バロック・オーボエ:滑らかなふくらみが魅力的なP.Paulhahnの機能美
バロック・オーボエつくり(→こちら)の連載です。
装飾性に富むバロック木管は、音楽を奏でるための道具。
道具は人が使うもの。 使いやすくできています。
持ちにくいとか、持ち重りがして手や腕がだるくなるのはいただけず、重量バランスが重要。
この重量バランス、道具として持つべき機能ですが、同時に見た目にも美しくできているのです。
●分割した各部の接続
オーボエは、上管、下管、そしてベルの各部からなり、それぞれテノンとソケット機構により嵌合します。
ソケットがある側は、相手側のテノンを受け入れる厚さが必要でふくらみがあります。
上管と下管の接続には下管の上部に、また下管とベルの接続にはベルの上部にそれぞれふくらみがあります。
●全体として統一感がありバランスが取れた装飾性
このふくらみに関してバロック木管では、いずれの側がテノンかソケットか分からないデザインとなっています。 また、ふくらみの部分をフェールとして独立したものもあります(オトテール・トラベルソの例は、→こちら)
ふくらみの両端には、こまかないくつもの装飾リングを伴っています。
接続部にふくらみが必要ですから、接続部以外のところには必要がないためにふくらみを持たない単純デザインの木管もあります。
しかし、装飾性があるバロック木管としての面白さに欠けるように感じます。
両端に幾重にも装飾リングを持つこのふくらみですが、バロック・オーボエでは、テノンを受け入れるソケット機構がないにも関わらず上管にもあり、長さ90mmにも及びます。
この結果、オーボエの上部、中間部、下部のそれぞれにひとかたまりずつふくらみが見えるデザインとなっているのです。
●重量バランス
装飾性のほか持ったときの重量バランスが得られています。
オーボエの内径はベルに向かい広がるテーパー状。 この先拡がりのために、ベルに近づくほど各音孔が遠くに逃げていき、結果として両手でつかむ部分は上半分だけ。
下半分が結構長く、持ち重りがしがちとなります。
それをさけるため上部にふくらみを持たせて重量を増し、重量バランスを改善しているのでしょう。
(オーボエの重量バランスは、→こちらを参照)
オニオンと呼ばれる上管のふくらみの中は、オーボエにおける最少の内径(5.8mm~6.5mmほど)となっており、その場所の太い外径までは厚く、そのために重量があるのです。
●内径と外径削りを終えました
フォトは、P-Paulhahnモデルのオーボエの各部。
それまでに削った上管と下管(→こちら)に加え、手前のベルを加工しました。
ベルの加工ですが、まずソケットをつくります。 このためにベルの底側をチャックに結わえ、フォースナー・ビット(フォースナー・ビットは、→こちら)であけます。
同時に、17.8mmφの最少内径をドリルであけておきます。
次にこのソケットの同心を保ったまま、2インチ(51mm)のチャック結わえをつくりチャックに結わえます。
次にベルの底側から、最少内径をドリルで開けた後、順に径が太くなるフォスナー・ビットで階段状に加工します。(その様子は、→こちら)
階段が滑らかとなるよう内ぐり(その様子は、→こちら)、内径加工を終えます。
内径ができると、チャック結わえはそのままにして、外径を削ります。
チャック近辺の外形削りが残っていますから、チャックから外して両端をセンターで挟みセンター間削りを行って完成。
およそオーボエの姿ができました。 このあとオイリングを経て、各指穴や音孔をあけ、キーを取り付けてまいります・・・
【関連記事】 青字クリックで記事へジャンプします。
●バロック・オーボエ:寄木造りによりつくってみましょう
●「替え本体」のあるオトテール・トラベルソ
●オーボエは、どこでバランスが取れるでしょう
●バロック・オーボエ:寄木つくりの外径に装飾を施します
●フォーストナー・ビット:きれいな穴あけができます
●オーボエ・ベルを階段状に加工します
●バロック・オーボエ:ベルを滑らかな曲線で内ぐります
この記事へのコメント