バロック・ファゴット:奇妙な形のウィングをいかにつくるか
杢がきれいなイタヤカエデ材により、装飾性が高いデンナーのバロック・ファゴット(→こちらを参照)を復元する連載を続けます。
前回まで、ベル・ジョイントとロング・ジョイントについて形が出来上がり、オイリングを済ませていました(→こちら)。
●奇妙な形のウィング・ジョイント
4つのパーツからなる寄木つくりの図面を基に、イタヤカエデ材の木取りを済ませていました(→こちら)。 4つのうち3つは同心円形状。 しかし1つ非同心の奇妙な形状パーツがあり加工には工夫を要します。
一般に、バロック木管の形状は同心であることが多く、木工旋盤による内径(ボア)の穴あけとか、外径(外形)削りにて「同心円加工」を行います。 しかし翼を広げたような「ウィング」部を持つウィング・ジョイント(その形状は、→こちらも参照)では同心円加工ができない部分が出てきます。
●手削りで形を整えます
フォト左端は、ウィングを持つパーツ。 同心円加工により部分的に外径削りを済ませ、大きく張り出した残りの部分を手で削りました。
※注意 木工旋盤のセンター加工において、「翼の張り出しがある」ために「重心がセンターからずれ」、「ブルン、ブルン」と大きく振動し、センター間削りの間隔を維持することが難しく、加工は危険を伴います。 また芯からの距離(半径)が、翼の部分だけ大きく、ノミの扱いを間違うとケガをしそう。 最大限の注意が必要。
(1)外側のカーブ: 電動サンダーが威力を発揮。 曲線を意識し削りすぎないよう慎重に進めます。 どこまで削るかのガイドとして、翼の両端の同心円加工した外径値を用い、削りを加えてゆきます。
(2)内側のカーブ: 電動サンダーは使えず、フォトの工具類を動員。 右端は、縦も横も丸い形状の豆がんな。 おおよその内ぐりを済ませました。 中央のノミや彫刻刀は刃が立体的に曲線となっており内繰りができます 左側は粗削りヤスリ。 内側カーブ削りに使えるものは何でも動員。
奇妙な外形の加工法につきいろいろ思い巡らしたものの、実際に取り掛かると思いのほかできてしまいました。
さて大まかな削りを終え、まず内径あけを施したあと最終外形に追い込むほか、最大に注意を払うべき「重心がずれた材」での内径あけに挑戦してまいります・・
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