J. Steenbergen バロック・オーボエ:18世紀オランダの響きを再現
ベルギーの首都ブリュッセルに楽器博物館があります。
2度目に訪れた際、販売コーナーですばらしい書物を見つけ、わたしの楽器復元つくりにおける有用な資料となっています。
「17‐18世紀オランダのダブルリード楽器」 "Dutch Double Reed Instruments of the 17th and 18th Centuries" (→ 文献集)
オランダ語と英語で書かれ、デン・ハーグ市立博物館 Den Haags Gemeentemuseum に所蔵されるオーボエ、ファゴット、ランケットほか38本のダブルリード楽器の 原寸フォトと寸法データや図面、そして各音のピッチ測定データが記載されています。
またオーボエとファゴットについては、一般構造や断面の説明図と詳細な各部の呼称も紹介され、レントゲン写真ではボアの様子やキー構造も知ることができます。 まさに、ダブルリード楽器の研究者にとって役立ちます。
オランダにおける当時の楽器製作家のハッカ、リヒター、ステンベルゲン、タートン、ワインなどの研究には欠かせません。
これら38本を紹介する書物は、上質紙にフル・カラー印刷のA3サイズ(見開きA2サイズ)の豪華本。 大きさもさることながら、重量は3.4kgもあり、トランクケースの底に入れ持ち帰ったように記憶しています。
大型楽器であるファゴットについては、さすがに原寸大フォトはありませんが、テナー・オーボエについては原寸大。 原寸は便利でして、復元つくりの途中でも、楽器をあてがって比べてみることができます。
●復元したいモデルの数々
これらオランダのオーボエとファゴットにつき順に復元し、どんな楽器であるのか紹介していきたいと考えています。 この思いから、これまでに実現した楽器として、ワイン Robert Wijne のテナー・オーボエと、本ステンベルゲンのオーボエがあります。
復元したいモデルのいくつかを紹介しましょう:
- ハッカ Richard Haka Ea 6-1952 A=411
- ライケル Coenraad Rijkel Ea 440-1933 A=415
- リヒター Henderk Richters Ea 624-1933 A=411
‐ ステンベルゲン Jan Steenbergen Ea 3 -x-1952 A=413-415 (オーボエ:完了、本記事)
‐ タートン Engelbert Terton Ea 437-1933 A=409-411
- ワイン Robert Wijne Ea 77-x-1952 ピッチ測定データなし (テナー・オーボエ:完了→こちら)
‐ ワインW. Wijne Ea 585-1933 ピッチ測定データなし (4鍵のバロック・ファゴット)
●オランダの楽器の印象
バロックは装飾の時代。 楽器にも細やかな装飾が施されます。 王室への御用達をはじめ、材質だけでなく、リヒター家の楽器に見られるように、銀製キーには彫金が、また象牙マウントには細かな彫(ほり)が施されています。
オーボエの顔と言えるでしょうか、とくに上管のフィニアル(尖塔の装飾)やバルスター(逆さオニオン)に特色が見えます。
本ステンベルゲンと英国ロンドンのステンズビーの顔の比較は、→こちら。 全体の装飾のさまは、→こちら。 またドイツ出身とみられるポールハンの顔は、→こちら。 これら3本の名器の外観の比較は、→こちらのフォトをご覧ください。
国・地域によっても異なる顔を持つみたい。 オランダの楽器は、全般として、フィニアルがやや小さく、上部で花が開くような曲線が特徴といえるでしょう。
●ステンベルゲンの特色
ベルも含め全体的に薄い管でしょうか。 重量もとても軽く、持ち重りがするポールハン Paulhahn とは印象が異なります。
下管からベルの重量の違いのせいか、ポールハンでは厚みのある音質であるのに対して、ステンベルゲンは、少し軽快な響きといった感じ。 ただリードにより大きく異なるでしょうから、リード研究が重要。
すでにA=415のピッチに合う適合リードは見つけています(→こちら)が、さらなる適切なリードをつくり、このオランダのオーボエの魅力を探ってまいります・・・
【コピー】
材質: 欧州黄楊 European boxwood プレーン仕上げ
洋白銀製の3キー No.1642 A=415Hz
重量 229g
【オリジナル】
所有: デン・ハーグ市立博物館 Den Haags Gemeentemuseum
管理番号 Ea 3 -x-1952
製作: ステンべルゲン Jan Steenbergen 1720 頃 アムステルダム
楽器: オーボエ 欧州黄楊 European boxwood プレーン仕上げ
銀製の3キー A=413-415Hz
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●文献集
●バロック・テナーオーボエ:キーを取り付けるとオーボエらしい姿です
●バロック・オーボエ:繊細な装飾はオーボエの顔です
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