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zoom RSS 新・福岡古楽音楽祭2016の展示会に出展しました

<<   作成日時 : 2016/10/13 23:01   >>

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画像博多での新・福岡古楽音楽祭2016に参加し、バロック木管の復元楽器を展示しました。

ときは10月8日(土)〜10日(月)。 ところは博多・天神の「アクロス福岡」と「あいれふ」。

前回(→こちら)に続き、今回で2回目となる出展の目的ですが、リード楽器をより多く知っていただくことを念頭に、
 (1) クラリネット類: きわめて珍しいバセット・ホルンを加え、
 (2) オーボエ類: 3種の名器のバロックオーボエを吹き比べることができ、
 (3) フルート類: 異なる3種の材による木製モダン頭部管を紹介する
ことでした。

●展示した多数の楽器

バロック木管16本。 加えて、モダン・フルート2本。 航空機の機内持ち込み2本、予約した楽器ケースでの運搬14本+2本。 

相当のかさが想定され、体積を極力小さくする工夫をこらし、それまで個々の楽器ケースに収容していたのをやめて、木管をバラバラに分解し、プラスティック・ケースにそのまま敷き詰める方法を採用。

フォトは、10月9日(日)の午後、福岡シンフォニーホールのホワイエ。 今回、多数本展示することから机2台にズラーっと並べた様子。

幻想的で現代風の照明の中、木管16本は奥から順に:

【クラリネット類】
 ・バセット・ホルン A=430 in F J.H. Grenser (→こちら
 ・クラシカル・クラリネット A=430 in Bb G. Miller (→こちら
 ・バロック・クラリネット A=415 in F I. B. Willems (→こちら

【フルート類】
 ・トラヴェルソ A=392/415 T. Lot (→こちら
 ・モダン頭部管3本 A=440-443 H.Amano (→こちら

【オーボエ類】
 ・バロック・オーボエ A=415 J. Steenbergen (→こちら
 ・バロック・オーボエ A=415 P. Palhahn (→こちら
 ・バロック・オーボエ A=396 T. Stanseby Sr (→こちら
 ・クラシカル・オーボエ2本 A=430 T. Cahusac Sr (→こちら
 ・バロック・オーボエ A=415 P. Palhahn (→こちら
 ・バロック・オーボエ A=392 I. H. Rottenburgh (→こちら
 ・バロック・オーボエ・ダモーレ A=415 in A J. H. Eichentopf (→こちら
 ・バロック・テナー・オーボエ A=415 in F R. Wijne (→こちら

●展示会の様子

世界各地の楽器博物館などのオリジナル木管を復元製作して紹介し、また興味ある方へのお貸出し(→こちら)を行うことで、古楽の普及に少しでもお役にたちたい想い(→こちら)を説明するとともに、実際に、楽器を手に取り好きなだけ吹いていただきました。

愛好家や演奏家はもちろん、初めて目にされた方、初めてさわってみられた方にも、しっかり音がでることを体験していただきました:

【フルート類】

YAMAHAとMuramatsuのモダンフルートに、木製頭部管を差したさまは美しく、多くのフルート関係者の目に留まったようです。

「トラヴェルソ風の音色が出るのでは」との直感から、フルート奏者はすかさず手に取って音色や吹奏感を確かめられました。

もちろん、この頭部管の差し替えは、「遊び心」。 モダンフルートでもなければ、トラヴェルソでもありません。

それでも演奏家のコメントも多くいただき、3種の材の頭部管に対する平均的な感想は、

・欧州黄楊製 → 明るく反応が良い、モーツァルトなどの曲に向いているか
・キングウッド(バイオレット・ウッド製) → 芯があり、外観がきれい
・エボニー製 → 暗い響きで、テレマンなどの曲向きか

【クラリネット類】

展示の目玉であるバセット・ホルンは、1年かけて復元したもの。 珍しい楽器に、これがクラリネットであることを理解していただくのがたいへんで、F管の最低音を継ぎ足したものと説明。

まさか、試奏していただける方はいないと思っていたところ、実際にトライされた方が3人も。 お1人は、クラリネットに詳しい方で、このバセット・ホルンのほか、クラシカル・クラリネットにも詳しく、それらに対する種々のヒントや改良すべき点など貴重な情報をいただきました。 展示した価値が十分ありました。

