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zoom RSS バロック・オーボエ:ロングドリルで穴を階段状に掘ります

<<   作成日時 : 2016/06/17 16:53   >>

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画像楽器のつくり方 (208) 2016/6/17

バロック・オーボエの2種のモデルを同時進行で復元する連載を進めます。

フォトは、2種モデル(→こちら)のそれぞれの設計図面と、それぞれのモデルについて穴あけを終えた寄木つくり・分割方式のパーツ材。

以下、製作の工程を紹介します。

(各種オーボエつくりの製作工程については、本ブログのもくじ下巻(→こちら)から索引してご覧いただけます。)


●穴あけ工程

各パーツ材につくった1インチ(25.4mm)径の結わえ部により木工旋盤(→こちら)のチャックに結わえます。

反対側のテールストックにセンターを取り付けてパーツ材を挟み、芯間削りで幅1cm芯出し、芯の周りに回転するパーツ材の外形の同心を確保します。

同心確保したパーツ材に穴あけを施す際に、芯ブレを防ぐため芯出しした部分に芯ブレ治具(→こちら)を当てます。

テールストックにドリルチャックを取り付け、ドリル刃を適宜取り替えながら階段状に穴掘りを行います。

●使用するドリルと使用の順序

穴掘りでは、奥が狭くて手前が広いテーパーをつくります。 このテーパーに一致するリーマーにより削るのではなく、テーパーに概略一致する階段状の穴を掘り、そのあとでリーミングを施します。(→こちらも参照)

使用するドリルですが、いわゆるロング・ドリルと呼ばれるもの。(ロングドリルは、→こちら

通常の方式でつくる場合、上管と下管長が23〜25cmほどあり、チャック結わえマージンを加え全長30cm(12インチ)のロングドリルが必要です。 (ロングドリルでの穴掘りの様子は、→こちら

フォト手前の群は、全長30cm以上のドリル。 最小径は4.8φ。 これほど細い径で全長が30cmもあると容易に曲がります。

同心を確保した材を掘っても最深部で芯がずれがちで、加工順序を工夫することが必要。

一方、寄木つくり・分割方式では、パーツ材の長さは5〜6.5インチ(13〜17cm)。 フォト中央の群に見る全長20cmほどのロングドリルで加工できます。

わずか10cmの違いですが、加工がずいぶん楽になります。

最初の段階ではロングドリルを使わず、フォト左側中央の群に見える、通常長のドリル(ストレート・シャンク・ドリル)を用います。

ここで、階段状に穴をあけるポイントですが、

(1)径の小さなものから始め大きなものに替える

径の大きなドリルの切削において、すでに小さな径の穴が掘れており所要トルクが少なくて済みます。

(2)ある深さの大きな穴が掘れたら径の小さなもので(1)を繰り返すこと

ある深さまで大きな穴を掘ると、その径より小さなドリルに対して抵抗するものがありませんから、最初に掘る状態と同じとなります。

穴掘りで問題なのは、同一径の深い穴を掘り進むとき、ドリル側面が穴壁面からの力により摩擦熱が発生して木くずが燃えること。

また、少しの軸ブレによりドリルが曲がったまま進むと壁面からの力を受けて固着し、旋盤の回転が止まり唸りをあげ、精神的に「恐ろしく」感じます。

この問題の解決ですが、壁面に接する距離を極力短くすること。 少しでも大きな径の穴掘りを完了しておくことで、それより細いドリルについての摩擦問題をなくすことができます。

●実際に使用したドリル

フォトは、使用したドリルをすべて並べたもの。

ドリル種類には、木工用ドリルであるツイスト・ドリル(手前のロング・ドリルの一部)や、オーガー(左手の上の群)があります。 松・杉・ヒノキ・スプルースなどいわゆる軟材の加工に向いています。

しかしバロック木管つくりでは、黄楊など硬材を用いますから必ずしも適切ではありません。 硬材に対しては金工用ドリルが適切でしょうか。

以下にドリルを紹介しましょう、。 各ドリル径の間隔(ステップの差)は、最小0.1mm、最大1mm。

- 一般金工用ドリル(六角ドリル、ストレート・シャンク・ドリル) 左側中央の群
  5Φ、5.8φ、6.2φ、7Φ、7.5φ、8Φ、8.5φ、9Φ、9.5φ、10Φ

- ロング・ドリル (ツイスト・ドリル、金工用ドリル) 左側手前の群
  4.8φ、6Φ、6.2φ、6.5φ、13Φ

- ロング・ドリル (金工用ドリル) 右側中央の群
  8Φ、8.5Φ、9Φ、9.5Φ、9.9Φ、10Φ、10.5Φ、11Φ、11.5Φ、12Φ、12.5Φ

- ショート・オーガー (木工用ドリル) 左側奥の群
  14Φ、15Φ、16Φ


さて、基本となる階段状の穴掘りが終りました。 次は、テーパー状のリーミングへと続きます・・・


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