シャリュモー:クラリネットの前身から探りましょう
シャリュモーをご存知でしょうか。
バロック木管のひとつ。 クラリネットの前身でシングル・リードの閉管。 リコーダのベックをマウスピースに置き換えた感じの形をしています。
内径は、リコーダの逆テーパー円錐に対し、シャリュモーはクラリネットと同様に円筒。
クラリネットは徐々に広がるベルを持ちますが(F管の例は→こちら)、シャリュモーには広がりはなく、またリコーダのように内径が絞られたものも。
●1.5オクターヴへジャンプ
シングルリードの閉管では、含まれる倍音は基本的に奇数次。
1倍の次は3倍。 すなわち1オクターブ(2倍)を超え、1.5オクターブへとジャンプ。 ジャンプした1~1.5オクターブ間の橋渡しをするブリッジ音域を出すことが必要。 そこで、左手の親指と人挿し指で操作する2つのキーが設けられました。(→こちらを参照)
シャリュモーでは、同じ位置で管の表面と背面(裏面)に2つのキーを配し、いずれか1つ、あるいは両方の開閉操作によりブリッジングします。
シャリュモーを改良したクラリネットの発明の要点は、このうち1つ(背面キー)の開閉の穴位置をマウスピース寄りに配置したこと。 1.5オクターブへのジャンプがしやすくなります。
1倍、3倍、5倍・・の倍音に対しそれぞれ定在波が管内に現れます。 定在波の腹(振動最大:圧力最小)または節(振動最小:圧力最大) 【振動・圧力に関して腹と節を逆に定義するも可】 の位置を強制的に定まるようにして3倍、5倍へのジャンプを容易にします。
クラリネットでは、スピーカー(Sp)キー操作で小さな穴が開き、その位置での圧力を最少に誘導。 埋められた小さな穴径のパイプにより管の中空でぽっかりと口があきます。
●復元するモデルと分割方式
フォトをご覧ください。 デンナーモデルの3種の図面を並べました。
それぞれの製作家によるデータを集めて比較すると、指穴位置と大きさの設計が異なります。 またマウスピース設計にもそれぞれ特色あり。
手前の図面ですが、プロ奏者からお借りしたアルト・シャリュモーを計測してみました。 この設計では、マウスピースと上管上部が一体となり、中部管と足管を合わせた3分割方式。
わたしが思うに、マウスピースは奏者の好みもあり、種々取り替えられれば便利。
そこで4分割方式を検討し、さらに各製作家の設計値も参考に復元をトライしてみます。
●用いる材
さきに、各種バロック木管の復元に用いるために乾燥させてきた黄楊材(アジア産およびカステロ・ボックス)を紹介しました(→こちら)。
このうち、杢が美しい黄楊材をシャリュモーに適用してみましょう。 どんな音色がするのか、楽しみです・・・
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