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zoom RSS しっとり感をいだくエボニーの T. Lot トラベルソ

<<   作成日時 : 2017/03/23 12:06   >>

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画像楽器の書棚 (39) 2017/3/23

トマ・ロット Thomas Lot のトラベルソを数多く復元してきました。

楽器の貸出し(→こちら)サービスにおいても、多数実績があるこのトラベルソですが、独特の味があります。

なかでも、エボニー(黒檀)製のものは、なぜか音色・吹奏感において「しっとり感」を持つように感じます(→こちら)。

木管楽器の発音のうち周波数(ピッチ)は、管の内部(ボア)で形成される気柱の定在波によります。

気柱には、振動が最少(節)で気圧が最大(腹)の部分と、振動が最大(腹)で気圧が最少(節)の部分があります。

ここで、気柱の形成を支える要素に、管自体の強固さがあります。

木管楽器をボール紙や段ボールでつくるとどうなるか? 

音になりません。 自身が、気柱の圧力に耐えず、また楽器自体が振動して発する木管において、自身が音を吸収する吸音材になっているからでしょう。

結局、木管楽器に適する材には、緻密で固いことが要求されます(→こちらも参照)。

適する材は、一般に硬材と呼ばれる広葉樹。 比重が大きなものが緻密で固い。 しかし比重が同じであっても音色や吹奏感に差があり、単純に比較できないようです。

エボニーは、キンキンした硬さでなく、どこかしっとりとした落ち着きがあります。

フォトは、楽器貸出しを繰り返す際に起きがちな象牙マウントのヒビ割れとか、キー台の軸穴割れに対してメンテナンスを施したもの(→こちらも参照)。

トマ・ロットに限らずパリの楽器製作家に見られるのは、ソケット木部の厚みが1mmほど。 これに象牙マウントがつきますが、ジョイントがきついと、容易に木部は割れます。 割れないように象牙で補強しても、象牙も割れてしまいます。

今回のメンテのマウント付け替えにおいては、マウントの厚みを幾分増してみました。

また化粧箱も作り変えてみました。

貸出し先からご希望があったときにお譲りすることもあり、そのために保管用の化粧箱をつくって銘板を貼るようにしてきています。

木管楽器に適する材であるエボニー(黒檀)についても、他の材、たとえばモダンのクラリネットやオーボエに使用される、グレナディラとかと同様に入手が困難になって来ました。

成木までに100年かかる、これらの材の需要に応えるべく伐採を繰り返す結果、枯渇してしまいます。 また大量に買い占めるを行為が拍車を掛けることもあるためでしょうか、絶滅の危惧の恐れがあるとして輸出入が禁止されて来ているからです。

わたしが使用するエボニーは、アフリカ産の1級品(いわゆる真黒)。

手持ち材を大事に用いて、「しっとり感のある」バロック木管の復元製作を続けてまいります・・


【コピー】

材質: エボニー(黒檀) African ebony
     イミテーション象牙リング 洋白銀製のキー
     HJ No.0010, No.0423/1723B  A=415Hz

【オリジナル】  

所蔵: オックスフォード大学 音楽学部 ベイトコレクション #1139 
製作: トーマ・ロット Thomas Lot パリ 1750頃
楽器: フルート・トラベルソ 黄楊 boxwood  象牙リング 銀製のキー
     換え管 A=396/407/419/425Hz 全長668mm(A=396Hz)



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