バロック木管図書館 woodwind

アクセスカウンタ

zoom RSS バロック・オーボエ:Steenbergenモデルの適合リードを見つけました

<<   作成日時 : 2016/09/22 12:11   >>

トラックバック 0 / コメント 0

画像楽器のつくり方 (221) 2016/9/22

博物館に所蔵される2種類のバロック・オーボエにつき同時進行で復元してきました(→こちら)。

2種のモデルは:

- ステンベルゲン Jan Steenbergen
  デン・ハーグ市立博物館 Den Haags Gemeentemuseum Ea 3-x-1952

- ステンズビー Thomas Stanesby senior
  エディンバラ大学 No.62

これらにつき、指穴あけ工程を終えピッチ調整を残していました(→こちら)。

このうち、ステンベルゲンの調整とピッチ測定を繰り返して追い込みました。

●適合リードが先か穴径の調整が先か

指穴や各種音孔の大きさを変えと、ある音(および関連するいくつかの音)のピッチが変わります。

その確認のためにはリードが必要ですが、それが最適リードかどうかが分かりません。 博物館にはオリジナル楽器に対する適合リードがセットで現存していないからです。

そこで適合リードのあたりを付け、ピッチを測定しながら、適合するかを確かめる作業が必要となります。

ここでリードに関するパラメータが多く、それらパラメータの無数の組み合わせの中から見つけることになります:

(1)リード幅: 広いとピッチが下がる、また低音域は出しやすくなる
(2)スクレープ長: 長いとピッチが下がる、コントロールのしやすさから適切な範囲がある
(3)チューブ長: 長いとピッチが下がる
(4)チューブのテーパー度合い: きついと実質長が長くなる、またオクターブ間の開きに影響
(5)チューブ底の径(外径と内径): 上管の最小径とも関係し適切な径がある
(6)チューブ底とウェル(井戸)の隙間: ブルブル音発生など発音に影響するが適度の隙間が必要
(7)チューブとウェル(井戸)の密接度合い: わずかな隙間も発音に影響する
(8)リード全長: 長いとピッチが下がる
(9)リード挿入度合い: 浅いとピッチが下がりこのときウェルの隙間も発生

このほかリードのケーンのプロファイル形状や厚さ、チューブに巻きつけたときの高さ(厚さ)、リードのスクレーピング方法に関し、さまざまな選択肢があります。

発音性、音色、吹奏感に対して、奏者の技量や好みもあり、適合性を定めることは実際には難しい。

●リードは複数のモデルで共用できるか

さきにポールハン P.Paulhahn モデルの復元をしていました。 きわめて安定なA=415の楽器。 ピッチ測定の結果は、→こちら

このPaulhahn モデルのリードが、Steenbergen モデルに使えないか。

残念なことに、バロック・オーボエの各モデルに対して、標準はなく、内径の設計が異なります。 そのひとつにウェル(井戸)の形状(深さやテーパー度合い)があります。

リードをウェルに挿しますが、リードの巻き糸形状がそのモデルのウェルに適合することが必要。 あるモデルのリードが他のモデルにそのまま挿せるとは限りません。

そこで、Paulhahn 用リードの巻き糸を調整して Steenbergen に適用してみました。 ウェルの深さが Paulhahn より15mmほど深いのです。

指穴1〜6の位置がほぼ一致するよう Steenbergen を4mm持ち上げると Paulhahn に一致します。 このとき Steenbergen は Pauhahn に比べ少し上端が突き出ます。

オーボエは外形の長さではなく、内径により比較することが重要で、単に外から眺めて突き出る Steenbergen であっても、そのウェルには深さがあり、リードが多く沈み込むのです。

内径に着目すると指穴設計では、両者はほぼ同じ設計になっていおり、A=415で鳴る楽器のようです。


●ピッチ調整

基本ピッチですが、博物館でのオリジナル計測情報から A=415Hz。

そこで、上管で決まるA音や下管で決まるE音の適合状況によりリード長を調整してこれを適切リードと見立てます。 各指穴や音孔(Eb孔、D孔、Cレゾナンス孔)につきアンダーカットを施し追い込みました。

試行錯誤の段階で広げ過ぎた指穴に対しては、わずかにビーズワックスで埋めて調整します。

フォトは、ピッチ測定した結果。 A=415を確認しました。

(フォトを順次クルックし続けて拡大すると、方眼用紙の目盛やデータが読み取れます)

適合リードのデータ:

 ・全長 82mm
 ・リード幅 9.55mm
 ・リード(スクレープ)長 24.5mm
 ・突出し長 69.5mm / 挿入深さ 12.5mm
 ・チューブ Ponseele 57mm (底外径6.4Φ、内径5.4Φ)
 ・ケーン KREEDO #12a 9mm幅

吹奏感ですが、明るく朗々と響くPaulhahnモデルに比べ、ほんの少し抵抗感があり落ち着きを与えています。

バロック・オーボエ、面白いですね・・・


※ この Steenbergen バロック・オーボエを、来る2016年10月8日〜10日に博多で開催される新福岡・古楽音楽祭の展示会にて展示する予定です。興味ある方は、ご自由に試奏ください。


【関連記事】  青字クリックで記事へジャンプします。

バロック・オーボエ:2種のモデルを同時進行で復元しましょう
バロック・オーボエ:穴あけと取付けを終えたキーの輝き
バロック・オーボエ:きわめて安定したP.Paulhahnモデルの調律



テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
バロック・オーボエ:Steenbergenモデルの適合リードを見つけました バロック木管図書館 woodwind/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる