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zoom RSS テナー・オーボエ:ボーカルやチューブが決め手でしょうか

<<   作成日時 : 2017/04/15 12:32   >>

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画像楽器のつくり方 (235) 2017/4/15

桜材を用いてつくるデンナー J.C.Denner のテナー・オーボエ(→こちら)復元の連載。 完成間近となりました。

テナー・オーボエは、通常のC管(ソプラノ)バロック・オーボエに対して、5度低いF管。

移調楽器のオーボエ。 譜面上、C管のように記譜されても、実際に発せられる音(実音)は5度低い。 したがって、ドの運指でもってファ音がでます。

 C管(ソプラノ) ●●● ●●● C → ド
 F管(テナー)  ●●● ●●● C → ファ

音の高さにして、2/3倍の低い音。 この低い音を発するため管長は3/2倍(1.5倍)あります。
(他のテナー・オーボエの例は、→こちら

●管長の比較

C管ソプラノ・オーボエとして、手持ちには市販のデンナー Jacob Denner モデル(メック Moeck 社のB17)があります(→こちら

この市販のC管のデンナー J.Dennerと、このF管のデンナー J.C.Denner は親子。 そこでこれらの長さの比較を行いました。

             ソプラノ      テナー

 - 上管長     210mm     289mm
 - 下管長     206mm     305mm
 - ベル長     153mm     209mm
 - 管長計     569mm     803mm
 - 管長比     1.000      1.411
 - リード長    85.5mm    52.7mm
 - ボーカル      −       130mm
 - リード突出   67.5mm    144.7mm
 - 全長計     636.5mm   947.7mm
 - 全長比     1.000      1.489

チューブやボーカルにケーンを加えたリードが本体から突き出る長さを、オーボエ管長に加えた長さが、実際のオーボエ全長となります。

音響上のこの全長としての比率を見ると、1.000 対 1.489(〜1.5)。 比率1.489と1.5の差は、わずか0.7%。 理論通り。

●復元のためのボーカル(クルーク)やチューブの設計

理論通りとなったわけは、そのように設計したから。

実際の管長の比率である1.5倍となるようにボーカルを設計。 ボーカルやチューブ、さらにはリード・ケーンについては、博物館に現存せず。

そこで、本来の姿を想定して復元する必要があり、バロック・オーボエの復元つくりの難しさがここにあります。

想定には、どのようなパラメータの組み合わせもできます。 その中で実際に楽器としてうまく鳴るものを見つける必要があり、手始めに、単純にボーカル長を求め、そのテーパー比率も想定して試作しました:

 ボーカル: 長さ 130mm 上端外径 4.6mm 下端外径 7.0mm

ここで組み合わせるチューブも問題。 チューブのテーパー度合いが適切でないとオクターブ間の開きが異なるなど種々問題が起きます。(→こちらを参照)

またリードのケーンも問題。 とくに幅の選定が悪いと、特定の音、とくにE音、Eb音あたりの発音において種々問題が起きます。

  チューブ: 長さ 28mm グロタン Glotin 社製 底外径 5.2mm

  ケーン: KREEDO社製 No.14 幅10.25mm (リード仕上がり幅 10.8mm)

●ピッチの測定

オーボエの音響特性のうちピッチは、静特性。 とにかく、ピッチが合うリード、チューブ、ボーカルを求めなければ、それらを用いたオーボエ本体の指穴や音孔の調整ができず、ニワトリと卵の関係です。

そのほか、動特性としては、吹奏感や反応の速さ、音のジャンプのしやすさなど種々あります。

今回の試作のボーカルでは、静特性のピッチが合うものを得ました。

フォトは、その測定結果。 (フォトをクリックし、拡大モードにすると方眼紙の目盛りも読み取れます)

左側、縦軸の中央をA=415 ( in F ) にとり、上下に半音(=100セント)を取った測定用紙の各音につきピッチ測定した結果をプロット。

全範囲にて+−25セント以内。

用いる運指として、よく反応しピッチがあうものを探すと、必ずしも通常のオーボエ運指とは異なります。


どのような音で響くのか、わくわく感を持って復元したテナー・オーボエ。 なんとか鳴り始めました。

今後、さらなる音響特性を求め、ボーカルやチューブを含めリード研究を続けてまいりましょう・・・・


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※ この デンナー J. C. Denner テナー・オーボエを、来る2017年4月28日〜30日に甲府で開催される2017古楽フェスティバル<山梨>の展示会にて展示する予定です。ご興味ある方は、ご自由に手に取って試奏ください。

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