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zoom RSS P. Paulhahn バロック・オーボエ:キーの位置と形状で操作性が高まります

<<   作成日時 : 2017/05/30 23:07   >>

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画像楽器の書棚 (42) 2017/5/30

ポールハン P. Paulhahn のバロック・オーボエはきわめて安定で、高い再現性があります。

最初に復元した1号機ですが、良く鳴ることから、わたしのメインのオーボエにすべく、2号機以降を順につくり確かめてみましたが、やはり良く鳴ります。

 - 1号機 欧州黄楊製 真鍮2キー →こちら
 - 2号機 欧州黄楊製 真鍮3キー →楽器の書棚(36)
 - 3号機 欧州黄楊製 真鍮3キー →楽器の書棚(41)
 - 4号機 本紫檀製 洋白銀3キー →楽器の書棚(40)

●1号機の復元つくり 

あらたなモデルを復元するとき、ワクワクしながら取り掛かる楽しさがあります。 ただバロック・オーボエに関しては、苦労も多い。

博物館にあるオリジナル楽器を計測し、そのデータを基に復元しても、「調整ができない」問題があります。

オーボエには、リードとチューブが必要ですが、オリジナルのデータは一般にありません。

すると、オーボエ本体つくりのあとの調整の段階にて、指穴の大きさ、アンダーカット、あるいはボアの削りをどのようにすればよいか分からないのです。

基準があれば、すべての個所を基準の通りに再現すればよい訳ですが、オーボエの場合は、本体寸法データだけが手元にあるのみ。 そのピッチすら不明。

本来あるべきリード・チューブを再現し、楽器のピッチを求め、そのピッチにおいて本体各部を調整することで、各音のピッチ合わせができます。

本来あるべきリード・チューブを想定して本体を調整し、リード・チューブを見直し、これを繰り返して追い込みます。 試行錯誤の連続です。

この意味で、復元1号機は、あちらこちらの指穴を拡げてみたりし、追い込んだ結果の跡が見られます。

本来のピッチ(演奏可能な範囲)が分かり、同時に適するリード・チューブが得られると、2号機以降は、それらのデータを基に再現すればよいこととなります。

●キーの数と形状および位置

バロック・オーボエは、一般に3鍵で、左右2つのEbキー(→こちら)とひとつのC/C#キー。

このうちEbキーは右手で操作する右利きの奏者にとっては右側があれば十分。 左側のEbキーは不要です。 左利きの奏者は左手で操作したため、反対となります。

バロック時代のあと、クラシカルへ移行すると、キーは右手で操作するものだけが残り(→こちら)現代に至ります。 右手が一般となった現在では、3鍵でなく2鍵で十分ですから、1号機では2鍵のみとしました。

ただし、キーの正確な形状・サイズやキーの位置関係も正確なデータがなく、試行錯誤により復元しました。

結果ですが、1号機のEbキーは小さく、C/C#キーとの距離も離れており、キー形状と位置関係については、見直しが必要と思ってきました。

●キーの操作性についてのご要望

お貸出しとかお譲りの場面で、演奏家・愛好家のご意見がわたしにとっては、たいへん有用。

わたしの手指は大きく、小指は長いほう。 1号機の復元にて使いやすさの評価を自身で下しにくいのが現状。

各種展示会とか、お貸出し等の場面にて、このモデルの試奏により、C/C#キーとEbキーの連係(滑らす)動作のしやすとか、位置関係に関してご意見をいただいてきました。

結果として、キー操作面では、オリジナルがどうであるかというより、各奏者に合わせて配置することが重要とわかってきました。

フォトに示す本1号機ですが、単なる試作品ではありませんから、改良すべくトライしました:

 ・ Ebキーが小さかったものをつくり直し操作できる大きさに変更し(フォトでこちらを向いているキー)
 ・ C/C#キーのフィッシュテールを下管の外形に合わせ曲線を描くように丸め
 ・ それぞれのキーの高さを調整し
 ・ スライド操作性を高める

調整を行いました。

これら形状・寸法および高さの調整は、0.5mm単位。 1mmも違うと、ずいぶんと感触が異なります。

楽器は「道具」。 「道具は、ひとが使う」もの。 「ひとが使い易い」形状・大きさや配置があるのです。

ある演奏家から教えていただいたことは、オーボエの下管の持ち方。 「裏から支える親指の位置をかなり下げるようにするとよい」とのこと。 このようにすると、EbキーとC/C#キーが押えやすい。

とくにトラベルソから持ち替える奏者は、トラべルソを構えるときに当然のような「流し指で」「管に平行に近く」の指の形を、オーボエにも適用しがち。

ところがオーボエは縦に構えますから、右手、左手とも裏から支える親指を、それぞれの中指とでつまむ感覚にすると良さそう。

これは、オーボエだけでなく、リコーダや、さらに大型の管楽器である、テナー・オーボエ(→こちら)や、バセット・ホルン(→こちら)もしかり。

実際につくって構えてみると、いずれも流し指だと、小指が届きにくく操作性が悪いのです。

●お貸出しにも便利な化粧箱つくり

楽器を安全に送付したり、保管するには専用箱があれが良いですよね。

これまで、1号機に対しては、100円グッズを用いてつくった簡易ケース(→こちら)に入れていましたが、本格的な化粧箱を用意することで安心感が増しました。

さて、調子の良いポールハン P.Paulhahn のオーボエ、いろいろと貸出しとかお譲りのご要望をいただくことが多くなり、そのような場面では、この化粧箱に入れると安全に運ぶことができます・・


【コピー】

材質: 欧州黄楊 European boxwood プレーン仕上げ
     真鍮製の2キー No.1538 A=415Hz
     重量 257g

【オリジナル】

 所有: ニコラウス・アーノンクール・コレクション
  製作: ポールハン P.Paulhahn 1730 頃
 楽器: オーボエ 黄楊 boxwood 真鍮製の3キー
      A=415Hz あたり



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