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zoom RSS バセット・ホルン:折り曲げてもA=430クラシカル・ピッチで響きます

<<   作成日時 : 2016/09/14 17:49   >>

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画像楽器のつくり方 (219) 2016/9/14

オックスフォード大学音楽学部のベート・コレクション Bate Collection 所蔵のバセット・ホルンを復元する連載も、最後のピッチ調整段階まで来ました。

曲がったクラリネットであるバセット・ホルン。 低音のクラリネットの意味で、先端にはホルンのようなベルがあります。

●曲がった木管

木管の基音のピッチは長さで決まり、管がまっすぐでなく曲がっていても長さが同じであればピッチは変わりません。

バセット・ホルンは、低いF管のクラリネット。 低音域を伸ばすため管長を長くしD音を得ています。 演奏上、両手をいっぱい伸ばし、マウスピースをくわえるには無理があります。

そこで足管ボックス部にて管を2回Uターンさせて実質長を稼ぎ実長の短縮を図り、さらに上管と下管の繋ぎ(ニー)部で折り曲げ構えを楽にしています。(→こちら

●ピッチ測定再び

すでに真っ直ぐな管の状態で、ピッチを測定していました(→こちら)。

測定結果に従い、必要個所の指穴拡げやアンダーカット、足管ボックス部の穴ぐりを行いピッチを合わせてきました。

フォトは、その測定結果を示すデータシート。 (フォトをクリックし、現れる画面を次々クリックして拡大すると方眼用紙の目盛も読み取ることができます)

クラリネット族のバセット・ホルンンは音域が広く、さらに低音域を3度伸ばしたため、汎用のデータ・シートでは記載範囲が不足。 右端欄外を拡張して用いました。

データ・シートの縦軸中央を基準のA=430Hzの「0セント」とし、上下に半音分すなわち100セントの目盛りを取り各音のピッチずれを記入。

ほぼフラットにて、A=430Hzのクラシカルピッチで鳴りました。

●ベルの構成

測定結果は、最低音域で順にピッチが低くなり、これはバセット・ホルン自体の設計かもしれません。 この事情に関して、ピアノにも表れています。

ピアノの調律ですが、理論値どおりではなく、鍵盤右端の最高音域で徐々に高く外れ、鍵盤左側の最低音域で徐々に低く外れるように調律するようです。 これは、ひとの聴覚特性に合わせているためでしょうか。

ベルを外すとピッチが合っています。 データ・シート左端の2音につき、ベルを付けたときの特性(●印)と外したときの特性(○印)を併記しました。

ベルの働きは、木管出口にて急に空間拡がりを避け徐々につなげることで、オーボエ、ホルン、トランペットなどにも見られます。

ベルを付けると倍音の含みが変わるなど静特性に影響するほか、楽器の反応など動特性の差異もあるのでしょうか。

●マウスピースとリードの選定

ピッチ測定に用いたマウスピースですが、オリジナル図面通りの復元(→こちら)ではうまく鳴らず、モダン・クラリネット用を用いました。

リードですが、オリジナルのリード寸法のデータがなく、モダン・クラリネッ用を種々試みました:

(1) モダンBbクラリネット用リード 硬さ2・1/2。 根本を削りアルトクラリネットのようなプロファイルにて低音まで鳴ります。 

(2) モダンEbアルト・クラリネット用リード: 硬さ3。 トクサやヤスリで少し削り調整し、広めの幅のままで鳴ります。 リード先端の形状を少し平たくしてマウスピースに合わせました。

リードとマウスピース選びは重要。 本体への取り付けにおいてわずかな隙間も「ピー」音の原因となります。

●キーの調整

わずかな漏れもクラリネットがうまく鳴らない原因となり、バセット・ホルンもしかり。

キー取付けでは、キーパッド面を正確に合わせることが重要。 これを怠ると鳴らない原因が何かを見極めること難しくなります。

バセット・ホルンのキー数は多く8本あります(→こちら、や→こちら)。 キー調整を徹底的に行うことで、楽器の調整はじめリードやマウスピース適否の判断がしやすくなるでしょう・・



※ このバセット・ホルンを、来る2016年10月8日〜10日に博多で開催される新福岡・古楽音楽祭の展示会にて展示する予定です。興味ある方は自由に試奏ください。


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