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zoom RSS クラシカル・オーボエ:T. Cahusac モデルの適合リードを見つけました

<<   作成日時 : 2016/09/29 19:31   >>

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画像世界の楽器博物館に所蔵されるオリジナルのバロック木管楽器を復元しています。

復元するバロック木管の中に発音原理がリードによるものが含まれます。

リード枚数により、2枚(ダブル・リード)のオーボエ類や、1枚(シングル・リード)のクラリネット類があります。

●ダブル・リードのオーボエ

オーボエの演奏は難しいと言われます。 バロックからクラシカルへの移行期までのオーボエには、鍵が2〜3しかついておらず、半音階は基本的には、クロスフィンガリングを用いて作り出します。

指穴3と指穴4については、小さな穴が2つあけられたダブル・ホール構成もあり、半音階つくりで片側だけ塞ぐものもあります。

いわゆるオクターブキーはなく、オーバー・ブローイングによりますが、高音域の発音は不安定で、正しい音程を保つ訓練が必要。

●オーボエの内径設計

バロックからクラシカルへ、さらにモダンへと進むにつれ、高音楽器としての役割が高まり、より高音域を安定して出すことが要求され、オーボエの内径は細くなってきました。

パイプオルガンを見ればわかるように、最低音域のパイプは太くて長く数メートルもあり、最高音域のパイプは、鉛筆ぐらいの細くて短いもので、メンズール則により設計されます。

バロックのピッチは国や地域によりさまざまで、A=392〜A=415、さらにそれ以上、クラシカルへ移行してA=425やA=430〜435あたり、さらにA=439〜443のモダンへと変遷しました。
(クラシカル・オーボエとモダン・オーボエの比較は、→こちら

縦に構えるオーボエの内径設計は、先へ(下へ)拡がるテーパーをなしています。 オーボエ上管の先にリードが付き、リードはチューブとケーンから構成されます。

チューブも内径の一部で、テーパー状となっているほかケーンもテーパーの一部を構成します。

A=392のローピッチ・オーボエ、A=415のバロック・オーボエ、A=430のクラシカル・オーボエを比較すると、半音あるいは半音近くピッチがあがり、したがって長さが約6%、約4%と短くなってきます。

●リードの設計

テーパーの一部を構成するリード(ケーン含む)の設計ですが、リード内部のテーパーは、オーボエ本体の内部テーパーと繋がります。

ここで本体とリードの長さの配分により種々の組み合わせが可能。 本体を短くしリードを長くしたり、その逆もあり得ます。 さらに、リードを本体にどれだけ挿すかにより、ウェル(井戸)の深さについて設計パラメータが種々あります。

このため、オリジナルのオーボエ本体を復元する際には、本体とセットで現存しないリードについて元の長さを想定するしかありません。

その本体に最も適合するリードを得なければ、本体の特性を評価できないばかりか、本体の調整すらできません。

ここにオーボエの復元つくりの難しさがあります。

●クラシカル・オーボエのリードつくりとピッチ測定

フォトは、12年も前に復元した、T. Cahusac Sr のクラシカル・オーボエ(→こちら)。

オックスフォード大学の楽器博物館であるベート・コレクション所蔵の楽器につき、オリジナル楽器を手に取って研究させてもらったもののひとつ。

そのピッチについてデータはなく、本体と、適合するであろうリードを自分で復元して確かめる必要があります。

リードつくりを種々試みました。 短いチューブとイングリッシュ・ホルン用のチューブを足し合わせる継ぎ足し方式のリードは、どうしても長くなり、A=415のバロックピッチが得られました。

このためA=415のピッチのクラシカル移行期の楽器かとずっと考えて来ましたが、適合リードは他にあるのではと思い続けてきました。

クラシカル・オーボエであるなら、市販のクラシカル用チューブやケーンを用いるとどうなるか?

種々試みた結果、A=430クラシカル・ピッチで鳴る適合リードを見つけました。

適合りードを用い全体調整を行うと、フォトに示すよう2オクターブと少しの範囲にわたりフラットな特性が得られました。

(フォトをクリックし、現れるフォトは次々クリックして拡大すると、方眼紙の目盛も読み取れます)


●適合リードのデータ

 ・全長 63mm
 ・リード幅 7.65mm
 ・リード(スクレープ)長 21mm
 ・突出し長 50mm / 挿入深さ 13mm
 ・チューブ H50 42mm (底外径5.15Φ、内径4.3Φ)
 ・ケーン KREEDO H50 7.4mm幅


先にもう1本同モデルをつくりました(→こちらや、→こちら)が、それらが、いったいどのピッチで鳴るオーボエなのかを確かめたくて14年。 今後は、A=430でさらに良く響くリードの研究を続けてまいります・・・

クラシカル・オーボエも、苦労の甲斐あって、面白いですね・・・・


※ この T. Cahusac Sr クラシカル・オーボエを、来る2016年10月8日〜10日に博多で開催される新福岡・古楽音楽祭の展示会にて展示する予定です。 イエロー・ウッドで復元した同モデルとともに展示します。 ご覧ください。


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