【オーボエ類】

オーボエは、1本だけでも鳴り響きます。 同時に2本鳴ると、けたたましい。 試奏される方は、他方の音を頭の中でかき消さないと、自身の音色が分からない、といったさまが続きました。

とにかく、いろいろ鳴り出すと、たいへん「にぎやか」な場となります。

展示の目的のひとつは、「初めての方でもオーボエが吹ける」ことを理解していただくこと。 そのためにやわらかめのリードを準備しました。

結果は、児童から一般の方、音楽愛好者、音大受験生、オーボエ経験者、バロックオーボエ奏者、さらに初めて目にされた高齢者の方まで、すべての方が吹いて音がでました。

逆に、クラリネットもそうですが、リード楽器は、リードが軟らかすぎると音程が下がり、へしゃがり、良い音色になりません。 そのため、経験者からは、「もっとリードを厚く」とコメントされます。

リード楽器は、実際の吹奏において、自身による「適切リード」つくりが欠かせません。 しかし、初心者のかたは、そのリードがつくれず、つくれないから演奏できず、演奏できないからリードもつくれない、といった負のサイクルに陥ります。

そこで、やわらかめのリードを用意することで、とにかく音が出て練習できる、練習できるからリードつくりが分かってくる、分かってくるからスキルが上がるという正のサイクルに持ち込むこと、これがとても重要だと思って展示したのです。

●楽器のお貸出し

前回の新・福岡古楽音楽祭2015のあとの1年間、ご要望に応じ、復元木管楽器の(無償)貸出しによりトライされた方は、

 ・クラリネット  1人 1種
 ・トラヴェルソ 3人 3種
 ・オーボエ   3人 2種

とても気軽に貸し出すさまに、みなさん決まって驚かれます。 

●展示会の成果

あたらしく知り合えた方も多く、木管楽器以外についてもすぐに情報交換していただることが嬉しい。 仮に、このような展示会に出展せず、自分の閉じた世界で悶々とトライしたとしても決して楽しくはないでしょう。

わたしのこの「バロック木管図書館 woodwind」の10年以上にわたる記事のすべてのページをプリント・アウトして一冊の本のように綴じて(→こちらも参照)参考にされている方にもお目にかかりました。 このような熱心な読者の方にお会いしたのは、3人目。

楽器つくりの仲間とは、つくることの喜びと同時に苦心する点を分かち合え、音楽仲間とは楽しいおしゃべりができ、演奏家やハイレベルの愛好家からは、専門的なことのほか、わたしの復元「楽器の評価」を伺えるとても貴重な展示会でした。

それに、なんといっても博多の食い物は、旨い。

旨いといえば、古楽際の終了後に、古楽ステージの一番最後に出演された岩田耕作先生の指導によるみなさまの発表演奏会があり、誘われるまま、岩田先生と門下生の方々ほかによるすばらしい演奏を楽しむことができたばかりか、岩田ご夫妻の両先生を囲む打ち上げ会にも、急遽、あつかましくも参加させていただき、とても楽しいひとときを過ごすことができました。

楽器つくり仲間、出展者のみなさま、音楽仲間のみなさま、開催関係者の方々、そしてわたしのブースに立ち寄っていただいたすべてのかたにお礼を申し上げます。 ほんとうにありがとう。


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博多での古楽器展示会も楽しいものです
バセット・ホルン:折り曲げてもA=430クラシカル・ピッチで響きます
クラリネット:5鍵のすべてのキー取り付けを終えました
クラリネット:クロスフィンガリングにより音階をつくります
T. Lot トラベルソのピッチは自分でつくり出します
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P.Paulhahnのバロック・オーボエ:シェフトラインが使用されたでしょうか
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クラシカル・オーボエ:T. Cahusac モデルの適合リードを見つけました
バロック・オーボエ:キーが付くと優美な姿が現れます
ローピッチオーボエ:適合リードを見つけました(その2
オーボエ・ダモーレ:内径変更で豊かな響きが得られました
バロック・テナーオーボエ:キーを取り付けるとオーボエらしい姿です
バロック木管楽器のお貸し出しをしています
活動の原点はオックスフォードにあり
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