オーボエは、どこでバランスが取れるでしょう

画像オーボエは縦に構えるもの。

左右の指で支えますが、ただ一点、いつも接しているところがあります。

それは、右手親指の腹の部分。

オーボエをトラベルソと比較してみましょう。

横に構えるトラベルソを保持するには、左手人差し指をかぎのように曲げ、親指とで挟むようにします。

左右のバランスが取れる、トラベルソの重心ですが、丁度、左手2本の指で挟む位置にあります。

ここを支点として左右の指を動かすのです。 この様子は、→こちらに詳しく書きました。

重心の位置の関係上、結果として持ち重りを感じません。

重心の位置は、木材の比重の大小に無関係。 楽器自体が重いモパーンやグレナディラ(比重1.2)ですら、持ち重りを感じません。

支点と重心がずれている場合は、「持ち重り」を感じることとなります。

オーボエはどうでしょう。

オーボエは、トラべルソと異なり、先へ行くにつれ内径(外形)が広がります。 右手管の指穴間隔は広がる傾向で、またベルの端は遠くになります。

バロックオーボエはベルが長く、両手は上部に寄せられ、支えのない下部が、ずいぶん長く垂れ下がります。

オーボエ類の重心がどこにあるか調べて見ました。

フォトは、縦に走る木片の上に載せ、バランスを取っています。 上から順に見てゆきましょう。

●モダン・オーボエ: リグータ Rigoutat社製  RIEC シンフォニー
       グレナディラ 675g A=442Hz

  -重心は、指穴5の位置。
  -親指掛けは指穴4近くで、やや持ち重り。
  -675gは重く、持ち重りが加わり、とても重く感じます。

●バロック・オーボエ: メック Moeck社製  B17 A=415Hz
        デンナー (Jacob Denner 1681-1735) 黄楊 252g

  -重心は、指穴6の位置。
  -全重量252gは、軽い。
  -下部(ベル)が垂れ下がり、かなり持ち重り。
    (軽いベル材に換え、バランスを図る方法もある)

●バロック・オーボエダモーレ: わたしの作品
        アイヒェントプフ (J.H. Eichentopf/Sattler) 18世紀前半
        欧州黄楊 315g A=415Hz

  -重心は、指穴4の少し5寄り。
  -支える親指の支点と重心が一致。
  -315gは、単独では少し重い。
  -構えると、持ち重りを全く感じない。理想的バランス!!
  -上管の逆さオニオンの重量が効いている。
     (上管単独では、逆さオニオン側が重く、ひっくり返りそう)

