バロック木管図書館 woodwind

アクセスカウンタ

zoom RSS Cクラリネット:マウスピースを復元してみました

<<   作成日時 : 2016/12/30 21:50   >>

トラックバック 0 / コメント 0

画像楽器のつくり方 (224) 2016/12/30

オリジナルのCクラリネットのマウスピースを復元し、かつモダンピッチに合うように調整してみました。

オリジナルの楽器は、1850年ころにロンドンのWolf & Figg社により製作されたC管のクラシカル・クラリネット。 (→こちら

初期のクラシカル・クラリネットは、18世紀後半から製作されたでしょうか。 19世紀に入り、クラシカルの木管は、多鍵のものが多くつくられるようになりました。

いわゆるクロスフィンガリングでつくり出していた半音階を排し、専用の音孔を専用のキーで開閉するようになり、 クラリネットも、それまでの5〜6鍵(→こちら)から、9鍵や10鍵あるいはそれ以上と追加されました。

モーツァルトだけでなく、ハイドンやベートーベンあたりまでは、基本となる5鍵〜6鍵のクラリネットで演奏されていたでしょうか。 この1850年ころのオリジナル楽器は、シンプルな6鍵のままとなっています。

バロックから初期のクラリネットへの移行時まではマウスピースの形状が、先が細いものが多く(イメージは→こちら)、その後、クラシカル多鍵になるにつれ幅が太く、現代のマウスピースのような形状となったと見られます。

現代に近くなると豊かな音量の楽器が求められたのか、マウスピースが太くなって来ますが、初期クラシカルでは、より落ち着いた軟らかい音色を出すように思います。

●オリジナル楽器のマウスピースの計測

オリジナル楽器を見てみると、エボニー製のマウスピースが付属しているものの、消耗品であるため劣化が激しくワレもあり、実用的ではありません。

さらに、明らかに改造された跡も見えます。

これがピッチとしてA=440で演奏するための改造か、それともA=440で演奏するため他のマウスピースを改造して取り付けたのか詳細は不明です。 150年もの間、元のマウスピースが未使用ならいざ知らず、多かれ少なかれ改造されたりしてきたことでしょう。

一般に、楽器博物館に所蔵される多くのクラリネットは、マウスピースがなかったりします。

このマウスピースですが、明らかな改造の跡が見られるも実際にはA=440付近で鳴ることから、各部を計測し、計測データを基本形状の出発点として復元することとしました。

フォトは、計測したデータ。 (楽器全体の計測については、→こちらを参照)

●マウスピースとバレルおよび上管の関係

クラリネットのバレルですが、上からはマウスピースのテノンを受け、下側からは上管のテノンを受け入れます。 ここで、バレルの内径形状には2種あります(→こちらも参照)。

一つ目は、両方のテノン同士がバレルの中でぴったりと一致するものです。 この場合、バレルの長さは、マウスピースのテノン長と、上管のテノン長を足したものとなります。

もう一つは、バレルの途中まででそれぞれのテノンが終っていて、したがってそれぞれが出会うことなくその隙間をバレル内径が埋めて繋ぐもの。

今回のオリジナルC管では、前者のぴったり一致方式。

測定した結果、マウスピースのテノン部の劣化で2〜3mmほど欠損があることから、テノンをあるべき姿の長さに設計しました。 この結果、バレルの内径において隙間なく繋がりました。

また。あきらかにマウスピースの全長を7〜8mm短くしたために、バレルから糸巻部の溝までの距離が短くなっているだけではなく、外径が小さくて、バレルとに段差があります。

そこで、この段差が目立たないような工夫を行い、マウスピースの外径に2段のベッド(丸く膨らむ飾り)を加えました。 すると、連続的に見えるようになりました。

●マウスピーの加工

木工旋盤作業は、基本的に同心円加工を行うもの。 その意味では、クラリネットのマウスピースは、同心円加工ができる個所は半分程度で(→こちら)、あとは独特の形状を手彫りで行います(→こちらも参照)。

テノン側からは、14mm強の内径で穴あけを行い、最遠部では半円球となる形状をつくります。

リード先端との開きを1mm前後(0.8mm〜1mm程度)とすべくテーブル(レイ)を削り出し、そのあと、0mmから徐々に広くなり、14mmほどまでの広がりを持たせ、半円球の達するように掘り進めます。

バンプの角度は、奏者の好みにも関わりますが、モダンに近い角度にしてみました。

ただ、少し設計が異なるマウスピースを種々つくってトライするのも意味があり(→こちらも参照)、今回、2種のものをつくってみました。

フォトは、出来上がった2種の復元マウスピース。

 手前 製造番号 1646A: オリジナルに近く、幅は太め。 バンプも厚い。 内径の空洞は少し広い。

 奥側 製造番号 1646B: 少し細めで、長さが1.5〜2mm長い。 バンプは薄目。 空洞はやや狭い。

このようにして出来上がった2種のマウスピース。 今後は、本体と合わせてピッチの追い込みを行います。

どのような特性や吹奏感が得られるか、楽しみです・・・


【関連記事】  青字クリックで記事へジャンプします。

絵心と言えるでしょうか:木管楽器の計測も楽しいものです (その2)
クラシカル移行の主張を見せるクラリネット
バロック・クラリネットのバレルの誕生
クラリネット:マウスピースは同心円加工ではありません
バセット・ホルン:マウスピースを手彫ります
クラリネット:複数のマウスピースを試してみます



テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
Cクラリネット:マウスピースを復元してみました バロック木管図書館 woodwind/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる