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zoom RSS モダン・フルートの頭部管:バロックの響きと木の温もりを楽しめるでしょうか

<<   作成日時 : 2016/09/03 20:58   >>

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画像楽器の書棚 (37) 2016/9/3

モダン・フルートは、洋白に銀メッキを施したものなど金属製のものを目にします。

そのほかには木製のモダン・フルートもあり、英国では現在も多く使われると聞きます。

●フルートの内径の計測

モダン・フルートの本体は、内径が直径19mmの円筒。 この本体に挿す頭部管の内径は、先に拡がるテーパー。

このテーパー形状ですが、必ずしも直線的ではなく、途中が広い放物線を描くものもあります。

さまざまな形状について、多数のフルート頭部管を実測し確かめました。(→こちら

それらのテーパー度合いは、凵≠P/51、凵≠P/58、凵≠P/76などさまざまで、テーパー度合いがきついものでは管の実質長が長くなります。

●木製頭部管の設計

これら各種のフルート・本体管に挿すことができる木製頭部管を創作・設計しました。 (→こちら

モダン・フルートの歌口の構造ですが、管の厚さは0.3mmほどで薄く、そのままでは18mmほど。 とても細い。

バロック時代のトラベルソの管の厚さは4.5〜5mmで、外径は30mmほど。 トラベルソと比較して外径が細いモダン・フルートでは、ライザーで持ち上げ、実質の管の厚さを稼いでいます。 この結果、構えたとき、あたかも外径が30mmほどあるように感じるのです。

モダン・フルート頭部管として、木製の30mm径を採用すると、バランス上とても太くなることから、最初の設計では外径を26.4mmとしていました。

実際、あまりに細い気がしたので1本目の製作半ばで、急遽、外径を27mmに変更し加工しました。(→こちら

2本目以降は、それを見直し、28.5mmと太くしてみました。

●木の種類により音色や吹奏感が変わるか

トラベルソはじめ、バロック木管では、使用する材の種類により音色や吹奏感が異なります。

硬くて緻密で比重の大きな材は、固く張りのある音がします。 一方、比重が小さく緻密でない材では、音らしさがなく薄っぺらな音で歴然と差が分かります。

やはり、木管に適する材があるようです。

そこで、代表的な良材として、欧州黄楊、エボニー(黒檀)、およびキングウッド(バイオレットウッド)の3種を採用し、それらの比較をしてみることとしました。

これらの材の違いを味わうため、先に、オトテール型トラべルソの3本をセットでつくりました。(→こちらを参照)

そこでは、欧州黄楊(本黄楊)でない黄楊でしたから、やや軽い響きとなりました。 そこでモダン・フルート頭部管には、欧州黄楊を採用しました。(仕上がりと歌口の様子は、→こちら

●頭部管の木の温もり

3種の材とも、木の温もりがあります。 目で見ても、さわっても、吹くときに唇を当てても、耳で聴いても、それぞれ何かぬくもりが感じられるのです。

キングウッドですが、その紫がかった色合いのなか木目の美しい流れに惹かれます。 モダン・オーボエにも、このキングウッド(バイオレットウッド)が使用され、きまってキーには金メッキが施され独特の雰囲気を持っていますね。

エボニーですが、肌合いが、グレナディラ(アフリカン・ブラックウッド)と少し異なり、光沢度合いが半ツヤに近い独特の感触があり、音色になぜか「しっとり」感を感じます。

欧州黄楊には明るさがあり「木の音」がします。 今回、管の厚さがやや薄くいくぶん軽い音色ですが、より緻密で重い欧州黄楊を選び、さらに管厚を増すと、より豊かな響きが得られるでしょう。

●挿入管

本体管に挿入する部分ですが、各社・各モデルで挿入管の外径が異なります。 わずか0.1mmほどの差ですが、互いに差し替えることができません。 太い挿入管では、削って管厚を減らすことができますが、大きくは無理。

この挿入管部分の製作は、かなり精度を要するため、製作にあたり、実際のモダン・フルート頭部管を切断し用いました。


●ピッチ測定

ここで、モダン・フルート寸法は、各社とも基本的に同じかと思いきや、そうではありません。 頭部管の内径のテーパー度合いが異なることから管長が異なり、頭部管と本体管の長さの配分が各社・各モデルで異なるのです。

そこで、どのモデルに挿しても使用できるようにするため、最も本体管の長いものに挿したときにも必要なピッチの調整範囲が得られるようにしました。

YAMAHA YFL−261と、Muramatsu の本体管に挿入してピッチを測定しました。 挿入したイメージを、→こちらに示します。

いずれのモデルでも、A=440〜443Hzのピッチ調整が可能となっています。


【フォト上の頭部管】

材質:アフリカン・エボニー 人工象牙マウント 洋白の挿入管
   No.1645 A=440〜443Hz 110g

【フォト中の頭部管】

材質:欧州黄楊 人工象牙マウント 洋白の挿入管
  No.1337 A=440〜443Hz 85g

【フォト下の頭部管】

材質:キングウッド(バイオレットウッド) 人工象牙マウント 洋白の挿入管
  No.1644 A=440〜443Hz 103g


 この3本セットのモダン・フルート用頭部管を、来る2016年10月8日〜10日に博多で開催される新福岡・古楽音楽祭の展示会にて展示する予定です。


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