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zoom RSS バロック・オーボエ:T. Stanesby Srの替え管をつくってみました

<<   作成日時 : 2017/03/25 10:23   >>

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画像楽器のつくり方 (232) 2017/3/25

トーマス・ステンズビー Thomas Stanesby Sr のオーボエを先に復元しました(→こちらを参照)。

全長や内径のプロファイルが、ロッテンブルク I.H. Rottenburgh モデル(→こちら)に近く、ローピッチの楽器と思われます。

オリジナル楽器は、英国のエディンバラ大学に所蔵され、その計測図面には、想定されるピッチが記入されており、A=409−415Hzとなっています。

これが音出しによる実測なのか、それとも物理寸法からの割り出しかはわかりませんが、実際に復元すると、A=415で鳴らすには無理があり、A=409前後でしょうか。

上管の最も径が小さな個所が、極端に長く続く内径構造ですから、通常のオーボエとは設計思想が異なるように見えます。

そこで、フレンチのいわゆるベルサイユピッチA=392の楽器として使用できないかをトライし、A=396で鳴るリードを得ていました。(→こちら

他の楽器博物館に所蔵されるものとか、世界のオーボエ製作家のフォトを見ると、上管長さが短くなっています。 ステンズビー親子の時代においてピッチに差異があるのかも知れません。

A=415で鳴るリードセッティングを種々試みるも失敗。 やはり短い管でなければ無理か。 そこで、替え管をつくって確かめることとしました。

●A=415の替え管の設計

A=415とローピッチであるA=392の差は半音。

オーボエ上管での指穴間隔は、30〜32mmほど。 半音違いは、隣り合う指穴の中間ほどのズレで、長さにして15〜16mm。

実際には、A=392ではなく、A=396との差ですから、12〜13mmほど長さを短くする方法を考えました:

(1) 管長を短く: 5mm短くし、A音孔の位置で4mm、残りの部分で1mm短くする
(2) チューブを短く: T=58mmに対して4mm短いT=54mmのチューブを用いる
(3) 井戸 well を深く: 約5mm深くし、リードを奥まで入れる

●ピッチの測定

フォト中央は、A=415用の替え上管を本体にセットした様子。 一方、その奥は、元の上管でA=396のリード・セッティング。(奥の元の上管のほうが短く見えるのは、広角レンズのいたずら。遠くにあるものが極端に小さく見えます。)

1枚の測定シートの中央をA=415とA=396に設定。 各音のピッチズレを上下範囲の半音100C(セント)とし、それぞれのピッチについて、A=415(白丸○)と、A=396(黒丸●)に分けて記入しました。

結果は、いずれの替え管でもフラットな特性が得られました。 (フォトをクリックし拡大してご覧ください)

●リード・セッティング

オーボエは、リード楽器。 リードのセッティングはとても重要。 以下は、用いたパラメータ。 

(1) A=396Hz 用 (#128)
   全長:82.5mm  幅:9.35mm  井戸突出し:66mm  スクレープ:24mm
   チューブ:58mmデンナー   ケーン:H082(8.6mm幅)

(2) A=415Hz 用 (#126)
   全長:74mm  幅:9.25mm  井戸突出し:54.5mm  スクレープ:23mm
   チューブ:54mm ハンマー H3   ケーン:H082(8.6mm幅)

●ボアの再リーミング

高音のG音の反応が良くありませんでした。いわゆるハイG問題。 そこで、種々検討するに、下管のリーミングが不十分であると判り、再度リーミングを施すと問題が解消されました。


これで全音域で音出しがスムーズになりました。 今後、さらなる最適リードを求め研究してまいります・・・



【関連記事】  青字クリックで記事へジャンプします。

バロック・オーボエ:3本の名器のピッチを比較しましょう
ローピッチオーボエ:適合リードを見つけました(その2)
バロック・オーボエ:Stanseby Sr モデルはA=396のローピッチで鳴ります



※ この 替え管付きのStanseby Sr バロック・オーボエを、来る2017年4月28日〜30日に甲府で開催される2017古楽フェスティバル<山梨>の展示会にて展示する予定です。ご興味ある方は、ご自由に手に取って試奏ください。


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