バロック・オーボエ:計測図のほか設計図を用意します
オリジナル木管楽器の復元には、楽器の各部を計測した図面が必要。
原寸大(縮尺100%)の図面があれば、楽器つくりの工程の随所で、楽器にあてがうことができ便利。
ここで計測図面は、最終的に得たい加工寸法を示すものでしかなく、実際の加工の各工程では種々の図面が必要。
フォトは、Paulhahnモデルのバロック・オーボエ。 先に完成した美しい本紫檀製(→こちら)につき、さらに製作しているところ。
外形つくりと内径あけを完了。 この状態でほぼ計測図どおり。 しかし加工の途中では、マージンを含む別の形状をなし、計測図のほかに加工のための図面やメモ等も要るのです。
●加工に必要なマージンと段取り
同心ずれに対して外径削りにより狭めます。 このための径方向マージンが必要です。 両端の直角出しでは、短くなりますから長さ方向にもマージンが必要。 そしてチャックに結わて加工するためには、結わえ分のマージンも必要。
これら各マージン部分は、最終的に計測図の寸法に切削します。 ここで、加工には順序があり、チャック結わえ分のマージンを切削してしてしまったら、その先の加工ができません。
ものづくりは、マージン確保と段取りが重要で、また、そのための設計図やメモ書きが要るのです。
●寄木つくり方式によるパーツの加工
クラリネットやバセット・ホルンの復元には、寄木つくり方式を採用しました(クラリネット→こちら、バセット・ホルン→こちらを参照)。 小さなパーツに分解することで、加工が楽となるほか、大きな材の入手が困難でも、小さな材で済むメリットがあります。
バロック・オーボエにおいても同様で、寄木つくりを用いて実現してきました(→こちら)。
フォトは、上管と下管を寄木つくりで実現する場合の各パーツを加工するための設計図。 5種のモデルのそれぞれで、上管と下管を上部と下部に分け、それぞれ分けたパーツをソケット・テノン方式で嵌合し貼り合わせる設計としています:
(1)ステンズビー Stanesby Sr
(2)ロッテンブルク I.H.Rottenburgh
(3)ポールハン Paulhahn
(4)アイヒェントップ Eichentoph オーボエ・ダモーレ
(5)ステンベルゲン Steenbergen
パーツの内径あけ加工にチャック結わえをつくりますが、加工後にその側にソケットをつくるため反対側にチャック結わえをつくります。
するとマージン分が増えてしまいそう。 ところが実際にはその部分はテノンとなり、その最終径に絞り込むため、長さ方向のマージンが不要となっています。
このように、マージン部分をいかなる加工目的とするかを考え抜いた設計とすることで、より短い材でオーボエをつくることができます。
フォトは、上管、下管ともマージン部分を切り落とし完成の姿をしています。 どこにマージン部分があったかわかりませんし、そもそも寄木つくりということもわかりませんね。
さて、本紫檀のオーボエ、指穴あけとキー取付けの加工へと進めてまいります・・・
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