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zoom RSS J. Steenbergen バロック・オーボエ:18世紀オランダの響きを再現

<<   作成日時 : 2017/06/10 00:03   >>

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画像楽器の書棚 (43) 2017/6/10

ベルギーの首都ブリュッセルに楽器博物館があります。

2度目に訪れた際、販売コーナーですばらしい書物を見つけ、わたしの楽器復元つくりにおける有用な資料となっています。

「17‐18世紀オランダのダブルリード楽器」  "Dutch Double Reed Instruments of the 17th and 18th Centuries" (→ 文献集

オランダ語と英語で書かれ、デン・ハーグ市立博物館 Den Haags Gemeentemuseum に所蔵されるオーボエ、ファゴット、ランケットほか38本のダブルリード楽器の 原寸フォトと寸法データや図面、そして各音のピッチ測定データが記載されています。

またオーボエとファゴットについては、一般構造や断面の説明図と詳細な各部の呼称も紹介され、レントゲン写真ではボアの様子やキー構造も知ることができます。 まさに、ダブルリード楽器の研究者にとって役立ちます。

オランダにおける当時の楽器製作家のハッカ、リヒター、ステンベルゲン、タートン、ワインなどの研究には欠かせません。

これら38本を紹介する書物は、上質紙にフル・カラー印刷のA3サイズ(見開きA2サイズ)の豪華本。 大きさもさることながら、重量は3.4kgもあり、トランクケースの底に入れ持ち帰ったように記憶しています。

大型楽器であるファゴットについては、さすがに原寸大フォトはありませんが、テナー・オーボエについては原寸大。 原寸は便利でして、復元つくりの途中でも、楽器をあてがって比べてみることができます。

●復元したいモデルの数々

これらオランダのオーボエとファゴットにつき順に復元し、どんな楽器であるのか紹介していきたいと考えています。 この思いから、これまでに実現した楽器として、ワイン Robert Wijne のテナー・オーボエと、本ステンベルゲンのオーボエがあります。

復元したいモデルのいくつかを紹介しましょう:

- ハッカ Richard Haka  Ea 6-1952 A=411
- ライケル Coenraad Rijkel Ea 440-1933 A=415
- リヒター Henderk Richters Ea 624-1933 A=411
‐ ステンベルゲン Jan Steenbergen Ea 3 -x-1952 A=413−415 (オーボエ:完了、本記事)
‐ タートン Engelbert Terton Ea 437-1933 A=409−411 
- ワイン Robert Wijne Ea 77-x-1952 ピッチ測定データなし (テナー・オーボエ:完了→こちら
‐ ワインW. Wijne Ea 585-1933 ピッチ測定データなし (4鍵のバロック・ファゴット)

●オランダの楽器の印象

バロックは装飾の時代。 楽器にも細やかな装飾が施されます。 王室への御用達をはじめ、材質だけでなく、リヒター家の楽器に見られるように、銀製キーには彫金が、また象牙マウントには細かな彫(ほり)が施されています。

オーボエの顔と言えるでしょうか、とくに上管のフィニアル(尖塔の装飾)やバルスター(逆さオニオン)に特色が見えます。

本ステンベルゲンと英国ロンドンのステンズビーの顔の比較は、→こちら。 全体の装飾のさまは、→こちら。 またドイツ出身とみられるポールハンの顔は、→こちら。 これら3本の名器の外観の比較は、→こちらのフォトをご覧ください。

国・地域によっても異なる顔を持つみたい。 オランダの楽器は、全般として、フィニアルがやや小さく、上部で花が開くような曲線が特徴といえるでしょう。

●ステンベルゲンの特色

ベルも含め全体的に薄い管でしょうか。 重量もとても軽く、持ち重りがするポールハン Paulhahn とは印象が異なります。

下管からベルの重量の違いのせいか、ポールハンでは厚みのある音質であるのに対して、ステンベルゲンは、少し軽快な響きといった感じ。 ただリードにより大きく異なるでしょうから、リード研究が重要。

すでにA=415のピッチに合う適合リードは見つけています(→こちら)が、さらなる適切なリードをつくり、このオランダのオーボエの魅力を探ってまいります・・・



【コピー】

材質: 欧州黄楊 European boxwood プレーン仕上げ
     洋白銀製の3キー No.1642 A=415Hz
     重量 229g

【オリジナル】

 所有: デン・ハーグ市立博物館 Den Haags Gemeentemuseum
      管理番号 Ea 3 -x-1952
  製作: ステンべルゲン Jan Steenbergen 1720 頃 アムステルダム
 楽器: オーボエ 欧州黄楊 European boxwood プレーン仕上げ
      銀製の3キー A=413-415Hz



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バロック・テナーオーボエ:キーを取り付けるとオーボエらしい姿です
バロック・オーボエ:繊細な装飾はオーボエの顔です
バロック・オーボエ:穴あけと取付けを終えたキーの輝き
バロック・オーボエ:寄木つくりの外径に装飾を施します
バロック・オーボエ:3本の名器のピッチを比較しましょう
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