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zoom RSS バロック・ファゴット:杢を活かしイタヤカエデからつくります

<<   作成日時 : 2017/06/27 22:11   >>

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画像楽器のつくり方 (240) 2017/6/27

フォトは美しいバロックファゴット。

本ブログを開設して12年半。 その間、実に多くの読者の方々にお会いしました。

復元した楽器のお貸出しを気軽に行ってきましたが、直接手渡す場面で、逆にわたしが読者の大切な楽器を貸していただく幸運に恵まれることもあります。

この美しいファゴットを見た瞬間、「これをつくりたい」高揚感。 わたし自身も驚くばかり。

●ファゴットの材はカエデ(楓)

ハード・メープルと呼ばれる材が用いられます。 メープルは、白っぽい黄色。 中には美しい杢(もく)が混じることが特徴。 杢は、一般に柾目(年輪の平行線が縦に走る側)に、横縞の模様となって現れます。

バイオリンなど弦楽器の裏板に、杢入り楓(フィギュアド・メープル)が使われます。 縦割り板を左右対称に開き貼り合わせた裏板には、対称の横縞模様が美しく映えます。

ファゴットでも、横縞の模様が美しい楽器を見かけます。 杢がない材を用いた楽器では、手書きで縞模様を描くことも多い。

フォトのファゴットですが、みごとな縞模様の杢が全体に美しく入っています。

バロック・ファゴットは、濃褐色に着色されるものがほとんど。 しかしこのような杢が映える材では、無着色のプレーン仕上げも価値あるもの。

●メーカー製のファゴット

フォトのファゴットには刻印があり、ドイツのMoech(メック)社製と分かります。 中でも、B32モデル(A=440)と見られます。

わたしが同社からバロック・オーボエB17(デンナー・モデル→こちら)を購入したのが28年前(1989年6月)。

その頃の同社のカラー印刷のカタログ(1986年版)を見ると、B17バロック・オーボエの横に、このA=440のB32モデルと、A=415のB33モデルとが並んでいます。

このカタログには、縮尺を示す10cmの目盛りも印刷され、各楽器の実寸とか鮮明な詳細も分かります。 木目も明瞭に見えますが杢はなく、褐色に着色されています。

このカタログを見て以来、すべて杢がない材でつくられるものと思って来ましたが、フォトのように杢を浮きだたせる無着色の楽器も存在することが分かりました。

美しい木目や杢を活かしたプレーン仕上げが好きです。 ファゴットつくりにも試みたい。

●入手したイタヤカエデ(板屋楓)

フォトの2本は、30年物のイタヤカエデ。 購入し乾燥させ早や11年。 乾燥期間は、合計で41年。
(材の購入は、→こちらも参照)

見事な杢がありますが、白っぽい黄色のためフォトでは分かりにくい。

そこで、撮影にあたり水引を行いました。 水引きによりオイリング時と同様に、杢が鮮やかに浮き上がります。

2本とも上の面が柾目。 杢が横縞となって美しく現れています。 一方、サイドの面の板目には、たくさんの波模様があり、縮み杢でしょうか。

これら2本は、いつかファゴットをつくってみたい想いから準備してきました。

●トライしてみたいファゴットのモデル

博物館に所蔵されるバロック・ファゴットの図面もすでに3種類を入手。

しかし図面と異なり、実物があれば大いに参考となります。 そのための資料としてモダン・ファゴットをすでに入手しました(→こちら)。

大型木管のファゴッつくりには多くの課題があります。 たとえば、手持ち木工旋盤の芯間距離は24インチ(60cm)しかありません。

そこで、分割型の寄木つくり方式(→こちらを参照)が考えられますが、その場合は、寄木の切れ目が目立たないことが望ましく、バロック・オーボエと同様に、各装飾部のところで分割することがよさそう。

この意味で、フォトのファゴットは、バロック装飾が多くあることから分割型の寄木つくりに向きます。

フォトの外形を採用し、内径には、このA=440モデルB32を基準にA=415に再設計するか、他のモデルの内径とするなど、いろいろと検討してまいります・・・


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
いよいよですね!
オールドバソン
2017/07/04 20:45
ありがとうございます。オーボエに比べ4倍の長さがあり、重量も10倍。この加工自体、手作業で行うには腱鞘炎などに罹らぬ工夫が必要みたい。あせらずに、加工のための方法と図面つくり、そして必要な治具と工具類からつくる予定です。いつになるやら、乞うご期待ください。
woodwind図書館長
2017/07/04 22:13

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