楽器は人が使うもの。 使い易さが求められます。

構えたときに感じる重さ、バランス具合で、操作性が大きく変わります。

操作性向上のために、バロックオーボエでも、「親指掛け」を取りつけ、安定させる方法もあります・・・


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この記事へのコメント

オーボエ好き
2006年07月08日 18:32
☆モダンの場合、オクターブキーの上の軽く指を載せておき、楽器を支えるために左親指を使わない人もいます。
☆バロックオーボエのフィンガリングチャートを見てみると基本的なフィンガリングで123が全てオープンっていうのは手元にないです。
☆つまり、ベルの方が重いのは左手が常に楽器に触れておりその加重を考慮したものではないでしょうか?言い換えると左手親指は楽器の重さを支えないのでは。
☆Dennerが特にベル方向が重いとのこと。そうするとモダンのアメリカンスクールの様にベルを低く構えることが想定されているのではないでしょうか?これを踏まえてリードを想像するとスクレープはロング且つ木部は短いという点がDennerには当てはまりますね。
オーボエ好き
2006年07月08日 18:35
反論:
☆ブレスの際、リードが上唇に接しているか下唇に接しているか、両方のスタイルが存在していると聞いた事があります。ということは左親指で楽器を支えるのもあり。
☆私は下唇にリードに接しておく方ですが、左親指が常にオクターブキーの上に乗っているわけではありませんでした。他の指もそうですが、ほんの数ミリの位置の差が他の指の機動性能に影響するので、形を決めるよりもその都度最も良いものを選択するという方が良かったからです。
☆フォームは演奏を習得する過程で試行錯誤され、個人においてその習熟度に従って獲得されていくものですから、”これが正しいフォームです”なんて言う意見は変です。
☆自分の頭の中をまとめるのって難しいですね。
2006年07月09日 09:24
●オーボエ好きさん、種々コメントありがとうございます。ただ、コメントの意味が十分理解できていないかもしれません。「左親指」が4箇所でてきますが、指支え金具のある方は「右親指」ですから、文脈から考えて、3箇所は「右親指」と読み替えています。
●もともと私の記事で言いたかったことは「持ち重り」です。持ち重りの有無にかかわらず、楽器自体の重量がありますから、右親指はバロックでもモダンでも、加重があろうとなかろうと支えています。
●各指の位置は、数㎜の差で機動性が関係する件、その通りと思います。左親指はオクターブキーのチョット下で構えていますよね。ブレスの際、わたしも下唇に当てていると思いますが、そうでない方もいらっしゃるのですね。初めて知りました。
オーボエ好き
2006年07月09日 16:54
☆左親指で正しいです。右ではありません。123を押さえると右親指を支点にした場合の上管下管のバランスから上管の重量が増えた様にみえるということでそれを+-0にするために左親指を使わないということです。つまり下唇にリードが安定します。
☆ご指摘全くその通りと思います。右親指は確かに楽器の重量を支えています。私は”持ち重り”の定義を誤解していたようです。
身体の正中線から離れるに従って楽器を支える指や腕、身体はより重い重量を支えているので、右手親指が身体に近い方が楽=楽器が身体に近い方が楽=垂直方向に近い方が楽。ベル方向が重いバランスならなおさら。それを念頭に置いた場合持ち重りが楽器の構えに影響を及ぼし、それがリードのスタイルに影響を及ぼすと考えたのです。
☆モダンの左親指のフォームの件、私も同じフォームの時があります。リードについては私も驚きでしたが、良い演奏が安定してできるならどちらでもいいことと思っています。
A.O.
2006年07月09日 20:31
バランスの話からはすこし外れるかもしれませんが....
 現代の奏者はほとんど使いませんが、オーボエの最も初期の運指表(1688年と1707年)では、c3はほとんど常に全開です。The Eloquent Oboe の478ページにフィンガリングチャートの対照表があります。
『オーボイはだいたいリコーダーと同じように持つべきだが、いくぶん高めに構えるところが違っている。そうすると頭が水平になり、手は高い位置に来るだろう。もしオーボイを高く構えなければ、「全開」の高いC3を吹くときに楽器を落としてしまう可能性がある。この音を吹くとき、楽器を支えるために指を使うことができないから、親指の上でバランスをとるしかないからである。』とHotteterreは書いているそうです。
 楽器の構え方や運指に関する歴史的記述については、同じ本の第4章に詳しくのっています。(なんだかこの本の売り込みみたいですね)
オーボエ好き
2006年07月10日 00:11
A.O.様>>
C3がほとんど全開のフィンガリングについてhotteterreのオーボエについて書かれた章の翻訳を読み直して確認しました。
(--- ---)と(--- 456)がありました。私は試した結果(自作Stanesby Srこれ自体信用おけないかも)これらのフィンガリングを使っていないのですっかり忘れていました。
このフィンガリングを使うということは
☆リードが安定する唇は上唇ということになって、ブレスの際上唇にリードがくっついているから
☆左手親指は楽器に常にあたっており123の指に対して楽器を挟む様に力が加わっているのが自然
と想像します。そうすると、オーボエは指穴がきちっと塞がれているかどうかということに影響を大きく受けるので左親指からの力は助けになりますね。塞ぐか塞がないかで楽器にかかる力が大きく変化するのなら全開のC3の存在はフィンガリングの難度を上げてしまっているのかなぁ?安定性乏しそう。hotteterreさんは演奏の腕はどうだったんでしょう?
☆上記の私の想像と反対の想像ができたので喜んでいます!!ありがとうございました。
2006年07月10日 10:27
●A.O.さん、的を得た参考文献の記述紹介ありがとうございます。だんだん「宣伝っぽく」なってきましたが、それだけこの本が良く書かれていると言うことでしょう。
●オーボエ好きさん、両手の力加減がリードに与える影響視点での詳細なコメントありがとうございます。左親指の使用について詳細に考察されているわけですね。
●議論をまとめてみました:
①記事の元々の要点は、楽器の重心位置と、「持ち重り」に与える影響です。
②私のダモーレ重心が、右手親指にあることを発見し、左右の指使いが自由になると直感しました。
③トラベルソでは、重心位置の左手親指穴1より下(右)側に左右の指があり開閉における力加減は、歌口の下唇と下あごで押さえるのが通常です。
④この上(歌口)側と、下(両手)の力のバランスを取る上で、不要な力を避ければ演奏が自由となります。トラベルソ重心位置がその条件でしたた。
2006年07月10日 10:48
●続き
⑤オーボエは縦に構え。水平より45度以上に下に構えると落ちそうで、重い楽器では指掛けが必要。
⑥右手親指は楽器重量を支え、もしバランスが良いと、左右の指の操作で余分な力加減が不要と考えました。
⑦トラベルソと異なり、指掛けの上に左手があり、左手親指も裏から支え加担できますが、実際は結構フリーで、唇で支えていると思います。
⑧もしバランスがベル寄りにあると、楽器が下がるので上唇で押さえ込もうとします。バランスが取れていると押さえ込みが不要で、上唇の負担がなくなり、演奏上の自由度が増します。
⑨この関連かどうか、モダンオーボエの先生は、生徒に両肘を上げ、楽器をもっと上に(水平近く)に構えなさいと言うし、A.O.さんが引用してくれました、参考文献の4章の楽器の持ち方P.180にの表現になると思います。
⑩水平に近いと、右手親指で支える楽器が重く(持ち重りがあればもっと重く)感じますが、アンブシャーや左右の指の自由度が利き易くなると言うことでしょう。
⑪バランスの取れたダモーレでは、それほど水平に構えなくとも、自由度が利き易いと思います。