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zoom RSS バロック・オーボエ:繊細な装飾はオーボエの顔です

<<   作成日時 : 2016/07/08 00:15   >>

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画像楽器のつくり方 (211) 2016/7/8

バロック・オーボエの中で復元したかったステンベルゲンとステンズビーの両モデルを同時につくる連載です。

ほぼ1本のノミを用いて外径を削る様子を紹介しました(→こちら)。

●バロック様式の装飾の外径削り

バロック木管の外形は、それまでのルネッサンス木管の単純な円筒形に比べると、その円筒がゆるやかなカーブを持つようになります。 そして、そのカーブに加えて、装飾部分が付加されます。

装飾部分は、いくつかの場所で「塊り」となっています。

この「塊り」ですが、オーボエでは、まず上管のトップにあります。 リードを挿す井戸(ウェル well)にふくらみ
があり、そこから3cmあたりに、幅が1.5〜2cmの「塊り」があります。

そのあと、幅5〜6cmほどの大きい膨らみがあり、続いて、ふたたび幅2cmほどの「塊り」があります。

すなわち、幅5〜6cmの大きな膨らみの両端に従えるように「塊り」の装飾が施されるのです。

これらの「塊り」ですが、中心となるのが幅5〜6mmの大きな丸いふくらみ(ベッド bead)。 その両サイドには、ほぼ対称的に配置される小さな半丸のふくらみがあり、大きなふくらみとの間に溝があります。 さらに、小さな半丸のふくらみの横に1〜2の段差があり、それらでもって「塊り」を構成します。

●繊細な削り加工が要求されます

大きなふくらみや、小さなふくらみの両サイドに従うような細い幅の段差があり、その高さは低いものでは、0.2mmほど。 また、幅は1mm以下で、0.7mmのものもあります。

これら細密な削り加工により装飾を施していきます(細密の装飾については、→こちら)。

高さや幅だけではなく、優美な曲線のふくらみは、独特の表情を持ち、図面上の計測データだけでは表しきれません。 そこで、計測者は、図面にスケッチを施し、その微妙なカーブを記録します。

わたしが、オックスフォード大学のベート・コレクション(→こちら)でオリジナル木管楽器の実物を手にしたとき、自身の復元とオリジナル楽器を並べて写真撮影をしました。

すると、自身の微妙な曲線と実物との差異が記録され、オリジナルの復元がしやすくなりました。

これら繊細なふくらみや装飾部分により、バロック・オーボエのそれぞれの持つモデルの表情が現れます。

●バロック・オーボエの顔

それぞれ独特なため、それらの表情は、「オーボエの顔」と言ってよさそう。

(1)ステンベルゲン(フォト手前): ポールハン P.Paulhahn (→こちら)ほど滑らかな細さではありませんが、 少し「細身で優雅な顔」を持っています。

 5〜6mm幅の丸い膨らみ(ベッド)は、細くとがっている感じがし、これは、オランダのオーボエに共通のイメージです。

(2)ステンズビー:(フォト奥側):  カメラの広角レンズのいたずらで、手前にあるものは大きく、後ろにあるものは遠くに小さくなっていますが、実際には、上管の頭部は太く「ごつくて威厳のある顔」を持ちます。

 ステンズビーの顔は、オーボエに限らず、トラベルソ(トラヴェルソ)の場合でも、独特のイメージがあります。 (フルート・ダモーレの場合は、→こちらを参照)

 音色や吹奏感においても、ステンズビーらしさを持っているようです。


さて、上管と下管の内径リーミングと外形削りが終りました。 今後は、ベルの製作へと続けましょう・・・



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