覧ください。

曲がっていることが特徴のバセット・ホルンですが、角度を付けず、まっすぐな姿でも音出しができます。(→こちらも参照)

ここで、マウスピース(とリガチャ)には、Bbモダン・クラリネットのものを使用しています。 Bbクラ用のリードを最低音まで伸ばせるように調整削りを施しています。

データで示すように、最低音のF(運指上のC音)から、最高音域のBb(運指上のF音)まで計測できました。
(フォトをクリックし、現れる画像を次々クリックして拡大操作すると、データ詳細まで読み取れます。)

一般に最高音域ではピッチが相当狂いますから実用的ではありません。 G(運指上のD音)あたりまででまずはよしとします。

全般的に下管で決まる音域は低めで、また足管ボックス部のU字管拡げも必要な結果となっています。

●クロスフィンガリングによる半音階つくり

一般に、バロック・クラリネット(F管では、→こちら)や、初期クラシカル・クラリネット(Bb管では、→こちら)では、多数のキーは付かず、必要な半音階は、クロスフィンガリングでつくり出します。

比較的大きな音孔を持つこれらクラリネット群は、とくに半音下げることが苦手みたい。

トラベルソ(フルート)やオーボエにおけるG#(Gis)も、A音から下げるのがかなりつらく、オーボエでは、ダブル・ホール構造とし、G#のため片方だけ塞ぎます。 またクラシカルへ移行しG#専用のキーを持つに至っていますね。

ダブル・ホールは、クラリネット族にも適用されているようですが、今回の復元のオリジナルにはありません。 このバセット・ホルンについても、G#(実音ではF#音/C#音)用のキーを付加することで演奏が楽になる気がします。


ようやくバセット・ハルンとして音を生み出すところまで来ました。

静的データが取れたものの、各音について見ると、発音困難なもの、簡単にオクターブ・ジャンプしてしまうもの、動的特性としては不十分なものなどがあります。

今後は、曲げ加工のほか、これらについて追い込んでまいります・・・・



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